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中編


 騎士を目指した日から5年が立ち、俺は正騎士になった。


 正騎士の仕事は街の人々を守ること、要人の警護、訓練などなかなかハードなスケジュールだったが鍛錬は欠かさず行った。


 正騎士になってからの日々はあっという間に過ぎ、ミシェル様が18歳になられた年に隣国との戦争が起こった。


 その時には副団長を任されており、部下達に指示を出しながら戦場を駆け回っていた。

 戦争が始まり1年が経った頃、出会い頭にあった敵将を討つことができた。


 その後は団長に敵将を討ったことを伝え、戦争が終わった。帰る時は凱旋パレードがあり俺は主役だからと一番目立つところに立つことになったがそんなのは正直どうでも良かった。

 早く陛下に確認したかったのだ、俺はミシェル様と結婚しても良いのかと……。





「この度はこの国のために尽くした勇士たちに、敬意を表する。特にリーンハルトよ、今回の戦はそなたなしではこの勝利はなかったと我は思う。忠義を尽くした者には、それ相応の報いを与えねばならぬ何か願いはあるか?」


「もったいなきお言葉、陛下の御心遣いに深く感謝いたします。未熟者ではございますが、陛下のため、さらに励む所存ではございますが、私が願うのはただ一つでございます。


もしも陛下が許してくださるならば、御息女であられる第三王女のミシェル様との御縁を賜りたく存じます」


「……お主は本当にそれで良いのか?」

「はい。私はその願いのためだけに戦い続けておりました」

「……はぁ、わかった。約束だからな、お主はわしとの約束を守った、だからわしもそれに答えよう。お主への褒美は愛娘ミシェルとの結婚だ、この結婚は異例の結婚となる。半年の婚約期間を置いた後、ミシェルをお主に嫁がせる。それで良いな?」


「はい、ありがたき幸せ」


「陛下! 私からもよろしいでしょうか?」


「なんだ騎士団長よ」


「はっ! 私は此度の戦争で治癒魔法でも直せない大きな怪我を負いました。そのため退役しようと思いますので、騎士団長の任を解き、若い者に渡しては頂けませんか?」


「わかった。只今より騎士団長はリーンハルトとする励めよ」


「ありがたく受けさせていただきます」



 俺はこうして騎士団長になり、ミシェルを妻にすることができた。

 ミシェルとの顔合わせの時は緊張のあまりまともに話すことができず会話が続かなかった。

 結婚した後も、ミシェルを無理やり娶った俺の事を嫌いになっていたらどうしようとか、顔合わせの時の態度が悪く映り、嫌悪感を持たれたらどうしようかと悶々としていたらあっという間に日々がすぎ、結婚をしてから5年が経とうとしていた。



 流石にこのままではまずいと思い副団長のカーラに相談をした。

 カーラ曰く5周年記念の日にアクセサリーでも贈ったら良いのではというものだった。アクセサリーならカーラに伝手があるらしく紹介してくれるらしい。


 俺はミシェルに贈るアクセサリーをネックレスに決め、宝石はアレキサンドライトにしてもらった。

俺はミシェルが喜んでくれると良いな、と想いを馳せた。


 それからの俺はミシェルにプレゼントがあると記念日までバレたくなかったために、必要以上に会話をしなくなった……。


 それがこの様だ……。結婚してから5年が経とうとした前日にミシェルから離縁を申し出されてしまった……。



「俺は、ミシェルに嫌われてしまったのか…‥? どこで間違えたのだろうな……。俺がもっと、ミシェルに愛を伝えていたら……。プレゼントを早く渡していたら……。


いやそれよりも、再会した時に告白していれば良かったのだ。君の事がずっと前から好きだった……と」


 再会した時に勇気が出なかった俺は今になって後悔をした……。


 ミシェルが出て行ってから一週間。国王から呼び出されてしまった……。明日、王城に来い……と。


 離縁の話でもされるのだろうか。



「なぁ、セバス。俺は、全部間違えてしまったのだな……。ミシェルが今隣にいないのは全て俺に勇気が出なかったからだ。もし、初めから勇気が出ていたら俺は………。今更後悔したって遅いよな……」


「旦那様、人生に遅すぎることはありません。何がダメだったか気づけばまだ間に合うかもしれませんよ。たまダメな時もありますが、今回はどちらでしょうか?」


「まだ、間に合うのか……?」


「ミシェル様は今、王家の別邸にいるそうですよ。マーサから連絡が届きました。いかがなさいますか?」


「………明日、陛下に会ってからミシェルの元へ行く」



「かしこまりました。そのようにご準備いたします」


「頼む……」





「で、お前何したわけ? 娘から離縁の手続きして欲しいってきたんだけど?」


「実は……」


 俺は陛下の執務室に呼び出されたためこれまでのことを全て話した。


「では我の娘、ミシェルは今の所白い結婚なのか?」

「……そうです。私が意気地無しなために申し訳ありません」

「本当にそうだよな……。で、離縁するのか? するなら手続きするが――」

「離縁の手続きはもう少し待っていただいても良いですか?」


「我は別に良いぞ、ミシェルも思うところがあるようだしな。ミシェルには後悔してほしくないんだよ」


「ありがとうございます! では今からミシェルの元へ行くのでこれにて失礼させていただきます」


「お前のためではないけど、良い報告を待ってるぞ」


 俺は急いで馬に跨り必要なものだけを持ちミシェルの元へ急いだ。

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