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771.レジスタンス

「まったくあの薄汚い貧民どもめ。冒険者殿、助かったぞ」


 そう言って大きなため息を吐く兵士長。

 メイたちはレジスタンスの男から受け取った財布を返し、ノーベンバーフェストの会場を後にする。


「ぜひまた来てくれ! 君たちがいてくれて最高だったよ!」


 そう言って大きく手を振る店主。

 メイたちは衣装を普段の装備に戻すと、帝国の裏側に当たる旧市街へ向かう。

 経年によってすっかり角の取れた石積みの街は、やはり全体的に薄汚れている。

 街の人たちも、どこか生気がない雰囲気だ。


「なんだか……中央通りとは全然違うわね」

「本当だねー」


 活気のない旧市街を進み、男が待つといううらぶれた一軒の建物へ。


「こっちだ」


 見た目は、廃棄された事務所のような造りの広い部屋。

 しかしソファをどかすと、そこには少しだけ色の違う板。

 板を持ち上げると、降り階段があった。


「わあ……わくわくしちゃうねぇ」

「これぞレジスタンスという感じですね」


 こくこくとうなずくまもり。


「ちょっと、いいじゃない……」


 四人が階段を降りていくと、そこには秘密基地。

 裸電球のように吊るされた魔法珠に灯る光。

 武骨なデスクに置かれた地図。

 作戦室を簡素にしたような光景に、思わずレンが興奮する。


「ここが我々帝国レジスタンスの秘密基地だ。俺はリーダーを務めるスタンという、よろしく頼む」


 そう言ってスタンは、その場に集まっていた数人の仲間に声をかける。


「すまない。今回金は手に入らなかった」


 落胆の色を見せる仲間たち。

 しかしデスクの前に立ったスタンは、強気の笑みを見せる。


「だが……最高の発見があった」


 その手をメイの方に向け、自信ありげに声を上げる。


「建国記念祭を前に現れた、最高の仲間たちだ!」

「この冒険者たちが……? 大丈夫なのか、相手は強大な帝国なんだぞ?」


 男女四人の仲間たちは、不安そうに問いかける。


「ノーベンバーフェストで調子に乗っていた兵士長をたった一人で圧倒し、俺が本気で逃げてもまくことができなかった。そんな冒険者だ」

「それは……本当か?」

「ああ、この目でしっかり見たんだ。俺の見立てでは、帝国の近衛兵すら超える逸材だぞ」

「「「おお……」」」


 感嘆の声が重なる。


「それで私たちは何をすればいいの?」

「ああ、狙いはもちろん現皇帝の打倒。そして監禁されている第二王子の救出による政変だ。それは王城が開かれる建国祭の日に行う」

「これぞレジスタンスって感じね」

「だがその前にいくつか。前もって帝国城内に入り込んで、こなしておかなくてはならない任務があるんだ」

「前日の侵入と建国祭当日。二度動く必要があるのですね」

「そういうことだな。任務については後程、城内マップと共に説明しよう。そして事前段階として一つ、やって欲しいことがある」

「なんですか?」

「帝国兵の制服を持ち帰ることだ。当日使用するために必要になるのと、兵士たちの雰囲気を知っておくためだな。また任務途中での離脱は、君たちの機動力でないと難しいだろう」

「なるほどー」

「でも、そんなことをしたら帝国に追い回されたりしない?」

「……兵士たちはとにかく使い捨てでな。だから最近じゃいつでも募集がかかってる。帝国では中央に住む一部の商人や貴族たちばかりが富み、それ以外の者は飢えに苦しむほどだ。そんな中で割の良い仕事が兵士になることなんだが、その分扱いもひどくてな。見たこともない毒にかかって帰ってきたやつもいる」

「見たこともない毒……ですか」


『毒』という言葉に、まもりは思わずフローリスでのことを思い出す。


「だがそれは逆に言えば『それだけ出入りが多い』という事だ。まぎれ込みやすいし、執拗に追ってきたりもしない。制服の入手はそこまで難しくはないはずだ」

「まずは相手の懐に入って、軽くスパイをするって感じかしら」

「なんだかドキドキしちゃうねぇ」

「た、確かに緊張しますね」

「俺たちは、建国祭当日に大きな騒ぎを起こして兵士たちを引き付けるための流れを再確認。もう一度メンバーたちに周知を徹底しておこう。当日は千人レベルの旧市街民が動く、確認は何度しておいてもいい」


 大きくうなずく、レジスタンスの仲間たち。


「新兵の受付はいつでも行われている。まずは東門から入って帝国兵として活動し、隙を見て制服を持ったまま脱走してくれ」

「りょうかいですっ!」

「それじゃあ行ってみましょうか」

「は、はひっ」


 こうして四人はレジスタンスの秘密基地を抜け出し、帝国城の東門へと進む。

 堅牢な造りの門は、ガルデラ帝国自体と同様に石積みの厚い壁によって造られている。

 東門を通って進んだ先にあったのは、これまた石造りの兵舎だ。


「おっ、メイちゃんだ!」

「やっぱり帝国兵クエストを受けるんだな!」

「来てよかった!」


 途端に賑やかに成り出す、帝国城東門前。

 そこにはすでに、メイたちが帝国兵クエストを受けるだろうと踏んだ多くのプレイヤーたちがやって来ていた。

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【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
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[良い点] 先回りプレイヤーズやりおるw [気になる点] ちょっと脳筋だった兵士長が革命イベントでテンプレ嫌な兵士長に早変わり! [一言] 帝国軍制服は持ち逃げだから返却する必要がなく、イベント後もコ…
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