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ハイキョガール事件 その4

前回休んで一週間ほど時間があったので今回はちょっと長めです。

ヒダたちはハルカのいる犬屋敷アンティーク廃墟で事情を調べていた。

「とりあえず自己紹介からしてくんねェか?」

「それじゃあ紹介するわね。こっちがイサブローとシンペー、あっちの白い子たちがシラサギとハクタカ、あのくろぶちの子はクロシオ…。」

「いや、犬じゃあなくてお前ェ自身のことだ。」

「あ、私?私は天王寺ハルカ。今年の春に汐留市に来ました。その前はお父さんの会社の都合でイギリスのロンドンにいました。小さいころから海外暮らしだったので日本の暮らしに慣れてませんがこれから頑張るのでよろしくお願いします。って始業式の日に言ったけど…。」

「マジでか。覚えてねェ。」

「ほら、あんときヒダ、探偵部作るって言って他の人の自己紹介どころじゃなかったからだよ。」

とカイジが補足する。

「あァ。そうだったなァ。」

「じゃあ、ハルカちゃんって帰国子女ってこと?」

とコマチが自分のナップサックのユニオンジャックを見せながら言った。

「うん。だからこの洋館に惹かれたのかもね。」

「じゃあ、今までの経緯を教えてくれ。」

ヒダは本題に戻した。

「私はロンドン暮らしのとき、オリンピック会場の近くの社宅に住んでいたんだけど貧しい人が多い地域だったの。お父さんはそういう人たちに職を与えるっていう職業で貧しい人たちに優しくしていたの。だから私も誰かを助けたいって思うようになったの。それで汐留市に引っ越してきたら、ここには貧しい人は見当たらなかったけど家の近くにこの洋館と野良犬たちがいたから助けないとって思って。4月から世話してるの。」

「なるほど。ボランティア精神ってやつかァ。探偵部とつながるところもあるなァ。」

「半分はヒダの私利私欲だけどな。」

「カイジ、だまれ。」

「そういえば、アズサちゃんが言ってた、ハルカちゃんが男の子の話にがっつくってどういうこと?」

「あっ!それ!それを言わなくちゃと思ってたのよ。」

とハルカがいきなり大声を出した。

「実は時々、ここにいたずらしにくる男子生徒がいるの。ワンちゃんの頭に変な機械をつけたり、洋館に謎の地下室がいつのまにか作られてたり…。」

「それいたずらのレベル超えてるしィ!つ~かそれ絶対あいつだろ。」

ヒダはカイジとコマチに目配せした。二人とも誰のことか分かったようだ。

「あなたたち誰がやったか知ってるの?」

「まァな。ちょっとメンディーやつなんだが俺の友達で一緒にロケットを作った仲だ。今日も理科の先生と残って何か作ってんだろ。カイジ連れてきてくれィ。」

「おれはパシリか。」

と言いながらカイジは学校から「あいつ」を連れてきた。

「僕が土浦ヒタチである確率は100%だが?何か用でも?」

「あなたここでワンちゃんとか洋館にいたずらしたでしょ。」

「いや100%真面目に考えてした行為だ。強いて言えば99%の好奇心と1%の茶目っ気でやった。」

「どんなエジソンだよ。」

とヒダがツッコんだ。

「まァ、これでハルカもヒタチもこの洋館がいるっつ~ことが分かった。この洋館買うぜ。」

「ヒダが買うのか?一人で?」

カイジが驚く。しかし、不敵な笑みでヒダは答える。

「いや、ここは探偵部の人脈を使う。まず、この土地と洋館を所有してんのはヒロサキグループの会社だからツガルの母ちゃんに頼んでもらって、学校の使用許可は児島生徒会長に承諾してもらい、犬はハルカが世話できる。よし、いけるッ!」

一週間後。keep outの看板が外され洋館には汐留市のプレートが付けられていた。

「いけちゃうのかよ!」

とカイジがシャウトした。

「いやァ、探偵部の人脈がすげェってことだぜェ。持つべきものは権力者だなァ。」

「アズサちゃんには言ったの?」

「あァ、「私の予想の270度上を行ったわね。」だとよ。意味わかんねェ。」

「それって褒めてるんじゃない?」

「さァな。」

この日は中学生によって汐留市の廃墟が一つ減った日になった。

僕は小学校のとき秘密基地に憧れていたので元廃墟の学校公認の建物なんて羨ましすぎます。

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