トロイア革命
ジョージとミラが寝ていると宮殿の外よりなにやら怒号のようなものが聞こえてきた。
「な、なんだ……」
衛兵がジョージとミラの寝室に入ってくる。もはや失礼しますという言葉もない、衛兵は顔を真っ青にしながらジョージに叫ぶようにして言った。
「宮殿が民に囲まれています!」
「な、なんだと。そんなもの兵で蹴散らしてしまえ」
「窓よりどうなっているか陛下が確認してください!」
ジョージはベッドから窓へ歩いてくと窓から外の様子を窺った。そこには松明や斧、農作業の鍬やまさかりなどを持った国民が大挙いや大軍勢のように宮殿に押しかけていた。
「ジョージを捕まえろ!」
「あの女もだ!」
「よくもマリア様をコケにしたな」
「よくも腐ったトマトやカビの生えたパンを配ったな!」
「ジョージを殺せ!」
「女も殺せ!」
『殺せ!殺せ!ギロチンで殺せ!』
ジョージは窓から離れると喉から悲鳴を漏らした。
「ひっ!」
外から国民の怒号が聞こえてくる。
「あんたがまともな配給をしなかったから赤子も死んでしまった!返してよ!私の赤ちゃん!」」
「家の息子も帰せ!餓死させやがって!」
「母も死んだ! 返せこの野郎!」
「娘も死んだ! 命を持って償え!」
実はトロイアは7ヶ月前ほどから農作物の収穫が不良になっていたのだが、それをマリアやルークスがうまくカバーをしていたのだ。ところがジョージに代わると腐った果物やカビの生えたパンなどを配給することになった。
政治の全てが愚王に代わった時からこのようなことになってしまった。
「ミ、ミラ逃げるぞ」
「は、はい!」
この宮殿には外に逃げるための隠し通路があったはずだと思い、衛兵に言うと衛兵は顔を真っ青にしながら言った。
「既にその道も塞がれております」
「な、なぜだ!」
「誰かがその通路の秘密を漏らしたとしか思えません!」
「そ、それは誰だ!」
「わ、わかりません!」
実を言えばその通路を明かしたのは宰相補佐のアルノーであった。そしてこのトロイア革命にも一役買っている。
「ほ、他に逃げ道は!」
「あ、ありません!」
そしてとうとう宮殿の柵を乗り越えてくる国民の姿があった。それを見たジョージは恐怖で足が震える。
「な、なぜ私がこんな目に……」
「わ、わたくしがなにをしたっていうの!」
怯えるジョージに奇声を上げて捲し立てるミラ。もう彼と彼女はギロチンの露に消えるしかない運命なのだ。
国民がどんどん柵を越え宮殿に乗り込んでくる。ただただジョージは失禁をしながらその光景を見ているしかない。
もしマリアと結婚したままであれば今のジョージはこのような目に遭っては居なかっただろう。全ての要因はマリアとの離婚から始まったことである。
今になってジョージは後悔する
(もし私がマリアを捨てなければ……こんなことにはならなかったのではないか……)
世の中には後悔しても遅いことがある。ジョージはそれを今身を以て体験しているだけである。
そして朝方になるととうとうジョージとミラは国民の手によって捕まえられてしまった。
そんなジョージとミラを見る国民の目は最早狂気の領域に達しているのだった。
『ギロチンで殺せ!』
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーー!』
最後にジョージは涙を流すのであった。これが愚王の末路である。




