第八十九話 合衆国西海岸進攻作戦 その18
はい、前回の続きを話します。
空母四隻「サラトガ」「レキシントン」「エンタープライズ」「ヨークタウン」からなる空母機動部隊を率いるハルゼー提督は、部下に次のように訓示していました。
「第一目標、敵空母!第二目標、敵空母!第三目標、敵空母!何がなんでも敵空母を狙え!戦艦なんぞ狙ったヤツは俺がぶち殺す!」
ハルゼー提督は、日本海軍の空母を最優先目標としました。
彼は航空主兵主義者として、「航空機による戦艦の撃沈」を成し遂げたいという願望はもちろんありました。
しかし、空母の数は四対八と劣勢でした。
戦艦を最優先目標にすると、敵戦艦一隻撃沈と引き換えに、自身の空母機動部隊が壊滅すると、ハルゼー提督は計算していたのでした。
あだ名である「猛牛」のように「猪突猛進の猪武者」のイメージが強いハルゼー提督ですが、冷徹な計算もできる提督でした。
ハルゼー提督は、空母四隻に搭載した機体は、艦上戦闘機F4Fワイルドキャットと艦上爆撃機ドーンドレスのみで、雷撃機デヴァステーターは搭載していませんでした。
ハルゼー提督は、目的を「敵空母の飛行甲板の破壊」に絞り込みました。
飛行甲板が使用不能になれば、艦上機の発着艦ができない空母は、ただの海に浮かぶ巨大な箱にすぎなくなり、必ずしも撃沈する必要はありません。
ハルゼー提督は、空母の数で劣勢な中で最適解を選んだと言えるでしょう。
それに対して、日本海軍の空母機動部隊を率いる小沢治三郎提督は、合衆国海軍の倍の空母を指揮下にしていましたが、楽な戦ができるわけではありませんでした。
合衆国海軍の空母を壊滅させ、合衆国戦艦部隊を空襲し、サンディエゴ海軍基地を空襲するという三つの任務を抱えていました。
日本海軍の作戦目標は「サンディエゴ海軍基地の壊滅」でしたが、そのためには、必ず阻止のために出撃するであろう合衆国太平洋艦隊を撃滅しなければなりませんでした。
日本と合衆国の空母機動部隊の戦いは、お互いに索敵機を放つことから始まりました。
潜水艦の通報から日本艦隊の概略位置が分かる合衆国艦隊側が索敵には有利でした。
索敵には海軍基地航空隊の飛行艇カタリナも参加しました。
その内の一機が小沢艦隊を発見し、空中哨戒していた零戦に撃墜されましたが、撃墜される前に「敵空母機動部隊発見!」を打電していました。
その打電はハルゼー提督が座乗する空母「エンタープライズ」のアンテナでも受信しました。
この時点で、日本艦隊は、ハルゼー艦隊を発見しておらず。ハルゼー提督が先手を打つ形になりました。
この続きは、次回に話します。
感想・いいね・評価をお待ちしております。




