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11. 身の危険が発生しない

ヴェルミローネ視点です。

余とブランシュは、コサイ村で情報と必要最低限の食料等を入手する。

村人の話では、父上が亡くなった後、協会が一気に力を増大させ、周辺諸国を初め、他の宗教を崇拝する国までも勢力を伸ばしている様だ。

税収も増加の一途を辿り、コサイ村等の小さな村々は、生活が成り立たない場所も多いらしい。

種族差別も教会の周辺諸国は、奴隷しかおらず、地獄絵図だろうとの事。


この急激な変化から2年前の事件にも協会が関与している事が濃厚だと思われる。

しかし、あそこには、教皇と聖女がいるはず、その様な、強行手段に出るとは考えにくい。

ブランシュに相談してみたが情報が少なくて断定できないとの事。


「ブランシュよ、そろそろ次の村へと向かうとするか?」

「そうですね、ここで仕入られる情報は、このくらいでしょう。」


余がこれほど急いで出立したいのには、訳があった。

村では、お金も無く、宿も無い為に湯浴みもできなかったのだ。

そう、余は、水浴びをしたいのだ!




コサイ村を出発し、次のチュイ村へと続く街道を徒歩で進む。

村が見えなくなった頃、一旦、街道から離れ、森の方へと向かっていく。

めげる事無く、森の中を血眼になって探した結果、やっと湖を見つけた!

余が急いで湖に走って行くとブランシュからストップの声がかかった。


「待ってください、ミローネ様!」

「どうしたのだ? 湖は、すぐそこではないか!」

「湖の中にも危険な魔物がいるかもしれません。 まずは、調査してからです。」

「余のオーラを察知して逃げるのではないのか?」

「水生の魔物は、不意を突ける利点を理解しているので各上の相手でも襲う場合があります。」

「なるほど。」


ブランシュが干し肉を湖の向こう側へと投げるとバシャバシャと何やらたかっている様だ。

それを確認したブランシュは、何やら場所を探し穴を掘り出したでわないか。

人が入れる程の穴を掘ると湖と繋げ、水を溜めて行く。


「何をしているのだ?」

「この方が安全に場所を確保出来るので。」

「しかし、水が濁っているではないか?」

「大丈夫ですよ、この浄化石を漬けておけばすぐに綺麗な水になります。」

「おお~、綺麗になって行くではないか!」


湖との繋ぎ目部分にも浄化石と沸騰石を置き、寄生獣対策もしてくれた様だ。

余は、満面の笑みを浮かべて湯浴みへと向かうと気づいたのだ。

ここには、ブランシュが居るという事に!


「ブランシュよ、覗くではないぞ? ど、どうしてもと言うな・・・」

「少し山菜等の調達をしてきますね。」


ブランシュは、そそくさと森の中へと入っていた。

余は、自分に自信を無くしつつ、湯浴みの準備をする事にした。

すると後ろからガサゴソと物音がする。


(そうか! ブランシュめ、なんだかんだ言っても男と言う事か!)


余が振り返ると見知らぬ男達が20人程、立っていた。

いや、分かってはおったのだ。

明らかに気配や数が違ったのだから、少しくらい期待しても良いでわないか!


「こんな所に魔族の娘がいるとわな。」

「何者だ! 貴様等!!」

「俺達は、山賊さ! 大人しくしていれば痛い目を見らなくて済むぜ。」

「お頭、まだガキだが中々可愛い顔をしていますぜ!」

「ギャハハハ、相変わらずお前は、幼子が好きだな!」


余を絶好な獲物と思った山賊達が気持ち悪い笑顔で下衆な会話をしている。

皆殺しにしてくれようかと思っておったらブランシュが戻って来た。


「やはり、この辺りには、山賊がいましたか。」

「何者だ! テメェは!!」

「おお、ブランシュよ! この者達が余を卑猥な眼で。」

「大丈夫ですよ、この者達は、貴重な資金源です。」

「何好き勝手言ってやがる! 兎人族風情がこの人数に勝てる訳がねぇだろう!!」

「野郎どもやっちまえぇ~!」


山賊達が一斉にブランシュへと向かって行った。

何の能力も使用していないブランシュの動きは、人間でも十分に視認出来るほどの速度だった。

しかし、武器を構え、襲い掛かって来る山賊達を流れる木の葉の様に回避している。

それと同時に山賊達の急所へ打撃を与え、意識を刈り取って行く。

15人を倒すのに1分もかからずやってのけたのだ。

それを目の当たりにした残りの山賊達は、恐怖し、余を人質に取ろうとこちらへ向かって来る。


「てめぇを人質に取って・・・」

「愚か者!」

「あ、ミローネ様、殺しては・・・」


ブランシュの制止よりも早く、残りの山賊達は、肉塊へと変えてしまっていた。

余に触れようとした瞬間に覇気を解放し、余の気当りのみで山賊達は、絶命していたのだ。

森がざわつき、獣達も異変を察知し、我先にと逃げ回っている。


「やっちゃいましたね。」

「ま、不味かったか?」

「いえ、僕が倒した方は、気を失っているだけなので起こしてアジトまで案内させるから大丈夫です。」

「山賊のアジトを突き止めてどうするのだ?」

「今まで取って来たモノを全て没収します。」

「・・・余が言うのもなんだが慈悲の心は無いのか?」

「山賊相手ですからね。」


余は、ブランシュの新しい一面を見た気がする。

それにしてもこの者達をどうしたものか、放置していたらアンデットになるやもしれん。


「ブランシュよ、この者達は、どうするのだ?」

「そうですね。コサイ村まで戻って王都の牢獄へと送ってもらいましょう。」

「ふむ、戻るのか。」

「ミローネ様は、湯浴みの続きをしていてもらって構いませんよ。 魔物達も逃げた様ですし、しばらくは、ここら一帯安全でしょう。」


そう言い残すとブランシュは、起こした山賊達に仲間の死体を担がせ、コサイ村へと戻って行った。

余は、湯浴みをしながらブランシュの帰りを待つ事にした。

・・・。

・・・・・。

やはりここは、余も一緒について行ってブランシュを危険から守ってやらなければなるまい。

決して、余が一人で寂しい訳ではないのだ!


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