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マブイ【魂】プロジェクト  作者: °Note
Chapter Ⅲ 失われた過去からの使者
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sect.17 キトトブの闇

「ようこそいらっしゃいました。キトトブはあなたを歓迎いたします、古き友よ・・・」

老人はシュカヌの元へ静かに歩みより、そう告げる。


「あなたは・・・」

「これは申し遅れました、私は36代キトトブ総院長ラガンナ。現在このキトトブを任せて頂いておる者です」

「そうですか、という事は・・・」

「はい、全て存じ上げております。あなたとのお約束も」

そう言いながらラガンナは微笑みを浮かべてシュカヌを見つめる。


「申し訳ありません・・・。あのお嬢さんが、あなたの名前を叫ばれた時に、あなたが古き友であることを確信できたのですが到着に時間がかかってしまい」

「いえ、助かりました」

シュカヌは首を振りながら感謝を伝える。


「何だい何だい、サッパリ訳が分からないよ。一体どういうことなんだい?」

シュカヌとラガンナの会話を離れた場所から聞いていたシャンネラが、説明を求めて二人の間に割って入ってくる。

ラガンナはシャンネラの顔を見て何かに気付いたようにシュカヌにたずねた。

「こちらの方々は・・・」

「僕の協力者です。僕のほうから、彼らに同行をお願いしたのです」

何か言いたげなラガンナの目を見つめながら、シュカヌはきっぱりと告げる。


「左様でしたか・・・」

ラガンナはそれ以上何も言わず軽くうなずいた。

「どういたしますか?ここで彼らに説明をいたしますか?」

「いや、言葉で説明をするより一緒に来てもらって、まずは全てを見てもらいたいんだけど問題はないかな?」

「もちろんです、あなたの協力者でしたら何の不都合がありましょう。あの方にもあなたの到着をすでに伝えてありますゆえ

「そうですか、ありがとうございます」


礼を述べながらシュカヌはシャンネラに向き直る。

「オバさん、まずは案内したい所があるんだ。そこで全てを説明するよ」

「ふーん、そうかい。まあワタシは構わないけど・・・」

「ユマとニトも来て。一緒に行こう」

シュカヌは二人を手招きして呼び寄せる。ユマはようやく気持ちが落ち着いたようで、腰を上げながら好奇心に満ちた表情をシュカヌに見せた。

「どこにいくの?」

「行けば分かるよ。というか行かなきゃ分からない、というのが正しいのかも」

「ふーん?」

そして四人はラガンナに従ってハザサ院の本堂に向かって歩き始めた・・・。



本堂に通されたシュカヌたちは、こうの匂いがほのかに漂う通路を進む。

おごそかな空気が漂う敷地内を、僧たちの唱える読経どきょうが遠くから聞こえている。

「なんだか身が引き締まるような場所だね」

ユマが声を潜めてニトに話す。

「そうだね・・・」


「シュカヌ様は何度もこちらへいらしたことが?」

「いや、何度もというほど頻繁ではないのだけど・・・」

少し複雑な表情を浮かべながらシュカヌが答える。

「左様ですか」

「でも当時と変わらない懐かしい風景です」

シュカヌの言葉にラガンナは微笑みを返す。


やがてラガンナの先導で、四人はある部屋へと通された。

「ここが院長室となっています」

ラガンナの説明に、シュカヌを除いた三人が驚いた表情を浮かべる。

キトトブの院長室となれば、いくらお坊さんといえども多少は豪華な部屋を想像していたのだが、その部屋はあまりにも質素だった。

小さなベッドに古びた机が置かれているだけのシンプル極まりない部屋は、一般人の方がまだまともな部屋に住んでいると思われた。


「あまりにも質素な部屋で、驚きましたか?」

呆然とするユマにラガンナがたずねる。

「い、いえそんな・・・」

「院長といえども、我々は修行の身。これだけで充分なのです」

ほっほっほと笑いながらラガンナは答える。


「ただし、この部屋がそれでも重要なのは・・・」

「ほへ?」

そう言いながらラガンナが壁の隅をゴソゴソと手探りすると、何もなかったはずの壁に穴が開いた。


「どうぞこちらへ、キトトブの隠された闇にご案内いたします・・・」

そう言ったラガンナの表情には、わずかに悲しみが滲んでいた。



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