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第58話 トライアングルのメインダンジョン攻略 その⑥ 殲滅魔法編

 マホの言葉を受けて、ハートは四角いフロアの左前に進み出す。

 既に何度も攻略しているハートは次の階段の位置も把握している。なので最短距離かつモンスターとの戦闘も最小限に抑えて走っていく。


 そんなハートが視界の先に消えていくのを見送ったマホは階段の前という安全地帯で待機している。


 そして待つこと数分後。


『マホさん、階段に着きましたよ』


 ハートからフレンド通話が届く。


「わかった。そこで待っててねー」


 そう答えたマホは部屋の左側に向かって走り出す。

 すると早速スケルトンに遭遇するが、マホはそれをスルーして走り抜ける。

 スケルトンの方はマホに気付くと後を追い始め、更には近くの同種とリンクして数も増えた。


 マホが端の壁に着く頃にはスケルトンの他にリビングデッドとここで初めて遭遇したゾンビウルフというまんま腐肉を垂らした狼のゾンビが後を追っていた。


 そこから今度は対角線にターンし走り、フロアの中央まで来たところで叫んで更に周囲のモンスターを呼び寄せる。


「ほらほら、私はこっちだよー!」


 大量のモンスターをトレインしながら対角に着くと、最後は階段のある左へと曲がる。

 マホはここに来るのは初めてだが、ハートを先に行かせたことで階段の位置は予想できた。

 もちろんハートが走り出した方向に階段があるとは限らなかったが、自分が対角に走った時間とハートから報告が来るまでにかかった時間からほぼ間違いないと思っていた。

 それに右の角でもそこで止まれば良いと考えていたが、そこに階段はなかった。


「あっ、ハーちゃーん!」


 視界にハートが映ると手を振って呼びかける。


「もしかして後ろにいます?」


「うん!」


 ハートの視界にはマホしか映っていないが、マホの方には大量のモンスターがついてきている。


 ハートの前まで来ると、クルッと回ってモンスターと相対して杖を構える。

 20匹は軽く超えるモンスターが迫る中、マホは冷静に詠唱を始めた。


「我の源たる魔の光よ 闇を照らし全て浄化せよ! アンチダーク・ホーリーライトニング・ジャッジメント!」


 マホが魔法を発動すると、フロア全てを照らす程の強烈な光が迸り、集まったモンスターを全て屠ってしまった。

 それぞれにダメージが表示されているのが重なり合って、もはやどのモンスターにどれだけのダメージが通っているのか全くわからない。


「おおお! これはすごい!」


 マホの宣言通りの「すごいの」にハートも思わず叫ぶ。


「へへー。どうなったのかは後でね」


 自分でも録画しているマホはパチンとウインクして見せる。


「おっと、今の声に反応してしまったみたいですね。楽しみすぎるので早く終わらせましょう」


 ハートが叫んだことでハート視点の近くのモンスターが近寄り始めたようだ。


「ふふ、わかった」


 階段を降りていくハートを追ってマホも下へ向かう。



「さて、ご覧の通り次は迷路です。外のピラミッドとは少し違いますから気を付けてくださいね」


 階段を降りると、いきなり狭い道が二手に分かれていた。


「ここでー? ハーちゃん、もう迷うことはないって言ったじゃん!」


 マホはハートのその言葉からてっきり迷路はないのかと思っていた。


「進んでみればわかります。さぁさぁ!」


 抗議してくるマホを宥めるというか押し出すように進ませる。


「わ、わかったってばー」


 渋々迷路の攻略に入るマホだったが、すぐにハートの意図に気付く。


「あれ? 全然行き止まりがないね」


 迷路ダンジョンのピラミッドの時は、ハズレは行き止まりでひたすら正解のルートを探す、というものだったのだが、ここは分かれ道はいくつもあるのに行き止まりがほとんどない。

 それに前の階とは打って変わってモンスターが全くいない。


「ていうか、ここもさっきの道も繋がってる?」


 一つの分かれ道で選ばなかった道が別の分かれ道で合流する。

 無数にあるように見えるルートもどこを通ってもあまり変わらないようだ。


「そういうことです。つまりここは正解のルートを探す迷路ではなく、出口を探す迷路ということですよ」


 もし迷うというならどこに行けばいいのかということくらいで、それも割と簡単に総当たりできる。

 それがハートの言葉の真意だった。


「なるほど……」


 そしてあっさりと外周寄りに一周する。


「こっちに何もないってことは真ん中かな?」


 そうアタリをつけてマホは進む。

 そして中央に壁に囲まれた空間があり、やってきた側の反対にそこへの入り口を見つける。


「ここは……階段じゃない? あっ、この床!」


 その空間の真ん中の床がかなりの範囲色が異なっていることに気付く。


「もしかして落とし穴から進むの?」


 罠として設置してある落とし穴と色は同じだが、その広さや雰囲気が違う。


 マホの問いにニコリと笑って答えるハート。


「うーん……この感じ……ボス部屋?」


 この落とし穴は入り口に飛ばす罠とは違うと確信したマホは、その先に待ち受けるモノを更に予想する。

 それはこのゲームを始めた頃のマホには絶対に気付けなかった空気感だ。


「ふふ。だいぶゲーム自体にも慣れてきたようですね。こういうのはなかなか初心者には気付きにくいんですが」


「えへへ、そうかな?」


 自分の進歩を実感し嬉しそうに頭を掻く。


「さて、と。ここは僕から行きましょうかね。ボスを倒して録画する用意ができたら呼びます」


 先に行くのはあくまでもマホのボス戦を撮る為。


「うん。モンスターもいないしここで待ってるよ」


 マホがそう返すと、ハートは落とし穴に飛び込む。

 マホの方には床に変化はなく、消えていくハートの姿だけが映った。


 そしてこれから対決することになるボスの姿を予想しながらハートからの連絡を待つ。


「ピラミッドといえば……ミイラ? モンスターもアンデッド系が多かったし……」


 マホがイメージしていたのはギルドで受付をしていた包帯グルグル巻きのミイラだ。



『マホさん、終わりましたよ』


 イメトレしながら待つこと約20分。ようやくハートからのボス討伐報告が届いた。

お読みいただきありがとうございます。


某光天使ブックス‼︎とは一切関係ありません。

と言って、このネタは今も通じるのでしょうか。

収録パックがJUDGEMENT OF THE LIGHTというのは確認して気付いたくらい偶然です。


何の話なのかわからない方はスルーしてください。

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