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第四話 「エルミナ・ヴァルキュロス」(2)

※ 本作品は、一部に生成AI(ChatGPT&Gemini)を活用して構成・執筆を行っています。設定および物語の方向性、展開はすべて筆者のアイデアに基づき、AIは補助ツールとして使用しております。誤字脱字または展開の違和感など、お気づきの点があればコメントをいただけると助かります


閲覧の際には、上記の旨をご理解のうえ、読欲をお満たしください。


 午後。王立魔導学校の制服に袖を通した私は、アメリア様とともに登校した。もちろん、年齢は偽っている。書類上は十八歳の同級生となっているが、本当はそれなりに年上だ。周囲は誰もが私を王女殿下のお付きと認識しているが、その裏まで知る者はいない。

 セレヴィーナの姿はない。別の授業に出席するため、既に教室へ向かったのだろう。

 そして、校門の前。偶然を装って現れた青年の姿があった。グレイン・オルテンだ。

「おや、姫殿下。今日もご機嫌麗しゅう」

「あ、グレイン! おはよう、こんにちは!」

 にこやかに話しかけてきたその顔に、私は静かに観察の目を向けた。彼に関しては、記憶とほとんど変わらない。

 要監視対象だ。彼は一周目でも厄介だった。セレヴィーナには劣るが、火種だった。偽造、捏造、裏取引、そして革命の煽動。オルテン家もまた、第二次革命の一因と言える。

 表では庶民の味方を装いながら、裏では貴族や聖職者と手を組んで国外逃亡を計画していた。自分たちは高みから眺め、混乱が収まったら戻ってくるつもりだったのだろう。

 セレヴィーナの密告がなければ、貴族に代わって王国の中枢を担っていたかもしれない。

 今、この男はアメリア様に接近し、また何かを画策している。私はそう睨んでいる。直接の接点は少なかったが、彼の性格と行動パターンは読みやすい。

 自身を賢者と思っているような人間だ。まあ、勘違いとも言い難い。私よりも頭脳が回るのは確かだろう。

 当然、油断などしない。


 *


 昼下がり。事件は突如として起きた。

 実験棟の一角が、不自然な魔力の軋みによって揺れ始めたのだ。妙薬学の授業中だった。

「はい。」

「これは?」

「グレイン、魔力少なそうだし、これでちょっとは強くなれるかも~って」

 アメリア様が手にしていたのは、虹色に光る液体。笑顔を浮かべながら、悪びれもなく差し出している。

「材料は、何を?」

 男は声が引きつっている。無理もない。アメリア様の笑顔の裏に、どれだけの魔法的災厄が込められているかを、彼はまだ知らない。

「うーん、まず何かの肝と、あと集中するやつと、気合い入るやつと……あとフルーツ。美味しくないと飲めないし!」

 恐ろしいまでの無邪気さに、口は挟まなかった。私の仕事は、事態を見届けること。そのうえで、手遅れになる前に回収すること。

「いや、それは。効果も定かではありませんから」

「私飲んだけど、ただの甘いジュースみたいな感じだよ?」

 グレインの視線はあらゆる逃げ道を探していた。だが、遅かった。

 アメリア様は瓶を分け、周囲の生徒たちに手早く配りはじめた。その笑顔に、誰一人断ることなどできない。

 私もまた、次に起こる混乱に備え、腰を落とし、魔力を掌に集めた。

 私はアメリア様を抱きかかえると、静かに後ずさった。教室の扉の外に、押し出すようにして丁寧に放り出し、すぐに扉を閉めた。

 護衛対象の安全は、何よりも優先する。それが私の在り方であり、存在理由でもある。

 すぐさま、予想どおりの騒ぎが始まった。

 屋内で光の奔流が暴れ回り、天井に張られた結界が青白く脈打った。空気が振動し、皮膚がピリつく。魔力が周囲に伝播し、感情は高揚し、魔法詠唱の抑制が効かなくなり、数人は宙に浮き、幻覚を訴え始めた。

 全員、軽度の暴走状態になっていた。

「わああ、皆すごいことになってるー!」

「異常反応だ! ああぁ、アメリア様の行動は毎度ながら災厄の形をしている……!」

 混乱の中心で、グレインが泣きそうな顔で封印陣の展開を開始していた。

 対象は教室全体、そして半暴走状態の生徒、約二十名。

 その行動に無駄はなかったが、あの混乱をすべて封じ込めるには、彼一人では荷が重い。

 私は最小限の術式補助を行いながら、状況の全体像を把握することに集中した。



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