魔法使いの弟子
基本的に、同じようなことで悩んでいる、ということが、いろんな作品を読むとわかってくるのではないだろうか。うまい小説、面白い小説を書くということではなく、問題意識を言語化するということに対して意識を向けた執筆をしていたと思う。自分の中で、問題があることがわかっているのに、それをうまく言葉にできなかったので、小説という形で、なんらかの出力をしたかったのではないだろうか。
魔法使いの弟子
「兄さん、おれは気がめいってるんだ。どうすればいい」
「うん、どういうことかな」
兄さんは、ソファにゆったりと腰掛けながら、言った。
「ねえ、だってさ、校内放送がかかっているときに周りがうるさくっても、おれはしずかにしてってなかなか言えないんだ。数多くの友達がだれかの悪口を言うんだ。テレビは、いやな世界のことを話すし、ある友人は、片想いしてるんだ。さらに別の友人は、けっこうな不細工で、きっと永遠に結婚できないんじゃないかって言ってるんだぜ。しかも、おれ、なににも興味が持てないんだ。わかるだろ、この状況。正直言って、かなり不愉快な状況なわけなんだけどさ」
なあ、どうすればいいと思う。
「つまり、希望がないわけか」
「ああ。そういうことだよね。希望が欲しいんだ」
「そうだな、こう、きらりと希望の光がさしこんでくれれば、それに勝るものはない」
沈黙。
「けど、どうにも、ぼくには、景に希望の光を差し込ませるやり方がわからんよ」
かなり絶望的な言葉だった。だが、そのあとにさらに続く。
「やり方はわからんが、ぼくの今までの経験から言わせてもらうとさ、ずばり、景は今、人生が楽しくないんじゃないのかな」
「ご明察。さすが兄さん」
「ほめられると照れるね」
ははは、と兄さんは笑った。おれは兄さんの笑顔が好きだ。
「ぼくが思うのは、何かの意味とか意義とか、そんなことを考えてしまう理由は、その何かが楽しくないからじゃないのかなってことなんだ。楽しければ、意味とか意義とか、そんなものは要らないと思うんだ。ねえ、景はさ、楽しいことって、なにかあるのかな」
「ないね。悲しいくらいに、ないね」
そうなんだ。おれには、楽しいことって、あまり、ない。
いや、だが、ちょっと待て。おれは思い過ごしをしているんじゃないか。
「友達と、面白い話をしているときは、楽しい」
ぽつり、とおれはそう言った。
「友達はいるのか」
「いるよ。一応ね」
「楽しいか」
「微妙なところ。話す内容にもよる」
「そうか」
「でも、おれ、うまく話せないんだよ。なにを話せば自分が楽しくなるのか、いまいちわかんないんだ」
「そうか。なあ、女の子の話とか面白いんじゃないか」
おれは思わず笑ってしまった。
真剣なところに、いきなりそんな俗な話題が飛び込んできたからだ。
「おれは恋愛話はそれほど好きじゃないぜ」
「恋愛話じゃなくてもさ、ロングヘアーとショートヘアーと、どっちが好きかとかいう話なんかもそうだろう?」
あはははは、とおれは本当に声を出して笑ってしまった。
「さすが兄さんだ、天才だぜ。なるほど、そういう話は、おれもけっこう好きだね」
「そういうのを一日一回くらい話していけば、人生楽しくなるんじゃないかな」
「ああ、けどさ―――」
おれは、笑顔のまま、うつむく。
「そんなこと話せるほど親しい友達って、いないんだよね」
ぶぅぅぅん、とクーラーのたてる音だけがした。
兄さんがグラスを持って、レモネードを飲んで、また机にグラスを置く音がした。
「がんばって、言ってみるのはどうかね。実にさりげない調子で、『ところでさ、ショートヘアーとロングヘアーとどっちがすきとかいう好みってあるかい』みたいな」
「そんなイメージじゃないよ」
「他人のイメージなんて、ぶっ壊しちゃえよ」
「できたら苦労しないよ」
「できるさ」
「怖いよ」
うつむいたおれの頭を、兄さんはなでてくれた。
「ま、なにがなんでもイメージを壊さなきゃいけないってわけじゃないさ。数ある選択肢の中で、総合的に見て、もっとも楽で、もっとも幸せになれるような道を探そうじゃないか。つらい道なら、無理にとらなくてもいいさ。ただ、その道も取れるし、思っているほどつらい道でないかもしれないってことは、頭に入れといてもいいと思うけどね」
「うん」
兄さんは、ソファにさらにゆったりと腰掛けた。
「じゃあさ、駄目な印象を相手に与えないような、もっとおだやかで楽しめる話題ってないかね」
「思いつかない。自分では、よく、わかんないんだ。自分がなにを楽しいと思ってるのか、全然、頭の中に浮かんでこないんだ」
「本の話題はどうなんだい。けっこう景は、本が好きだったよね」
「やってみたけど、どうもうまくないんだ。最初のほうは楽しかったりするんだけど、後のほうはもう全然。ほら、読書って基本的に一人の作業じゃないか。だからさ、どうにも相手の話を聞く気もしなくって、さらに自分で言うのもなんだかいやになってくるんだよ」
「そうか。でも、なかには話していて楽しい人も未来に出てくるかもしれないから、話題としては覚えておいて損はないんじゃないかな。それに、最初のころは楽しかったんなら、その人とは少し、親しくなれたんじゃないか」
「そうかも。いや、実際のところ、おれはみんなと親しくしたいし、実際その努力もしてるつもりなんだ。だけど、どうにも距離が縮まらないんだよな。なんでかな。やっぱり、話していてもあまり楽しくなくなってきてしまうからかな。だから、距離が縮まったように感じられないのか、おれは。一緒にいて楽しい人とは、もっと一緒にいたいと思うもんな。そんで一緒にいることで、距離が縮まるわけかね。そうすると一緒にいて別に楽しくない人とは一緒にいる時間も少なくなるから、必然的に、距離が縮まることはないってことか」
「じゃあ、一緒にいて、楽しい人って、いるのか」
「いるよ」
「じゃあ、一緒にいれば、いいんじゃないか」
兄さん、もっともだ。実にもっともな答えだよ。だけどさ。なあ、わかるだろ、兄さん。
「諸事情により、あまり長く一緒にはいられなかったりするんだよな」
「景、きみってやつは」
兄さんは、とても困ったように笑った。とても悲しそうに笑った。
「あれか、きみみたいな人間でも、人生の不幸ってやつにはいつか対面せざるをえないというわけか」
「ほめてるのなら、うれしいぜ」
「きみはつまり、望みが届かないというわけか」
「届かない望みに手を伸ばそうとするのがそもそもまちがいなのかもしれないが、しかし手を伸ばそうとするこころをおれ自身がどうすることもできないでいる」
兄さんは、レモネードを飲み干した。
「きみも飲めよ」
「うん、ありがたくそうさせてもらうよ」
おれも飲み干した。
酸っぱさと甘さが混ざり合って、いい塩梅だった。これこそ理想的な人生の味というわけなのだろうか。
しかし、どうすればそんな理想的な人生にたどりつけるのだ。わからない。運によるところが大きいんじゃないか。
もともとこの世界の仕組みそのものがあまりにも不条理で、理不尽で、おれは腹が立つ。
おれは希望を探している。本当に真剣に探しているのだ。絶望的とも見える世界の見方をひっくりかえすために。
まあ、たぶん、とても簡単なことなんじゃないかと思う。おれが認めたくないだけで。
結局のところ、おれはできるだけ長く一緒にいたい人がいて、その人に望んでいるほど会えないから、おれはこんなに気がめいっているんだと思う。
ほら、拍子抜けするほど単純な話じゃないか。いたってシンプルだ。だが、現実の重みはいつも言葉を軽く超える。
一週間のうち4回くらい夢に見る。頭の中がその人を追いかけだす。じゃあ、どうするよ。
どうしようもないよな。付き合えないとしようか。それもそれでいいよな。(まあ、壊れる場合もあるかもしれないが)別にそんなに関係が壊れるわけでもあるまい。でも、だからってどうなる。結局、事態はなにも進展しないまま、あるいは悪化するだけだ。おれは幸せになれない。一方、付き合えたならどうだろう。しかし、残念ながらこの状態のおれは幸せになれそうにない。おれには彼女との残り時間があまり残っていない。おれは半年に一回くらい恋に落ちるような男だから、時間切れになったあと、つまり彼女が目の前にいない状態でおれは新たな恋に目覚めないとも限らないし、それにそもそも、残り時間がつきたあとは、彼女とあまり会えないというそんな状況をしばらく続けなくてはいけないというのは、どうにもいやなものがある。それくらいなら、ここで我慢して、未来につなげたほうがいいんじゃないかって思う。
だが、おれは逃げているんだろうか。怖いから、逃げているんだろうか。
「あれだよね、つまり、恋人もちの人に恋をするっていうのは悪夢だと、うち、思うな」
「その気持ち、少し、わかるな」
「へえ、綾瀬くん、うちの気持ちわかるんか。なに、好きな人に恋人がいるとか」
「いや、そういうことじゃなくてだな、だけどほら、おれも色々とそれなりに経験してきたから、その応用でわかるというか」
「ふうん。そっか。うちは、綾瀬くんも仲間かと思った」
「ある意味、仲間さ」
文芸部の部室。夏の空気が、教室を支配していた。だが、きっと、そこで交わされているおれたちの会話の不毛さときたら、南極の氷も腰を抜かすほどに冷たいはずだ。
「あれやね、人はなんで恋なんかするんかね」
おれが思うに、この質問は、この質問にたいする直接の答えを求めている質問ではない。つまり、「人が恋をする理由は、これこれこういうものです」などという答えを求めているわけではないのでないかと思うのだ。たぶん、言いたいのは、「つらい」とか「かなしい」とか「さみしい」とか「むなしい」とか、そういったことなんじゃないだろうか。あるいは、「だれかたすけて」。
だが、そんなせりふに、なんと答えればよいかわからなかったから、とりあえず直接に答えることにした。
「幸せになるためじゃないか」
「なれんよ」
即答された。
「うまくいけば、なれるさ」
「うまくいっても、いつか」
教室を、沈黙が支配した。彼女はその先を言わなかったし、おれも聞きたくなかった。
絶望的なせりふなど、聞きたくもない。ああ、しかし、こんな気持ちの人間をどうすればいいんだ。おれはこの女の子を絶望のふちからひきあげてやりたいと願ってる。だけど、どうすればいいんだ。どうすればこの子を元気付けてあげられるんだ。やり方がわからない。
―――わからないなら、探すしかない。
「いつか駄目になるとしても、それでもおれたちは幸せになるために恋をするんじゃないだろうか。いや、幸せになるためというと言い方が変だな。つまり、あれだ、幸せになろうとする道を探す過程で、恋に流れるんじゃないだろうか」
「どういう意味さ」
「ほら、好きになる人って、一緒にいて楽しい人じゃないか。っていうか、長いこと一緒にいたいっていう気持ちの信じられないほど激しいやつが、恋ではないのか。うん、だからさ、別になにかの目的があって恋をするわけではなく、ただ一緒にいると楽しいからもっと一緒にいたいなというような気持ちを恋と呼んでいるだけじゃないかな」
「だから、なに」
「うん、だから、恋が悪いものとかそういうわけじゃなくて、自然な流れのひとつなのではないのかという話かな」
彼女は非常にうすいため息をついた。
「そんなせりふが聞きたかったんじゃない。だって、うち、幸せになれそうにないもん」
失敗した。ごめんよ。
「あやまらんくっても、いいよ。それに、あやまらないといけないのはうちの方。ごめん、うち今、ひどいこと言ったね。そんなせりふ聞きたくないとか」
そんなことはない。別に問題ない。
「ねえ、うちを幸せにしてよ。ファンタジー作家の魔法使いさん」
魔法使いか。なれたら、どんなによかったことか。
「今のおれは、魔法使いの弟子くらいの力しかないよ」
「でも、ささやかな魔法でもいいから使ってよ。ほら、いつもみたいに『おれにはもう希望しか見えない』とか言ってよ。なんか最近、綾瀬くん変だよ。つかれてる感じがするし、なんか、こう」
この子は洞察力が鋭い。
「絶望してるみたいな」
ご名答。
だいたいにして、昔のおれは希望に満ち溢れていた。自分に自信があった。世の中の不幸をひっくり返せると信じていた。つまり、いやなことも色々とあったけれど、それでも世界を肯定していたし、結局のところおれたちは、みんなで幸せになれるのだと、最後には幸せな結末、ハッピーエンディングまでたどり着けるのだと信じていた。昔のおれは、今のおれよりも、もっと笑顔があったんじゃないだろうか。もっとにこやかに笑っていたのじゃないだろうか。そして、言うのだ、「おれには希望しか見えない」。
世の中の不公平について、空を見ながら考えるという実に青春めいたことをおれはやっていた。
夏のうだるような暑さにやられつつも、きれいな空を見ながらベンチに座って考えていた。昔を思い出す。昔もときどき、こうして考えることがあった。希望に満ちているように思われる過去でさえもだ。希望しか見えないとかいいながらも、それでもやっぱりおれは空を見上げざるをえなかった。だってそうだろう。おれだって、希望しか見えてなかったわけじゃない。ただ、「おれには希望しか見えない」という、そんな呪文をとなえていただけだ。だから、空を見上げつつ考えていたのだ。世の中の不幸をどうにかするにはどうすればいいんだろうって。弥勒菩薩よろしく考えていたわけだが、結局のところこの数年間でおれは何か決定的な結論を導き出せたか。答えはノーだよな。
おれの状況は、数年前とまったくといっていいほど変化しないままで、おれはやっぱりさびしくって、だから退屈で怖かった。
こんなことなら、もっと勉強しとけばよかったか。自分の人生に対して真剣に取り組んでも、まったく状況も変化しないし、うまくいくような結論もあまり導き出せないくらいなら、もっと勉強して、世間で認められたほうがよかったか。
どうだろう。こんな終わったことに対して何かをいうなんて無意味か。
しかし、そのほうがよかったかと聞かれると、そうしたほうがよかったような気がする。そのほうが、もっと生きやすかったかもしれない。もちろん、そんなことしても、やっぱり状況は変わらないままだったと思うけど。でも、どうせ考えてばかりいても結論すら導き出せていない今の状況を考えると、勉強をするという実際の行為をすることによって、何かを悟ることができたのかもしれない。考えるだけじゃなく、実際にやってみることにより、何かを悟ることもできたのかもしれない。おれは頭でっかちだったのかもしれない。
いや、ところで、ちょっと待てよ。結論を導き出せてない、とか言ってるが、本当にそうなのか。
ちょっと立ち止まってよく考えてみよう。おれは、何かをしようがしまいが、考えるまでもなく、やりたいことくらい、わかってたんじゃないのか。なあ、そうだろう、おれのどこかはちゃんとわかってたはずだよな。勉強をもうちょっとしとけばよかったとは思うけど、しとこうがしないでおこうが、やりたいことくらい、わかってたんじゃないのか。幸せをつかむために、色々なことを、おれはやってみたけど、なあ、わかってたんだろう、本当のところは。わからない、とか言いながら、本当はやりたいことなんてわかってたんだろう。
そうだよな、自分の気持ちがわかんないとか言ってたけど、おれは本当はわかりたくなかったんじゃないのか。自分の気持ちに気付いてしまうと、つらくなるから、あえて目を背けていたんじゃないのか。本当は、おれは、自分のやりたいことは、ぼんやりとしていたかもしれないけど、ちゃんとわかってたんじゃないんだろうか。
「やあ」
「ああ、綿貫くんじゃないか」
「そういうきみは、綾瀬くんじゃないか」
かつておれが賢者と呼んだことのある男がそこに立っていた。
なんで賢者かって。それは、やつの名前が誠司だからだ。セイジ(sage)は英語で賢者の意味だから。
「どうしたんだい、魔法使い。やけに顔が暗いじゃないかね」
「賢者さん、おれも色々あるんだよ」
ぼんやりと、おれたちは座っていた。
「何かできることはあるかい」
「さあ」
「あるなら及ぶ限りで力になろう」
「その及ぶ限りってのが曲者だ」
くすくすと、おれたちは笑った。
「なあ、セイジくん、そんな昔なつかしい楽しい会話をせんでくれよ。お別れしたあと、さびしくなるだろう」
「ああ、ごめんよ、ケイ」
「いや、いいんだ。ところで前にも言ったっけ、花火大会の話は。終わったあと、あんなにさびしい気持ちになるくらいなら、いっそ参加しないほうがよかったようにさえ感じられるっていう花火大会の話」
「聞いたね。人生は、そんな花火大会ばっかりだ、みたいなことも言ってたね」
ふーっ、とおれは深呼吸した。ため息にも聞こえなくはなかったと思う。
「なあ、どうすればいいと思う、セイジ」
「どうしたいのかっていうのは、もしかして実際のところわかってるんじゃないのか、ケイ。ただ、そこんところをじっくりと考え出すと、とてもびびっちゃって、怖くって、どうしようもないという、そういう話じゃないのか。だから、どうすれば幸せになれるのかわからないとかそういう話か、もしかして。どうすればベストなのか、わからないっていう話なのか」
これだから、思考が似ているやつは困るんだ。うれしくなってくるほど、どんぴしゃりじゃないかよ。
なあ、セイジ、きみもこういうのは、経験あったりするのか。おれは人に諭されるのは嫌いだから、人に答えを与えられるのは嫌いだから、きみが何をどうしたっていうのは別に聞きたくはないけど、なあ、でもきみがどうしたのかは純粋に興味のあるところだ。
ああ、それに別にきみがなにをしたのかっていうのを聞いてもいいか。それでも結局、そんなことを聞いても結局、おれがやりたいことは変わらないだろうしな。それをできるかどうかは別として。
「まあ、そういう話だな」
「そんなら、あれだな。まあ、そのことに関して言うべきことも僕にはないんじゃないかって思うよ」
ああ、おい、会話が終わりか。ってことは戦わなくてはいけないのか。おれは、抵抗があるんだけどな。
「時が熟すれば、自然と実もなるでしょう。栄養をやるのを、忘れずに」
そんなことを言って、彼は去っていった。
ちくしょう、最後の最後までやつは格好良すぎるぜ、まったく。
つまりあれか、来るべき時が来れば、自然と動けるだろうと。そのときのために、準備を色々と、できるかぎり、想像の付く限りしておけと、そういうことか。やりたいことを、やるために、そんなことができるような時が来たときのための準備をしておけと、そういうことか。
今、戦わなくってもいいんだよな。おれたちは動けるようにしか動けないよな。やろうと思っても動けないこと、あるもんな。
だけど、やろうと思って動くために、しておけること、あるよな。だから、それをしようってことだろう、セイジ。
この世界は不自由と自由が同時進行しているから、そいつをなんとかして、望みのほうへ持っていくように。
おれには、できることが残されている。