ごめん もらってない
「この前の赤猫娘がじばにゃんだとするジャン」
と言いつつ、ソウがチラシの裏に『じばにゃん』と書く。
すると横で見ていたポテタが「ジバニャンはカタかななんデスけど」と言う。
「あ、そうなの?」
と言って、ソウが『じばにゃん』の上に二重線を引き『ジバニャン』と書きなおす。
「プりちーぞくだヨ」
ポテタがすかさず言う。
ソウが『ジバニャン』の下に『ぷりちーぞく』と書く。
「プりちーがカタかナ。ゾクがかンジだヨ」
「漢字書けねーよ」
「え?」
オレは声を上げた。
「あ、初等教育受けてないから? あー、でも、なんでそれで高校生のフリができるんだよ?」
「まあ、それはその他の特殊能力でちゃっちゃとね」
ソウが目を細める。
「さいしょはれベル1だヨ」
ポテタが言う。
「レベルってなに?」
「レベルとは友情レベルのことで、友達になった妖怪を六人編成のチームに組み込んで戦ったり、経験値玉を使って経験値を増すとレベルが上がります。経験値のMAXは99です」
「うわ、先生。来てたんですか?!」
妖怪――もとい、魔物に埋もれていて気付かなかった。
「すいません。お邪魔していました」
真帆先生がずれたメガネを直しながら言う。今日は、茶系のヨレヨレジャージを履いている。
「お声をお掛けしようとしたのですが……」
と口ごもり、ソウの方を見る。
「キツネがいたので」
キツネ?
「先生はキツネがお嫌いなんですか?」
「嫌いっていうか、先祖代々相性が悪いっていうか……」
先祖代々?
「でも、こいつはキツネ顔ってだけで、本当は魔物――」
言いかけて、オレは首をかしげる。
「そう言えば、ソウは普通の人たちも見ることができるよね。他の魔物たちは普通の人には見えないのに」
「それはキツネだから」
先生が言う。
「キツネは人間に化けるのが得意ですから」
「まぁね」
ソウが頷く。
「え!? おまえ、魔物じゃなくってキツネだったの?」
「そうだよーん」
「え、でもおまえ、最初に会ったとき自分のこと『魔物』って言ってただろ」
「そりゃあ、どう見ても普通のキツネじゃないって自分でもわかってるから『魔物か?』って聞かれたら『そうです』って答えるデショ」
はははと笑うソウの膝にポテタがしがみつく。「れベルをかいテナイよ」
「あ、はいはい」
ソウが『ぷりちーぞく』の下に『れべる1』と書く。
チラシをじっと見つめたポテタが
「オニイちゃんはジバにゃんとたたかったノ?」
と聞いてくる。
いや、あれってジバニャンだったか?
ソウが
「戦ったよ」
と応じる。
「メだるは?」
「うん?」
「ヨウカイとタタかってトモだちにナッタらメダルをもらうんダけど、メだるをモラった?」
オレはソウと顔を見合わせた。
「ごめん、もらってない」
「ジばにゃんはイチばんトモダチになりヤスいのに」
あ、今、弟に失望されました。




