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第53話 トライアングルのメインダンジョン攻略 その① 記念撮影編

「ハーちゃん、映ってるー?」


 トライアングルのメインダンジョン、最大のピラミッドを前にマホがはしゃいでいる。

 今回初めて自分を撮られることを意識しながらのプレイだからだ。

 その姿はまるで活発だった小学生の頃の運動会で両親にアピールをしていた時のようだった。


「ええ。でも、普通のカメラと違ってズームはできませんからね」


 撮っているハートもどことなくテンションが高めだ。



「おう、このダンジョンに挑むのか?」


 やはりここにも鎧を着た男が立っていて、マホに話しかけてくる。

 もちろん、その為に経験済みのハートとはパーティを組んでいない。

 なのでモンスターとの戦闘はマホの姿しか映らないが、それは他のメンバーも納得している。


「ハーちゃんが見てるし壁にぶつかるのは避けなきゃ。はい! 行きます!」


 マホはツインのダンジョンで同じように立つ男を無視して進もうとして見えない壁に顔面を打ち付けたのを忘れていなかった。

 今回はさすがにすぐに答えて男のいつものヒントを待つ。


「ここの前にちゃんと他のピラミッドには行ったか? ここはその要素が詰め込まれている。一つでも多く見てから入ることをお勧めするぞ」


「そうなの? ハーちゃん」


 男のヒントを今回はハートがいるので確認してみる。


「そうですね。大型モンスター以外は大抵出てきますよ」


「へー! わかった。ありがと、おじさん!」


 まだ見ていないダンジョンはあるが、それでもテンションは上がった。

 男に礼を言ってピラミッドを見上げる。


「俺はおじさんじゃねぇ!」


「へっ?」


 思わぬ返事に振り返るが、男はもう微動だにしない。


「はは、彼のモデルは老け顔の開発スタッフらしくて、「おじさん」と言われると反応するんですよ。僕も聞いたのは初めてですけど」


「そんなのもあるんだ。ねぇ、おじさん?」


「俺はおじさんじゃねぇ!」


「あはは! すごーい」


 ハートの説明を聞いて尚、試すあたりが子供らしい。



「そうだ、ハーちゃん。ここって外側から上に行ったりできるのかな?」


 またピラミッドを見上げたマホが問いかける。


「行けますが意味はないですよ。特に別の入り口があるわけでもないですし」


 ピラミッドはどこも真ん中の入り口に向かって階段があり、外側にはピラミッドを形作っている砂岩しかない。

 それは周囲を歩くだけでわかるし、登ってみようとしたプレイヤーもいたが特に何も見つかっていなかった。


「入る前にちょっと行ってみていい? 天辺(てっぺん)に立ってるとこ撮ってよ!」


「はは、いいですよ。(本当に若いんですね)」


 この時点でハートはマホの年齢にある程度予想がついた。


「じゃあ、先に行くね。お気に召すままに♪」


 魔法のホウキを呼び出して飛び立つ。

 ハートはその姿をまずはしっかりと収める。



『ハーちゃーん! 早くー!』


 頂上に辿り着いたマホがフレンド通話で急かしてくる。

 ハートの視線の先では小さく見えるマホが手を振っていた。


「はい、すぐ行きます──」

『きゃっ!』


 それにハートが返事をしようとした瞬間、マホの悲鳴と共に僅かに見えていたマホの姿が消えた。




「いたたた。って、痛くないんだった。えっと、確か天辺が崩れて落ちて……ここはピラミッドの中?」


 マホがピラミッドの頂上でハートに呼びかけた時、床が抜けて内部へ落下したのだった。


『マホさん! 大丈夫ですか!?』


 そこへすぐハートからフレンド通話が飛んでくる。


「うん、大丈夫。中に落ちちゃったみたい」


 そう言いながら周りを見渡す。

 空いた天井の穴から光が差し込み、マホを中心に明るくなっていて、その明暗差から奥の方がよく見えない。


『僕の方からは落ちた場所もそのままで立っても入れません。おそらくこのパターンはパーティ用のバトルフィールドです。モンスターがいるはずなので気をつけてください!』


 ハートの方にはマホが落下した天井の崩落もなく、同じようにしても入れなくなっていた。


「えっ? うん、わかった!」


 モンスターがいると聞いてマホも身構える。


『それと、この先合流するまでマホさんが録画しておいてくださいね!』


 マホの心配を真っ先にしたハートだったが、動画に関してはブレなかった。


「あ、そっか。確か左上の赤い丸を……と。まずはモンスターが見えないから動かなきゃ」


 マホも言われて録画を始める。

 そして、モンスターを確認するために今いる光の柱の中から飛び出した。


「えっ? 広っ! ここ、あの下だよね? てか、デカっ!」


 上に見える穴との距離を考えてもそう広くないはずが、野球場くらいの広さがある。

 そして、ようやく見えたモンスターはキマイラ並みのシルエットだった。


『おそらく特殊な空間になっているんでしょう。──はっ。まさかと思いますが大型モンスターですか?』


 ハートは自分でいないと説明したはずの存在に思い至る。


「えっと……たぶん。ドラゴンっぽい……あっ、ドラゴンゾンビって名前が見えた!」


 マホにはまだ朧げだが、長い首に翼と太い4本の脚が見えていた。


『は?』


 このゲームでは聞いたことのないその名前にハートは自分でも出した記憶のない声が出た。

お読みいただきありがとうございます。


さっそくやらかしてくれました。


明日更新できなければ次は三日後くらいになります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 保護者ァ! あれほど離れるなと… 美味しいとこ、逃しちゃうねえ? [一言] 作者のおじさん、うぽつです!←
[一言] ドラゴンゾンビ……、素材は毒系かな?
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