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882.ヌシ退治

「すごーい!」

「これはまた、派手なのに渋いスキルね」


 巨大なミューダスのヌシを貫いた【水月】の一撃に、メイとレンが思わず感嘆した。

 天に向けて放たれた水の刃が解け、飛沫となって消えていく。

 倒れ込んだヌシはそのまま海面に倒れ込み、水中へ退避。

 この隙を突いてツバメは、メイたちの近くに帰還した。

 ヌシも海中で体勢を立て直し、再び三角形の中央部から首を出す。

 咆哮と共に、放つ魔法。

 足元に現れた無数の『薄い影』を見て、五人は異変に気づく。

 見上げればそこには、降り落ちてくる大量の雫。

 その長さは、一粒2メートル。


「【バンビステップ】!」

「【加速】!」

「【スリップ・フット】!」


 すぐさま距離を取るメイたち。


「【天雲の盾】!」


 一方まもりは普通に飛びついてきたレンに驚きながらも、盾を掲げて完全防御。

 その重さに思わずヒザを曲げつつも、キッチリこれを防御。

 ドン、ドン、ドンという重たい音と、盾のフチから落ちていく大量の水に、レンも目を奪われる。


「さすがまもりね、この攻撃でも問題なしっていうのは、大したものだわ」

「い、いえっ」


 首元のレンに言われて、思わず声が上ずるまもり。


「【低空高速飛行】!」


 雫の落下が止まるのと同時に、レンは盾の外へ。

 すぐさま反撃に入ろうとするが――。


「レンちゃん!」

「まだですっ!」


 遅れて最後にくる、10メートル級の雫が三つ。


「うそ……っ!?」

「【かばう】! 【天雲の盾】!」


 慌てて飛び込むまもり。


「っ!!」」


 防御自体には成功するも、急いだため【不動】を抜いた。

 それによって雫の凄まじい重量を受け、盾を下ろして座り込んでしまった。

 そしてヌシは当然、この隙を狙って攻撃をしかけてくる。


「【低空高速飛行】!」


 まもりよりは速い移動ができるレンは、自らをオトリすることで二人とも助かる可能性に賭ける。

 すると狙い通り、ヌシは低い軌道の飛び掛かりを、レンに向けて放つ。

 先ほどツバメが追われた時のような、ジグザグの飛び掛かり。

 だがレンにツバメほどの速度はなく、回避しながら進むことが上手なわけでもない。

 ヌシはその距離をあっという間に詰めていく。


「まず……っ!」


 やはり【低空高速飛行】での回避は厳しい。

 連続飛び掛かりが背中に迫り、ダメージはもちろん海中への落下も覚悟したレン。


「レンさんっ!」

「ッ!?」


 合間のガレキを足場にして、【スリップ・フット】で接近。

 横から飛び込んできたのは、迷子ちゃんだった。


「ここは私が!」


 足場となっている船の上を通る、低い飛び掛かりでレンを狙うヌシ。


「いきます!」


 すると迷子ちゃんの腕を丸々覆う金属製のガントレットが、蒸気を噴き出し突進。


「【ジェット・ナックル】!」


 突き出す拳が顔面を殴り付け、ヌシは大きく弾かれる形になった。


「続きますっ! 【バンビステップ】!」


 追撃を狙うメイは、華麗な足の運びでガレキを越えて接近。しかし。


「メイさん! マストがっ!」


 迷子ちゃんの声に、不意に視線を上げる。

 そこには先ほどの【水塊弾】で折れかかっていたマストが、倒れてきていた。

 追撃は失敗。

 皆がそう思った瞬間。


「……ゴ、【ゴリラアーム】っ!」


 なんとメイは自らを押しつぶしにきたマストを受け止め、そのまま一回転。


「せええええのっ! それえええええ――――っ!!」


 斜めの軌道で、ヌシの頭部に叩きつけた。


「二人ともありがとう! 助かったわ!」


 あがる盛大な水しぶき。

 ダメージは衝突計算だが、降り注ぐ飛沫の中で向けられたメイのピースに、迷子ちゃんも歓喜のピースを返す。

 派手なカウンター連携を喰らい、退避するヌシ。

 HPは3割強となり、その戦い方に変化が生まれる。


「シャアアアアアアアア――――ッ!!」


 咆哮に合わせて、広がる雲。

 雨が降り出し、荒れる海に足場が揺れ始める。

 海中に姿を消したヌシは、わずかな沈黙の後――。

 ツバメ目がけて勢いよく飛び上がった。


「ッ!?」


 なんとその口に、船を喰わえた状態で。


「【加速】【リブースト】【跳躍】!」


 これをツバメは、とにかく速く距離を取るという形で回避。

 船は海面に叩きつけられ粉砕。

 ヌシはすぐさま海中に潜り、再び飛び掛かる。

 今度はツバメの後方から。


「ッ!?」


 天候悪化で見えにくくなった海中。

 それでもその跳躍が高かったため、武器の刀を構えてカウンターを狙うが――。

 ヌシの攻撃は、飛び掛かりではなく【飛び尾撃】


「【跳躍】っ!」


 振り下ろされた尾は、ツバメの数センチ横を通過して海面に激突。


「くっ!」


 あがった飛沫に、ツバメは大きく弾かれ落水。

 メイが即座にフォローに入る。


「【アメンボステップ】!」


 荒れる海上を大きなストライドで一直線に駆け、そのまま跳躍。


「【ラビットジャンプ】からの【ソードバッシュ】!」


 その一撃は、衝撃波で海面にクレーターを生み出す。

 付近の船が大きく揺れ、舞い上がる飛沫。

 しかしヌシは、海中に潜ることでギリギリの回避を果たした。

 反撃は、猛烈な勢いで海水を割りながら迫る高速突撃。


「【アメンボステップ】!」


 まるで走る特急列車の前に立ったかのような凄まじい迫力の突撃を、メイは海上を走って回避。

 直後、付近一帯の船が砕けて散った。

 ヌシはその場で一回転。

 振り下ろされた尾が付近の船ごと海面を叩き、飛沫が高々と跳ね上がる。


「【バンビステップ】! うわーっと!」


 ガレキの足場ごと叩き壊すその一撃から、三段跳びの要領で退避したメイ。

 再び身体をヌシの方へ向けたところで、放たれるのは【激流砲】

 激しい水流が、一直線にメイのもとへと迫る。


「うわっ!」


 荒々しい飛沫を上げる激流がメイの真横を通過し、船を一掃。


「うわわっ!」


 さらに連射でメイを追い詰めていく。


「うわわわわーっ! 【ラビットジャンプ】!」


 メイは両腕をグルグルさせながらの跳躍で、迫る激流を飛び越える。

 そしてどうにか【激流砲】の連射を乗り切ったメイが安堵の息をつくと、ヌシはその姿を消していた。

 直後、盛り上がり出す足元。


「【ラビットジャンプ】!!」


 潜水から直上への飛び上がり。

 付近の船を巻き込みながら放つ攻撃は、上方への衝撃を伴う。


「うわああああああーっと!」


 これに巻き込まれて浮き上がったメイは、空中で【アクロバット】を発動。

 付近の小型船のガレキに着地して、難を逃れた。

 怒涛の攻勢を、どうにか乗り切ったメイ。

 だがヌシは、同時に『溜め』を行っていた。


「「「「ッ!?」」」」


 跳ね上がったヌシから放たれたのは、水砲弾。

 驚異的な密度で作られた、直径30センチほどの水塊を回避する。

 しかし隕石が激突したかのような轟音と共に着水した水砲弾は、付近一帯を消し飛ばした。


「わあああああああ――――っ!!」

「メイさんっ!」


 その勢いで落水したメイに、思わず声を上げるツバメ。


「…………」


 水上への復帰が、思ったより遅い。

 ここでレンは、一つの想像を働かせる。


「時間を稼ぎましょう!」

「は、はいっ! 【投擲】!」


 ツバメがすぐさまターゲットを取って、メイへの追撃を防ぐ。

 するとツバメへの飛び掛かりに移行したヌシの、ジグザグ攻撃が始まる。

 海流に揺れる足場では、前回のような回避は望めない。


「ツバメさん、こちらへ!」


 駆けてくる迷子ちゃんの言葉に、ツバメは【リブースト】で一気に接近。

 すれ違う形で、駆け抜ける。


「【ロックアーム】!」


 迷子ちゃんは錬金術を発動。

 ツバメへの喰らいつきを、付近の船を再構成した木製の巨碗で弾き返す。

 すると着水したヌシは、すぐさま尾の振り払いを放った。


「【かばう】! 【不動】【地壁の盾】!」


 これをまもりが、盾で受け止める。


「【魔砲術】【超高速魔法】【フリーズボルト】!」


 そこに狙撃銃から放たれた弾丸のように、超高速で迫る氷弾が直撃。

 守りからの反撃という連携で、ヌシの動きを止めた。


「さあ……どう?」


 つぶやくレン。


「いきますっ!」


 するとまるでレンの声に応えるかのように、メイは海中で気合を入れた。

 その手には【海皇の槍】

 四人が水上で時間を稼いだことで、準備は万端。


「せええええのっ! 飛んでけええええ――――っ!!」


 海底から放たれた一本の槍は、海中に衝撃波の波紋を残し、高速で天を目指す。

 水中での【投擲】は著しく飛行距離が落ち、使い物にならないのが普通だ。

 だがこの槍は、むしろ加速していく。


「「「「っ!?」」」」


 突然ミューダスのヌシが体勢を崩したかと思いきや、大量の飛沫を吹き上げ海面に飛び出してきた槍が、その巨体を貫通。

【海皇の槍】はそのまま空高くへと飛んでいき、厚い黒雲を吹き飛ばした。

 そして、遅れて波を巻き上げるほどの暴風が吹き荒れる。

 思わずしゃがみ込んで、その場にとどまるレンたち。


「ぷはっ」


 海面から顔を上げたメイは、戻ってきた槍をキャッチ。

 粒子になって消えていくミューダスのヌシに、レンたちは感嘆の息をついたのだった。

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【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[一言] 五月アナの動物伝説は基本的にこんな流れでやっていく感じですね、五月アナが動物のロケを出して、それを実況する感じです、見たらメイちゃんだ、と思えるような話に、掲示板は2ちゃんねるのノリのイメー…
[一言] 五月アナの動物伝説、イルカショーネットの反応も書けました 名無し「今日は五月アナが水族館に行くらしいぞ。」 名無し「あー、あの新人のアナウンサーだよね。」 名無し「結構可愛いよね。」 イ…
[良い点] くぅ…! 今までずっと『メイレン』と『メイツバ』の一騎打ちだったのに、ここに来て『レンまも』だと…!? これまでは、メイの天真爛漫さにドギマギするレンやツバメを愛でるのが業界の常識だった…
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