754.植物と動物たちと
「……一緒に戦う」
黒仮面リーダーの、悪魔の樹を動物型にして共に戦うというスタイル。
それを見たメイは「なるほど!」と大きくうなずいた。
「悪魔の樹よ、一気に押し切るぞ」
戦術プラントに声をかけ、槍を構え直す。
「覚悟しろ」
そして黒仮面リーダーは走り出した。
「【シュネルフォイヤー】」
怒涛の踏み込みから放つ、速い連続突きをメイがかわすと――。
「叩き潰せ」
悪魔の樹は大きな竜の腕を作り出し、槍をかわしたばかりのメイを叩き潰しに来る。
「うわっと! 【アクロバット】!」
広い捕獲範囲。
バックステップからのバク転でかわすと、続くのは巨大サメの喰らいつき。
「【ラビットジャンプ】!」
後方への高い跳躍は、真下から来る巨大サメの喰らいつきを足先に触れる程度にとどめた。
「撃ち抜け【ツェアシュテーレン】」
「ッ!!」
着地際を狙う投擲。
飛ばして落とす戦略は、ここで見事に成功。
しかしメイ、ここでなかなかない思い付きを発揮する。
それは着地の放棄。
空中で姿勢を取らず、尻から落ちれば落下となりそのまま仰向けとなる。
「ふぎゃっ」
尻から落ちて仰向けになると、尻尾がビン! と伸びる。
そんなメイの作戦はなんと、成功。
投じられた必殺の槍は通り過ぎ、メイは極々わずかな落下ダメージを受けるだけにとどめた。
「……す、すごい発想ですね」
「さすがメイさんぽよ!」
これにはさすがに、見学に駆けつけた掲示板組も驚かざるを得ない。
だが黒仮面のリーダーの攻勢は止まらない。
踏み込み槍を右から左へ振り払うと、再び竜の腕がメイをつかみに来る。
「【バンビステップ】!」
メイは後転して立ち上がり、再び退がる。
しつこくつかみに来る、竜の腕。
これもさらに退がることで、かわしたところに――。
「【カノーネ】」
突き出した槍から放たれる衝撃波。
「【アクロバット】!」
「喰らいつけ」
これをバク転で回避したところに、発動するスキル。
見れば左右の竜の腕に加えて、竜の首と頭部が目前に作られた。
迫る、右腕の叩きつけ。
「【アクロバット】!」
バク転で回避したところに、続く左腕のつかみ。
「もう一回【アクロバット】!」
これもかわすと巨大な竜のアギトが、猛烈な勢いで飛び込んでくる。
喰らえば大ダメージからの叩きつけ、さらに放り投げで転倒。
そんな大技だ。
「【装備変更】【裸足の女神】っ!」
これには、全力の回避を余儀なくされたメイ。
【鹿角】による超加速からの飛び込みで、どうにか距離を取ることに成功。
「ッ!!」
しかし振り向くと、【ツェアシュテーレン】によって飛んできた槍が目前にあった。
全力で体勢を低くすることで、どうにかこれを回避。
「あ、あぶなかったぁ……」
「……フッ」
黒仮面のリーダー特有の嘲笑が、わずかにもれた。
三種の動物化に巨竜までを加えた連携は強力で、なかなかに厳しい。しかし。
「よしっ。今度はわたしの番だね!」
そんな中でも、メイに慌てる感じも緊張もなし。
「よーし!」と、尻尾をブンブン回しながら気合を入れる。
「いきますっ! 【バンビステップ】!」
メイは走り出す。
「いーちゃん!」
現れたいーちゃんが肩に乗ったところで、続けて右手の腕輪を起動。
「――――誰が来てくれるかなっ!?」
【友達バングル】で行う召喚。
やって来たのは一羽のフクロウだ。
「ああっ! 魔法学校のフクロウさん!」
魔法動物教授の肩にいた使い魔は主人のもとを離れ、駆けるメイの隣を飛行する。
「いっくよーっ! 【お仕置き戦樹】!」
メイは走りながら、さらにスキルを発動。
「おしおき!」
払う右手の動きに合わせて、地面から突き出した木の根が左から右へ。
アーチを描く攻撃を、悪魔の樹は大虎モードで下がってかわす。
「いーちゃん!」
しかしこの時すでにメイの肩を離れていたいーちゃんは、アーチの上を駆けていく。
そのまま跳躍し、暴風弾で大虎を転がした。
「おしおきっ!」
メイはさらに進んで左手を払う。
右側から左へ伸びていく、鋭い根のアーチ。
大虎は巨鳥になって空へ逃げるが、アーチの下を潜り抜けていくフクロウの前に生まれた魔法陣から放たれる火炎弾。
炎に弱い悪魔の樹はこれを喰らい、地をバウンドして硬直。
そのままメイは、いーちゃんとフクロウと共に突き進み、黒仮面のリーダーの前へ。
「いーちゃん、もう一回お願います!」
「きゅっ」
「くっ……!!」
返事と共に放たれた風弾が、黒仮面のバランスを崩す。
「おしおきだーっ!」
下から上へメイが右手を振り上げると、木の根が突き上がり黒仮面のリーダーを撃ち上げた。
「おねがいしますっ!」
フクロウが翼を広げ、生まれる炎砲弾。
そのまま空を行き炸裂し、猛烈な火炎を巻き上げ火の粉を降らせる。
「まだまだいきますっ!」
「くっ! 悪魔の樹よ、盾になれッ!」
追撃に来るメイを前に、思わず声が荒れる黒仮面のリーダー。
ようやく鎮火した悪魔の樹は、壁を作るために戻るが――。
「【裸足の女神】!」
すでに【鹿角】で機動性を上げているメイは目にも止まらぬ速度で走り、悪魔の樹が作る壁の隙間を駆け抜ける。
「【キャットパンチ】! パンチパンチパンチ! 【尾撃】からの【カンガルーキック】!」
そして黒仮面が反撃を挟めないよう速い連打を叩き込み、前蹴りで距離を取ったところで――。
「それっ!」
【豊樹の種】を投擲。
「大きくなーれ!」
そしてすぐさま【密林の巫女】を使用。
伸びる木々が、黒仮面のリーダーを足止めする。
「――――それでは、よろしくお願いいたしますっ!」
最後は右手を高く突き上げる。
足元に現れた魔法陣からせり上がってきたのは、エプロン姿の花屋グマ。
その手に巨大な花束を持ち走り出すと、そのまま豪快に跳躍。
そのまま花束を放り出し、【グレート・ベアクロー】を叩き込んだ。
「ぐああああああああ――――ッ!!」
HPゲージが消し飛び、倒れ伏す黒仮面のリーダー。
それに合わせて、枯れて散る悪魔の樹。
投じられた花束は、子グマがしっかりキャッチした。
「みんなありがとーっ!」
メイは肩のいーちゃんとフクロウの頭を撫でると、花をくわえた姿で帰っていく花屋グマ親子に向けて手を振る。
こうしてメイは使い魔と召喚獣、さらに植物とまで一緒に戦う自然の王者スタイルで、黒仮面のリーダーを押し切った。
「あれが……野生の王」
「まごうことなき野生の王者だな……」
「悪魔の樹、結構ヤバい敵だと思うんだけどなぁ、役者が違う」
「見に来られてよかったぽよ……」
「さすがメイさんですっ!」
イタチが風を吹かせ、友達の動物が炎で攻撃、そして植物による足止めから召喚獣の一撃。
もはやその姿は、自然を操る王者そのものだ。
黒仮面のリーダーは、悪魔の樹を使うことで恐ろしい連携を仕掛けることに成功し、同時にメイに新たな戦法を与えてしまったようだ。
「もしかしたら何か手伝えるかもと思ってきたけど、あらためて驚かされたわ……」
「レンちゃん!」
「はい、初めての戦法が見られました」
「ツバメちゃん!」
「す、すすすごいです……っ」
「まもりちゃん! 皆も無事だったんだね」
無事、黒仮面たちを打倒して再会した四人。
いつも通りのハイタッチした後、おずおず手を出すまもりともハイタッチ。
しかしまだ、終わってはいない。
「やっぱり最後は、『兵器』とやらの撤去になるのかしらね」
「いきましょうっ!」
四人はうなずき合い、今も『兵器』が残る池へと向かうのだった。
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