マリア様 業務改革と魔法計算機そして獣よけを作る1
私とルークスお兄様はお忙しそうにしているオクトラス陛下の書類整理を手伝うことにした。こうすることでルークスお兄様は宰相補佐をすることになるので結果OKということだ。
「これは陛下に見て頂ければなりませんね」
「うむ」
オクトラス陛下の執務室で私たち3人が各自に割り当てられた書類を片づけていく。オクトラス陛下に送られてくる書類は膨大だ。これだけの書類に目を通して処理をしていくのは大変だっただろう。
「こちらも陛下に見て頂きたいのですが?」
ルークスお兄様が書類を陛下の方に回す。
「ハルバート国に関することが書いてあるな」
隣国のハルバートとは同盟国ではなく敵国なので、こうしたハルバート国の情報も入ってくるのだろう。
「特にハルバート国に関して不審な動きはないな」
更に書類の中には計算が必要な物があり、計算を出来ないと出来ない書類があることが多い。
「道が傷んでいて馬車の走行の妨げになっているか。これは直ちに修繕で」
私はジョージが働いている姿を見たことがないので、なんだか陛下が働いている姿を見ていると物珍しいものを見ているような感覚になる。
テキパキと書類を整理していくその姿はまさしく理知的という言葉が似合う。
私はぼーっと陛下を見ていると、陛下は微笑んだ後に私に聞いてきた。
「私の顔になにかついていますか?」
私はその言葉に気恥ずかしくなり、俯いて、いいえとんでもございませんと言った。
そして私は気を取り直すと次の書類に目を通した。そこにはこう書いてあった。
『つい最近城の付近の農場で大型の熊や鹿などが現れ、農作物を荒らしていきます。なんとかならないでしょうか』
私はその書類を陛下に見せると陛下は顎に手を当てた。
「確かに出没して農場を荒らしていくという話を聞いたことがある」
私はそこできっと目をキラキラと光らせていたことだろう。陛下は私の顔を見ると不思議そうな表情を作った。
「マリア様はなんだか楽しそうですが、どうされたのですか?」
「いえ、ここまで早く私の発明が役立つときが来るときがあるとは思ってもみていなかったので」
「ああ、以前に夜会で披露された害獣避けのことですか?」
私は陛下の言葉に首をふるふると振ると、付け足すようにして説明する。
「あれはあくまで小型の動物の害獣よけなのです。しかし今回のこれは大型の熊や鹿などと書いてありますので、新たな技術で解決しなければならない問題でございますわ」
「マリアできるのか?」
ルークスお兄様は怪訝な表情を作って私に問いかけてきたが、私はそんなルークスお兄様に対して胸を張るようにして言った。
「できますわ、そのためには部品が必要なので陛下のご助力も必要になりますわ」
部品代は私が出せるわけもなく、鉄線やライトクリスタルなども大量に用意しなければならない。この発明は個人で行える物ではなく、国単位で行う物だ。だから私は陛下の顔を見つめるようにして見やる。
陛下はなぜか恥ずかしそうにしながら顔を背けると、私も視察に行きたいのでいいかな? と言ってきたので私は勿論ですと答える。
「それでは片づけられる書類は私の方でなんとかしておきますので、マリアと陛下は現地へ行ってくださっても結構ですよ」
「ルークス殿かたじけない」
「陛下、ルークスと呼んでください。私はもうこのカテリーナ国に骨を埋めるつもりできたのですから。私は陛下の家臣でございます」
「すまない。それではこれからルークスと呼ばせてもらうよ」
「はい」
そう言うと陛下は私に向かって場所はわからないでしょうと言うと、私を伴って執務室から退出するのであった。




