第六話 舞踏会の紹介、そして牽制し合う二人
時間かかり申し訳なく思います。頑張りますので、よろしくお願いします
学園創立祭の夜、恒例の舞踏会が開かれることになった。
「リゼル、私のパートナーとして出てくれるかしら」
フィオナからの誘いに、リゼルが返事をする前に、横から割り込む声があった。
「待て、王女殿下。俺が先に頼むつもりだった」
カインだった。計測石の一件以来、彼はリゼルへの態度を一変させていた。かつての挑発的な態度は鳴りを潜め、代わりに、真っ直ぐな尊敬と――本人も自覚していないであろう、淡い好意が見え隠れするようになっていた。
「あら、カイン。あなたも懲りないわね」
「殿下こそ、王族が一介の特待生にべったりというのは外聞が悪いのでは?」
「あら失礼ね、私は好きな子と一緒にいたいだけよ」
二人の間に、バチバチと火花が散っているのが見える。リゼルは、その間に挟まれて、ただただ困惑していた。
(なぜ、こうも取り合いになる)
前世では、玉座の間近くに寄ることさえ皆が恐れていたというのに。今世では、逆の意味で人が寄ってくる。
「二人とも、私はどちらか一方のパートナーになるつもりはない」
リゼルがそう言うと、カインとフィオナは同時にこちらを見た。
「では、どうするというの?」
「両方に付き合ってやる。それでよかろう」
「ふふっ、意外と欲張りね、リゼルは」
フィオナが楽しそうに笑い、カインは頬を赤らめながら、それでも満更でもなさそうに頷いた。
「……悪くない、条件だな」
その日の夜、舞踏会の広間で、リゼルは両脇にフィオナとカインを従え、注目の的となっていた。
「あの子、王女殿下と首席候補の両方に気に入られてるって……」
「一体何者なの、あの転入生……」
囁かれる噂を余所に、リゼルはひとまず胸を撫で下ろしていた。
(争いにならなかっただけ、良しとするか)
だが、この夜の一幕が、王城内外にさらなる噂を呼び、やがてリゼルの正体に迫る者が現れることになるとは、この時のリゼルはまだ知る由もなかった。
窓の外、遠く霞む深淵の狭間の方角で、かすかに黒い靄が揺らめいていたことにも――。
楽しんで読んでいただけたら幸いです




