後編
今日で家を出てから1週間と4日。
ふとした瞬間にリーンハルト様のことを思ってしまう。あの人は今頃、あの時隣を歩いていた女性と仲良くしているのかな……とか。
ほんと、自分から離縁を申し出たのにまだこの想いは消えそうにない……。
「今日は何をしようかしらね……」
「奥様、本日はお天気がいいのでお庭でごゆっくりされてはいかがですか?」
「……そうね、そうするわ」
「かしこまりました。準備をいたします」
「えぇ、よろしくね」
庭園の花たちはきれいに咲き誇っていた。私の気分は少しだけ上がり、ゆっくりと読書をし始めた……。
「んっ、いつのまにか眠っていたのね……。もう日が沈み始めているわ。屋敷に戻らないと……」
「……奥様、旦那様がいらっしゃいました」
「え? 旦那様ってリーンハルト様?」
「はい。……ご案内いたしますのでこちらにどうぞ」
「えぇ、わかったわ」
私は今、リーンハルト様がいらっしゃる部屋に案内され、ソファーに促された。
「本日はいかがなさいましたか?」
私は他に言かける言葉が思いつかなくて少し冷たい言い方になってしまった……。
「……! ……ミシェルが怒るのも無理はない。全ては私がいけなかったのだから……。それでも、私は今言わなければまた後悔をするだろう……。
ミシェルこの5年間本当に申し訳なかった。
私がもっと勇気を出せていれば違う未来を歩んでいただろうに……。
でも、これだけは信じて欲しい‼︎ 私は幼い頃からミシェルが好きだった‼︎ 今更、虫のいいことを言っている自覚はある。だけど信じて欲しい……。
お願いだから離縁なんて言わないでくれ……」
「私は、リーンハルト様のことが好きでした。初めてお会いした、あの顔合わせの時に私はリーンハルト様に一目惚れをしました。
でも、それは私だけでリーンハルト様はいつも私には冷たかった……。
あぁ、私はやはり望まれない人間だったのか……と再確認いたしました。
それからはできるだけ旦那様に合わせようといたしました。けれどそれすらも無意味でした……。
3ヶ月前、私の最後の砦を壊してしまったのです……。リーンハルト様が女性と2人で楽しそうに歩いていたのをみてしまったのです……」
「女性? 私が?」
「はい、プラチナブランドの髪の毛で、頭の上で一つ結びをした騎士服を着た女性でした」
「……それ、副団長のカーラだと思う。しかも男……」
「そんなはずないですわ、リーンハルト様達はジュエリーショップに入って行きましたもの! 男性が2人でなんて入りません! 隠さなくても良いのです……。私は、もう………」
「いや! 本当なんだ! 5年間、君との仲は進展しなくて、あの時は君と仲良くなりたくて……カーラに相談していたんだ。そしたらアクセサリーを贈ったらいいとアドバイスをもらって、カーラの伝手でジュエリーショップを紹介してもらったんだ……」
「‥…そんな、私の勘違い……。……でも、旦那様は5年もの間私とまともに目も合わせず、夜も別々に過ごして参りました。私との結婚は父があなたに無理やり私を押し付けただけなのでしょう? だからあなたは私に対して冷たかった……」
「それも誤解なんだ! さっきも言ったけど俺は昔から君のことが好きだった……。君を望んだのも俺! むしろ君の父からは君との結婚を妨害されていたんだ!
ただ俺が意気地無しだったのさ……。最初から君にちゃんと言っておけば良かったね
”愛している”と…………」
それからリーンハルト様は、ポツポツと子供の頃からの話をしてくださり、私とリーンハルト様が小さい頃に会っていたなんて記憶にはなかったから驚いた。
・リーンハルト様はその時の出会いで私に好意を抱いたこと
・父と約束をし、婚約をさせてもらえなかったこと。
・結婚してからは緊張しすぎてうまく話せなかったこと
・私に嫌われたくなくて触れてこなかったこと
などなど様々なことを話してもらった。
私はリーンハルト様の気持ちを聞いて、私も自分の気持ちを言わなければ失礼だなと思った。
「リーンハルト様。私は今、離縁をするかどうか迷っています。リーンハルト様が条件を守ってくだされば離縁するのは考え直します」
「君が私のそばに戻ってきてくれるならいくらでも条件を飲むよ」
「私が望むのは……もう一度初めからやり直しませんか? 私はもう一度貴方と共に過ごしたい……。もちろん次は後悔をしない方法を選んで……」
「うん……もう一度はじめたい。……今更だけど結婚5周年で用意したプレゼントがあるんだ、開けてみてくれないかな?」
「……ありがとうございます。これは……ネックレスですか?」
「うん、宝石はアレキサンドライトを選んでみたんだ、この宝石……私たちみたいじゃないか?
昼間は君で夜が私。夜にこの宝石を見て私を思い出して欲しい……。そんな願いを込めていたんだ……。流石に嫌……かな?」
「いいえ、ありがとうございます‼︎ とても嬉しいです。次はカーラさんという人に是非合わせてくださいね! お礼を言いたいです!」
「嫌、だけど……君が望むなら会わせてもいい。……ただし私も一緒にいるからね!」
「はい、是非お願いいたします!」
私達は仲直りをし、これから互いに愛を育んでいく。
これからは素敵な未来が訪れる予感がする………。
これにて完結です!
ありがとうございました!
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