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第75話 無限ダンジョンイベント攻略 その④ 対閃光防御編

「なんか薄暗いねー」


 地下8階へと転移し全員揃ったところでヘヴンリーがボヤく。

 この階層だけはこれまでと違って視界がやや暗く、奥の方が見にくくなっていた。


「ここまで属性バラバラだったし順番的には光なんだろうけど、暗いのは意外ね」


 ここまでの流れからマホ以外の経験者組は、今回ランダムと言われていた属性が地下10階までは固定なのだろうと予想していた。

 特に属性が出揃うこの階までは。


「闇がアレだったんだ。光も何かしら厄介な特性でもあるんだろう」


 リョウヤは言葉とは裏腹にテンションの高揚を隠せていない。

 余程氷や闇のフロアの難易度変化に歯応えを感じたらしい。



「よーし、最初の犬がいるところまでゴー!」


「おー!」


 マホの号令にヘヴンリーが応え、奥へ進み始める。


 するとすぐにこの階層の特徴が見えてきた。


「なんか……光って……ます、よね?」


 明らかにそうなのだがレイは自信なさげに言う。


「犬おるとこあたりやな。っちゅーことは……」


「モンスターが光ってる?」


 ティエラからこのフロアが光属性だと聞いていたことでマホもそれに気付く。


「まだ全然離れてるよー? ここでコレなら近くは結構ヤバくない?」


 光が見えているとはいえ、ここまでならまだその姿も見えていない位置だ。

 ヘヴンリーの言う「ヤバさ」はリョウヤ達には伝わったようだが、この時点ではマホにはまだわからなかった。


 しかしそれも近付くまで。


「うわっ、眩しっ!」


 マホもすぐに理解した。その直視できないほどの光に思わず手を翳して顔を背ける。


「まさかこんな形で魔法や遠距離を封じてくるとはな。みんな俺の後ろに!」


 リョウヤは咄嗟に盾を前に出して光を遮ると、全員をその背後に回らせる。


「近接組はリョウヤちんがこれで攻撃も押さえてくれればこうやって飛び出して攻められそーだけど……リョウヤちんがいない深夜組がコレに当たったらどーしよっか」


 ヘヴンリーが今は動かない相手に向けてシミュレーションしながら、自分達が抜けた後の時間をプレイするアーク達に問いかける。

 深夜組のアーク、スマイル、それにオールラウンドに参加するレイ、あと一応撮影だけをする気のハートにも盾はない。


「眩しいんならコレっス!」


 アークはそう言いながら装備を追加する。


「おおー、サングラス! あー君カッコいい!」


 アークが装備したのはそのまんまスポーツ用サングラス。その野球のユニフォーム装備にピッタリ似合っている。

 それを見たマホがテンションを上げるが、


「それってなんの効果もないデコ装備じゃ……見えそう?」


 ティエラは冷静に確認を入れる。

 これは元々見た目に変化をつける為だけの装備だが、この状況には適切に見える。


「見えるっス! これなら狙えるっスよー!」


 サングラスは装備すると視界がやや暗くなり、ゲームプレイにはあまり向かないというのがこれまでの評価だったのだが、ここにきてその評価を一変させることになる。


「ならあたしもこの後買っておこうかな。さすがに持ってないしね」


「あっ、あーしも! いちおー買っておくー」


 ティエラとヘヴンリーはその効果が確認されたことで購入を決める。


「俺たちは無理だな。シリーズ装備は武器以外他に装備できないからな」


 シリーズ装備はその縛りあっての効果だ。

 リョウヤは同じシリーズ装備を身に纏うマホとレイを振り返りながらそう告げる。

 最後尾のハートはアークからの結果報告を受けた時点で既に忍者シリーズを解除し、サングラスを装備していた。飽くなき撮影への執念である。


 そして残ったスマイルはというと、


「ウチはこの魔女の仮面で……って、コレ目の周りしか隠れてへんやんけ! 眩しいわ!」


 黒い羽のような素材の目元だけの仮面を装着したスマイルだったが、肝心の目は守られておらず、一人ノリツッコミしていた。


「じゃースマぷーも買いに行く?」


「せやな、魔法が打てんことには役立たずやしなー。けど、この装備に合うサングラスなんてあるんか……?」


 ツインテール魔女姿のスマイルにはサングラスはさすがに似合いそうにない。


「どーせこの中でしか使わないっしょ。光を引かなきゃそれこそ使わないんだしさ、なんでもいーよ」


 自虐するスマイルとは対照的に、これまたサングラスは似合わなそうなビキニアーマーのヘヴンリーは楽観的だ。



「私は光もみんな頼りかな……魔法が使えそうだったらやってみるね」


 氷に続いて戦力になれないとわかり、力なくそう言うマホ。


「けどたぶん見た感じ半分くらい魔法の方が効きそうだよー! 実体あるタイプは武器が効きそうだし、氷や光はむしろ任せて欲しいなー!」


 そんなマホを希望を伝える形で励ますヘヴンリー。

 ヘヴンリーの予想が当たっていれば、火、水、風、雷、闇とマホに頼ることになる相手の方が多い。

 まだダメージの表示もなく倒せていたのでどの攻撃が通じるのかは判明していないが。


「せやで。ウチら魔女の出番はぎょーさんあるんや。みんなにも見せ場譲ってやらんとハーちゃんの動画、マホっちばっかりになってまうで?」


「僕はそれもいいかと──」

「ハーちゃんは黙っとき!」


 ハートはマホ中心の動画編成もアリなようだが、それを言い切る前にスマイルに遮られる。

 というかそうさせる為に敢えて口にした。


「ははっ、わかった。みんなで楽しもー!」


 自分中心の思考になっていたマホもこのクランの大原則を思い出す。



「それじゃーこのシャインドッグを倒して次行くっス! きっとシャインマンにシャインバードがいるっスよ!」


 マホのその言葉に、アークも先を楽しもうとテンションを上げて目の前で光るシャインドッグへ一球投じる。


 しかし、


「あー君、あんまり社員社員言わないで……なんか仕事を思い出して憂鬱になるわ」


 ティエラはテンションダダ下がりだ。


「ティエりんそんなこと言わないでよー……あーしまで思い出しちゃったじゃん」


 つられてヘヴンリーまで肩を落とす。


「ほら、行くよー!」


 その感覚のわからないマホはもう先に進み始めていた。

 そして次の人型のモンスター、シャインマンと遭遇する。


「うわー、めっちゃ“社員“意識しとるやん。あれビジネスバッグやろ?」


 手を顔の前に出してなんとかその姿を視認したスマイルもげんなりしている。

 人の形をしたソレは右手にサラリーマンの持つようなバッグらしき物を持っていた。それも光っているので具体的にはわからないが、そういう話をしていたのでよりそう思えてくる。


「むしろブッ飛ばしてストレス解消するっスよ!」


「それや! ヘヴンリーならやれるやろ! いてまえ!」


「そっか! よっしゃー! このクソ店長がぁー!!」


 スマイルに煽られてヘヴンリーが必要もないのに全力で斬りかかった。


「おいおい……」


 盾を翳していて、間近で聞いてしまったリョウヤが呆れる。


「ふー、スッキリしたぁー」


「ヘヴンリーさん、今のはちゃんとカットしておきますからね」


「あっ、ヤッバ。ハーちゃんよろしくー……あはは」


 ハートの言葉に冷静になると暴言を録画されていることに気付いて笑って誤魔化す。


「ありがと。あたしも今ので少しスッキリしたわ」


 ティエラも何やら鬱憤が相当溜まっていたらしい。

 だからこそストレス解消ゲームというセンブレに手を出していたのだが。


「き、気を取り直して行きましょう!」


 マホ同様にそういう感覚がまだわからないレイでも何かを感じたらしく、珍しく率先して声を出した。



「ここもボスは何もせずっと」


 レイが光のエレメントを倒し、ヘヴンリーがドロップを確認する。


「またカケラゲット! 次行くよー!」


 全員が光のカケラを入手し、マホは現れた水晶玉に触れ更に先へと進む。

 同時にリョウヤ、ヘヴンリー、ティエラの三人も転移する。



「「なにここ!?」」


 他のメンバーが到着する前、地下9階にはマホとヘヴンリーの叫び声が響いていた。


お読みいただきありがとうございます。


お待たせしました。無事完調です。

モデルナはとんでもないですね。。。


そして一気に10階とはなんだったのか。


※10/24 雷フロアの抜け修正に伴い階層数を修正。

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