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起源

「イナズマよ、俺は一つ気付いた。お前には、戦いの才能は低い!明らかに、俺が今まで会った中で最も低い…何故、そんなに低いのに今まで無敗だった?」

「知らねぇよ…そんな事より、早く再開しようぜ…」

「その心だ」

「…は?」

「お前の心には炎がある。誰にも負けない炎がある!心の炎とは面白いものだ。消えない時は星が無くなろうとしても無くならないが、無くなる時は転んだ程度で無くなる。お前はその炎を努力に変えている!だからお前は強くなれた!なら努力しろ!できない事はできないで良い!できる事を極めろ!そこから応用を効かせろ!」

「…努力?んなもん他人と同レベルだろ…」

「違う!お前は今まで見てきた中で、三日間だけ見たら一番俺と戦っている。休憩や弱音を一度も言わずにそんな事は常人には不可能だ」

「何が言いたい?」

「お前のその努力が続けば、きっと強くなれる」

「そうかよ…なら、早く再開しようぜ…」

「良かろう」


 俺は澄火瑠さんに拳を振る。澄火瑠さんは俺の拳を受け止める。俺は蹴りを澄火瑠さんの脇目掛けて繰り出す。澄火瑠さんは掴んだ俺の拳を俺の脚の方に投げ、俺は自分の首を自分で締める形になった。

 俺は回し蹴りを繰り出した。すると、澄火瑠さんは少し体を反り、俺の攻撃を避けた。俺が回し蹴りを途中で止め、踵落としをすると、澄火瑠さんは片手の手首を俺の足首で押すように俺の踵落としを止めた。

 俺は距離を取る。その時、一つ、良い作戦を思いついた。俺は走り出す。澄火瑠さんが構える。だが俺は跳び出し、澄火瑠さんの上を通り過ぎた。そして、澄火瑠さんの近くにあった崖に蹴りを当てた。すると、崖の上の方が崩壊し、岩雪崩が起きた。俺は澄火瑠さんの前に、蹴った勢いで跳び行き、拳を繰り出した。


「戦闘で周りの環境を使うのは良い行動だと言える…だが、それがいつも最善になるとは限らんぞ」


 澄火瑠さんは俺の手首を掴んだ。俺はこのまま澄火瑠さんを足止めしていれば相打ちにすることができると思っていた。だが、澄火瑠さんは俺を真上に投げた。俺は瓦礫に当たりまくる。そして地面に不時着する。


「自分の攻撃は自分に返ってくると思い、次の行動を予測しろ」

「こんなの予測できるかよ…こんな攻撃の方法、思いつく訳無いだろ…」

「それはお前がまだ死戦を乗り越えていないからだ。明日は実戦だ。この星の生命体と戦ってもらう」

「厳しいって言うか、問答無用とかの方が合ってるな…」


 翌日、俺はとある場所に来ていた。そして、澄火瑠さんはとある生命体を連れてくるらしい。何やら、この星でまぁまぁ暴れてる奴らしく、一つの村が破滅寸前まで追い込まれたらしい…

 そして、時が来た。体は炎のような赤色であり、頭は三つあった…ん?三つ?頭が?それぞれ首がまぁまぁ長い…何でこいつがここに居るんだよ?!俺はこいつを知っていた。

 三頭みつがしら炎怪獣、その名もギパドン。気性が荒い事で有名であり、それぞれの頭は別々の意思がある。口から炎を吐く他、破壊光線も出す厄介な奴だ。

 俺は構えた。奴は鳴き声を上げ、俺の方に接近してきた。俺は跳び上がった。そしたら、三つの頭はそれぞれ右から、火炎弾、火炎放射、破壊光線を放ってきた。俺は何とか空中でそれを避け、奴の後ろに着地した。

 奴が後ろに振り向いた瞬間、腹部に蹴りを当てた。奴が数歩後ろへ下がる。と同時に、奴の顔の一つに回し蹴りを当てた。そして考える暇を与えないように、奴の腹部にラッシュを当て始めた。

 そして力を込めた一撃を当てた。奴の頭が全て火炎弾を放ってきた。俺はバク転をしながら火炎弾を避けていく。そして、ある程度距離を取った。奴が俺の方に歩み寄ってくる。

 そして、三つの頭全てが破壊光線を放ってきた。俺は右手の掌を左手の手の甲に当て、その左手で破壊光線を防ぎながら接近した。最初は真ん中の頭の破壊光線のみ当たっていたが、左右の顔も俺の方を見て、三つの破壊光線を同時に喰らっていた。

 だが、俺は止まらなかった。手が熱い。火で炙られていると言うよりは、内側から火傷を負わされている、と言った方が正しい熱さと痛みだった。だが、俺はその足を止めなかった。

 歩くスピードはどんどん速くなっていく。そして、俺と奴の距離が数十cm程度になった時、俺は右手で奴の真ん中の首を掴んだ。真ん中の奴の破壊光線が止まると、二つの頭が俺の右腕目掛けて破壊光線を放とうとする。その時、俺は左手で思いっきり奴の腹を殴った。奴は吹っ飛んだ。

 俺は空中で吹っ飛んでいる奴に飛んで追い付く。そして、奴の腹部に連続して蹴りを当てる。短時間で大量に攻撃を加える…澄火瑠さんの教えだ。

 俺はコピー機ではない。教えられた物事をそっくりそのまま行う事なんて不可能だ。ならどうする?それは簡単だ。自分のできる範囲で、真似ればいい…自分の技として、自分の中に取り入れれば良い。そして、俺が最後に一発、強力な蹴りを当てると、そいつは地面に叩きつけられる。

 俺も地面に着地した。


「まだ殺り合うか?」


 俺はそう聞く。奴に俺の言葉が理解できているかは分からない。だが、俺の言葉を挑発と捉えたのは分かる。キラキラ光っていた奴の赤い眼は、今はギラギラと赤黒くなっていた。


「それがお前の答えだな?なら容赦はしない!付き合ってやるよ、お前が死ぬまでなぁ!」


 俺は走り出す。奴は火炎弾を放ってきた。俺はそれを喰らいながらも、奴の方に走って行った。そして、右手を右の顔の口の中に、左手を左の顔の口の中に入れた。そして、舌を掴み、思いっきり引き抜いた。そして奴の腹を蹴り距離を取った。


「お前は罪の無い命も奪ったんだろうな…なら、俺の行動は死んだ者達への…いや、そんな事、俺が言う資格は無いか…」


 俺は唇を親指で拭う。俺は走り出した。そして跳んだ。真ん中の頭はこのタイミングで咆哮を上げた。右と左の頭は苦し紛れの防衛本能から俺に噛みつこうとしてきた。そして、俺の蹴りが奴の真ん中の頭にクリーンヒットする。

 そして、俺はダウンしたそいつの横に着地した。そして、俺はそいつの体を掴み、持ち上げた。そして、何回も地面に叩きつけた。


「償え!お前が殺した罪無き命分、その痛みで償え!」


 俺は思いっきりそいつを空に投げた。俺は思いっきり跳んだ。そして、奴の左腕と右脚を手刀で切断した。奴が地面に不時着した。俺は地面に着地した。俺は息を荒げていた。奴は絶命していた。

 その時、澄火瑠さんが現れる。


「良くやった」

「澄火瑠さん…俺、シャドーを戻した後、旅に出るよ。罪が無い正直者が死という馬鹿を見ないために…」

「目標達成後の目標なんて考えるな。一つ目の目標を叶えろ」

「相変わらず厳しいな…」

「お前にはコレぐらいが丁度いい。そう判断したまでだ。稲妻の覇者」

「稲妻の…覇者…?なんだそれ?」

「お前の新たな名だ。そのブレスレットを使える器だ。異名の一つぐらい、バチは当たらないだろう」


 「稲妻の覇者」。その単語は、妙に俺の耳に残った。何故か、嬉しかった。

 その時だった。ブラギラスクが現れた。それも、ブラギラスクの赤い個体も一緒に、だ…


「赤い個体?」

「レギラスド。ブラギラスクの弟だ」

「兄弟だったのか…」

「あいつらのメスは一度に二つの卵を必ず産む。黒が兄か姉、赤が弟か妹となる」

「なるほど」

「手を貸してやろうか?敵はお前をやる気満々の兄弟だぞ?」

「こういう時こそ厳しくしてくださいよ…俺が助けを求めた時だけ助けてください。代わりに、ブレスレットと光線技、使わせてもらいますよ」

「分かった。やってみろ」


 俺は走り出した。奴らはそれぞれ回転し、ミキサーのように俺を斬り刻もうとしてきた。ブレスレットで盾を出そうとした。その時だった。ブレスレットが勝手にエネルギーを出し、そのエネルギーは剣の刃の形になった。


「剣には剣を、って事か?いいぜ!やってやるよ!」


 俺は右腕を振り上げ、右手拳を左肩に翳した。そして、二匹に接近し、剣を振った。その結果、ブラギラスクとレギラスドの背中にある一番大きな刃を斬り落とす事ができた。


「悪くない切れ味だ…」


 その時、剣の先端に光が灯る。その時、それの使い道が俺には分かった。理由は簡単だ。頭の中に、使い方が入ってきたのだ。


「分かったぜ…!ブレスレット!」


 俺は剣を地面に突き刺した。奴らが俺の方に走ってくる。俺は剣を振り上げるように地面から出した。剣は先ほどの数倍の長さになっており、振り上げて地面から出てきた剣は、ブラギラスクの左膝の刃を、レギラスドの右膝の刃を綺麗に斬った。

 剣は収まる。俺は走った。その時、奴らはお互いを抱きしめた。そして、回り始めた。


「合体技か…面倒だな…だが、問題無い」


 俺はブレスレットから盾を出そうとしたが、出なかった。そりゃぁそうか…こんな強い力、そうバンバン使えたら逆に怖いってもんだ…でもどうしたら…


「武器に頼っても良い。だが、最後に頼れるのは自分自身だ」


 澄火瑠さんが俺にそう言った。ダメだな、俺は…いつまでもブレスレット頼りは…俺は突進した。そして、回転する奴らを素手で掴み止めた。俺の腕には傷があった。今、こいつらに付けられた傷だろう。だが、今はそんな事はどうでも良い。

 俺は二人まとめて背負い投げをした。そして距離を取る。回転か…俺はその場で右脚だけで立ち、回転し始めた。速く、もっと速くと、どんどん回るスピードは上がっていく。そして、俺の右脚に火が灯る。摩擦熱から起きる火だ。

 そして俺は跳び上がった。そして、ブラギラスクの頭を炎の脚で蹴り燃やした。ブラギラスクが倒れる。レギラスドが怒り、俺の方に走ってきた。


「安心しろ。兄弟仲良く、あの世に連れて行ってやる」


 俺はレギラスドの頭に蹴りを当て続けた。奴が考える隙を与えないように、蹴り続けた。休む暇もなく蹴り続けた。そして、奴の首を掴み、体を持ち上げ、地面に叩きつけて…俺は猛攻撃をやめなかった。そして、最後には俺の蹴りが奴の頭を吹き飛ばした。奴の頭が地面に落ちる。俺は、勝てた…勝てたのだ…

 あれからしばらく経ち…

 俺が拳を振ると、澄火瑠さんは俺の拳を掴み止める。俺は後ろに倒れ込み、つられるように澄火瑠さんも倒れ込む。俺はその状態で巴投げをしようとする。

 が、澄火瑠さんは俺の腕を掴み返し、俺の足の裏と自分の足の裏を重ねた。そして、そこから澄火瑠さんは自分が巴投げができる体勢へと転がり変わり、俺はそのまま巴投げをされた。

 俺は立ち上がり、構える。その時には澄火瑠さんは既に構えていた。俺は澄火瑠さんに蹴りを放つ。澄火瑠さんは蹴りで蹴りを防いだ。だが、俺は地面につけていた方の脚と、防がれた方の脚で、澄火瑠さんの脚を挟んだ。そして、回りながら倒れ込む。すると、澄火瑠さんも倒れる。

 俺は澄火瑠さんの腕を掴み、巴投げを成功させる。だが、澄火瑠さんは投げられる瞬間に俺の手首を蹴っており、ただではダメージを受けなかった。俺は距離を取る。

 そして、俺らは同時に構える。澄火瑠さんが俺を蹴ろうとしてくる。俺は腕で脚を押し返し、防いだ。すかさず澄火瑠さんは拳を振った。俺はそれを軽く後ろに跳び、避ける。


「そろそろ時間だな…」

「もうそんなに特訓したか?」

「あぁ…決戦の日は明日だぞ、稲妻の覇者。負けるなよ」

「…俺は負けない。あいつを戻してくる。兄としても、一人の好敵手としても、な…」


 俺は飛んでいく。最後に澄火瑠さんの方を向く。そして、澄火瑠さんに手を伸ばし拳を向ける。


「また逢おう、師匠」

「…最後に一つ言っておく。勝てるかどうか分からない時はコレを言え。『敗北までのカウントダウンを数えろ』。自分が強くなれる魔法のおまじないのようなものだ」

「分かった…ありがとう、澄火瑠さん」


 俺は俺の生まれたあの星へと飛んでいく。そして、星に到着する。俺は俺の家に行く。


「ただいま、父さん、母さん」


 父さんと母さんは俺の顔を見ると嬉しそうな顔をする。そして、何かを覚悟したような顔をする。


「絶対に生きて二人で帰ってきてくれ。それが、俺と母さんの願いだ」

「私たちにとっては、家族皆でご飯を食べれたらそれだけで良いのよ」

「…保証はできない…けど、一つ言える事がある。最善は尽くす」

「頼んだぞ、イナズマ」

「…期待はしないでくれ…だが、任せろ」


 そして翌日、俺はシャドーと別れたあの場所に…力の頂に来ていた。俺はこの星が好きだ。この星の風が好きだ。だが、ここで吹く風はもう嫌いだ。そして、少しずつシャドーは俺の後ろから歩いてくる。俺は振り返る。


「久しぶりだな、シャドー」

「ぶちのめしてやる、イナズマ」

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