ハイキョガール事件 その3
ヒダは廃墟の前で今朝のアズサとの話をカイジとコマチにしゃべった。
「なるほど。クラス長のクラスメイトへの心遣いって感じか。」
「それって、ヒダはアズサちゃんの負担を軽くしてあげたいってことよね。」
「そんなんじゃあねェ。互いの利害が一致しただけだ。普段は俺もアズサも人に頼ったりしねェからなァ。」
「素直じゃないわね。」
「フン。それより天王寺は出てこねェなァ。流石に心配になってきた。」
「なあヒダ。まさかずっと待つわけじゃないよな?」
「ううん。ヒダはいつも単刀直入、大胆に行動する男よ。そんなことしないわ。」
ヒダはフッと不敵な笑みをこぼした。
「もちろんッ!入るぜェ、このアンティーク廃墟になァッ!」
ヒダたち探偵部一行はkeep outの看板を越え、荒れた庭を越え、あのライオンの彫刻のある玄関の前まで来た。
「一応ノックはするぜ。」
ヒダはそのライオンがくわえている錆びついたリングでノックした。
「ゴンゴン」
と鈍い音で玄関が鳴った。が、中からは反応が無い。
「チッ。ドアを壊すしかねェなァ。二人ともちょっと離れてろ。助走つけて壊すぜェ。」
そう言ってヒダは玄関から少し離れ、位置に着いた。
「行くぜェッ!オラァ!」
とヒダが走り出したその瞬間いきなりドアが開いた。しかしヒダは急には止まれない。そのまま家の中に走り込み、玄関の段差につまずき
「どってーん」
とこけてしまった。
「いってェ。誰だァドアいきなり開けたのはァ。」
「あなたこそ他人の家の玄関を壊すもんじゃないわ。」
そこには天王寺ハルカが立っていた。
「あなた、ここに何しに来たの?正直に言いなさい。」
とハルカは追い詰めるように言ってきた。
「おいおい。そりゃあこっちのセリフだぜェ。お前ェ不法侵入罪だぞオラァ。」
「だってそれはあなたたちが最初にやって来たんでしょ。だから私はここを守ってるの。」
「話がかみ合ってねェぞ。俺たちは汐留中の探偵部だ。うちのクラス長からの依頼でここまでお前ェを尾行してきた。お前ェここで何してんだァ?」
「松本さんが…。何で?」
「お前ェが学校で不審な行動してっから心配してんだよ。ガラにもなく俺に頼んできたからなァ。で、何か隠してんだろう。」
「まあ、そうね。とりあえず中に入って。」
ヒダたちは廃墟の中に入って行った。
「ここがリビングよ。」
そこは天井が高く、豪華なシャンデリアが吊ってあったが蜘蛛の巣と埃で輝きは失われている。しかし、そんなものよりもっと異様な光景が広がっていた。
「クゥ~ン、クゥ~ン」
「よしよし。イサブローいい子ね。あっシンペー部屋から出ちゃだめよ。」
「おい、何だこりゃあ。」
「何って犬に決まってるじゃない。」
リビングには十数匹の小汚い犬が所狭しと動いていた。
犬の名前の「イサブロー」と「シンペー」は九州の列車名から付けました。
でもハルカが名前を付けてるならだいぶ渋いですよね。




