第九十話 合衆国西海岸進攻作戦 その19
はい、前回の続きを話します。
ハルゼー提督は、「敵、空母機動部隊、発見」の報告を受けると、指揮下にある空母四隻に直ちに攻撃隊の全力出撃を命じました。
自分の艦隊の上空直掩用の戦闘機まで、攻撃隊に回しました。
幕僚たちからは猛反対されましたが、ハルゼー提督は「俺たちの手札は相手の半分なんだ!オールインするしかない!」と押し切りました。
一方、対戦相手である小沢提督は、自分は相手に発見され、自分は相手を発見していない状況で決断を迫られていました。
まずは、防空に徹して、合衆国攻撃隊の撃退を優先することにしようとしました。
しかし、偵察機の一機が「敵戦艦部隊を発見!」と打電して来ました。
偵察機が発見したのは間違いなく、ニミッツ提督が座乗する戦艦「モンタナ」を旗艦とした合衆国太平洋艦隊の戦艦部隊でした。
幕僚の中には「発見した戦艦部隊を先に攻撃すべきです」と意見具申する者もいました。
他の幕僚からは「戦艦部隊を攻撃すれば、その隙に敵の空母からの空襲を受けてしまう」という反論もありました。
この時、小沢提督にしては決断が遅かったと評価している歴史家もいます。
合衆国空母部隊、戦艦部隊、サンディエゴ海軍基地と三つの目標を攻撃することが任務だったため、迷いが生じていたと歴史家は推定しています。
結局、小沢提督は「攻撃隊は出さずに防空に徹する」と決断しました。
指揮下にある空母八隻から零戦が発艦しました。
空母機動部隊の前衛には、山本五十六連合艦隊司令長官が直率する戦艦八隻がありました。
金剛型戦艦四隻は、直前までは空母機動部隊の輪陣形に組み入られていたのですが、合衆国海軍戦艦部隊を発見したとの報告を受け、水上砲戦の可能性が高いとの連合艦隊司令部の判断により、戦艦部隊に組み入れられました。
空母機動部隊の防空力は低下しましたが、「前衛に戦艦部隊があれば戦艦部隊と空母部隊に敵の攻撃隊は分散するだろう。言わば、戦艦部隊が敵の攻撃隊を引きつける役割をするのだ」と連合艦隊司令部は考えていました。
攻撃隊にハルゼー提督が、戦艦部隊を無視して空母部隊のみを攻撃するように命令したことを連合艦隊司令部は知る由もありませんでした。
戦艦「大和」「武蔵」に設置された日本海軍で最も高性能な対空レーダーは、敵の攻撃隊の編隊を探知しました。
しかし、敵の攻撃隊は戦艦部隊に近づくことはなく、一目散に空母部隊に向かっていました。
この続きは、次回に話します。
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