第7話 「ゴブリン達、どう倒す?」
俺はアリスからゴブリンに捕まるまでの経緯を聞いた。
アリスは普段、エリーデルの町で冒険者として活動しているという。
ちなみに冒険者というのは、冒険者ギルドという組織から依頼を貰い、その報酬として賃金をもらう人達のことだ。
普段はなんでも屋のように様々な依頼をこなすが、有事の際には衛兵とともに町の防衛も行うと言う。
アリスもそんな冒険者の1人として、日々依頼をこなしていた。
だが、ある日南にある森からホブゴブリン率いるゴブリンの大群が現れたと町の衛兵からほ知らせがあった。
そこでアリスは集められた冒険者と共に町のために戦った。
だが戦いの最中、不意を突かれ、ゴブリンに武器を破壊されてしまい、無防備になった所を連れ去られてしまったという。
「もし、ダイキさんが助けてくれなければ、私はゴブリン達に食われていたことでしょう」
そこで、アリスはまた頭を下げそうだったので、手で制した。
「話はわかった。じゃあ、アリス、あのゴブリン達を倒す考えがあるんだ。協力してもらえる?」
そこで俺はアリスにある事を聞いた。
「火球?ファイヤーボールのことですか?はい、できますよ」
そういうと彼女は手の平に火の球を浮かばせる。
そこで俺はその火の球に木から折った枝を近づける。
そのまま近づけていると、枝に火が移った。
「風を操るみたいな事はできる?」
「風の流れを変えるような事はできます。ですが、風で火の球や水の球のように相手を傷つけるほどの威力はありません」
むしろ、俺の作戦で要になるのはその風だ。
風を起こせるだけで十分だ。
「よし!次は...」
今度は洞窟の周りをぐるりと一周し、上へ登れそうな所に足をかけ、登る。
すると、中に入った時に見た吹き抜けの場所にきた。
そこから中の様子が見え、ひしめくようにしているゴブリン達が見える。
「あれは!」
アリスが手の平に火の球を浮かべる。
「待て!」
火の球をゴブリン達の真ん中に打ち込もうとするアリスを寸前の所で止める。
「まだ、その時じゃない。その前に木の枝を洞窟の前に集めてほしい。」
そして、森に入り、枯れ枝などを洞窟の前に集める。
入り口付近にゴブリンがいない事は確認済みだ。
「あの...そろそろ教えてくれませんか?」
小枝を集めているとアリスが俺に聞いてきた。
そこで、俺の作戦を話すことにした。
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「じゃあ、アリス。枝に火をつけて、煙を洞窟の中に送って」
「はい」
アリスは火の球と風を使い、煙を洞窟の中に送った。
俺はそれを見ると、洞窟の吹き抜けの上へ移動して中の様子を窺う。
「よし...」
中には予想通り、煙から逃げようとしたゴブリン達がぎゅうぎゅう詰めになっていた。
「中の様子はどうですか?」
後ろから火を付け終えたアリスがやってきた。
「予想通りだ。じゃあ、火の球を打ち込んでもらえる?」
アリスは5つの火の球を浮かべ、密集するゴブリン達に打ち込んだ。
「ゴブ!?ゴブ、ゴブブ!?」
不意打ちを食らったゴブリン達は火の球をまともに浴びて、
体に火が燃え移る。
「ゴブゥゥゥ!!!」
たちまちゴブリン達は燃え、火の勢いが強まり、見えなくなった。
「すごい......あんなに手強かったホブゴブリンをこんな簡単に...」
その様子を見ていたアリスは目の前の現実が信じられないようだ。
「アリス、エリーデルの町までの行き方はわかる?」
「あ...はい。たぶん」
「じゃあ、早く町に行かない?」
俺は異世界に来てから、風呂などに1度も入っていない。
正直、自分でも臭うのだ。アリスはもっとだろう。
「あ、はい...」
様子からして、アリスも薄々感じていたらしい。
俺達は洞窟に背を向け、森へ歩きだそうとした。
だが、その時────
「グオォォォ!!!」
雄叫びと共に吹き抜けから何かが飛び出してきた。
それは────死んだと思っていたホブゴブリンだった。




