番外編短編・祈り合う夜
「志乃、どうしたんだ。暗い顔をして」
ある日の夜、私の気分は重かった。こうして寝室に下がり、そろそろ眠る時間ではあったが、眠気もこない。
布団の上に座ったまま、考え込んでしまう。
今日の新聞では、戦争の事が報道されていた。やっぱり日本の将来を思うと、大丈夫なのかと不安になってしまう。
その事を伝えると、隆さんは布団から起き上がり、私の隣に寄り添うように座る。
「今は終末なのかしら」
「いや、まだまだ人々の愛は冷めていない。偽預言者もまだ出てこないしな。おそらく100年後ぐらいだろう」
隆さんが、穏やかの言うので思わず頷いてしまう。
「終末になったらどうなるの?」
「まだまだ黙示録の封印は解かれてないぞ。疫病はあったが、終末の地震も戦争もまだ無さそうだ」
「でもやっぱり怖いわ」
「大丈夫。祈ろう」
私と隆さんは一緒に祈りはじめた。心を一つにし、祈っていると不安な気持ちはすっかり消えてしまった。
「じゃあ、寝るか」
隆さんは私を軽く抱きしめながら、そのままゆっくりと倒れるように布団に寝転がる。
温かな腕の中で、しばしの幸福を感じていた。
ご覧頂きありがとうございます。
番外編も完結です。
参考資料は、一応時代ものなのでリスト化しておきます。
参考
・聖書 新改訳2017
・悪魔の大釜からの脱出
ジョン・ラミレス 著
・悪魔の仮面を剥ぐ
ジョン・ラミレス 著
・魂の傷からの癒しと回復 Kindle版
ホーマン愛子 著
・古代の叡智が伝える絶対確実な「結婚」についての考え方
斎藤真行 著
・大正時代: 記録を記憶に残したい
山口 謠司 著
・絵葉書で読み解く大正時代
学習院大学史料館
・文語訳聖書を読む ちくま学芸文庫
鈴木 範久 著
・日本史におけるキリスト教宣教: 宣教活動と人物を中心に
黒川知文 著
・本当は怖い! 日本のしきたり 秘められた深い意味99
平川陽一 著
・罪を許してあげたことが天国に行くようにしてあげたことだ。https://cgm-artpiece.com/words-illustration/596/
novel daysに改稿した後掲載予定です。




