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705.共演

「わあっ! 君は遺跡の街の! よろしくお願いしますっ!」


 驚きと共に笑顔を見せるメイに、【友達バングル】でやって来た銀色メイはこくりと一つうなずいた。

 そして二人同時に振り返ると、迫る黙示録の獣に向けて動き出す。

 まずは飛び掛かりを、二人左右に分かれてかわす。


「【ばんびすてっぷ】」


 連続【喰らいつき】乱舞を銀色メイは、少ない身体の動きで回避。

 放たれる高速水砲弾の狙い撃ちを、反復横跳びで難なくかわす。


「【バンビステップ】!」


 この隙を突こうと駆け出すメイに対し、獣は尾の振り回しを三連続。


「【ラビットジャンプ】!」

「【らびっとじゃんぷ】」


 すると今度は、7つの頭が一気に放つ35の炎砲弾乱射。


「【裸足の女神】!」

「【はだしのめがみ】」


 しかし二人は巨砲弾と呼べるほどの炎塊の連射の中を、駆け抜けていく。

 すると獣は尻尾振り下ろして地面を叩く。

 岩盤を大きく突き上げ、大水が流れ出す。


「【アメンボステップ】!」

「【あめんぼすてっぷ】」


 二人のメイは水の上を駆け跳躍。

 続く雷撃が閃く時にはすでに、崩落地帯を駆け抜けていた。

 獣は止まらない。

 七つの顔全てが吐く真っ赤な光線は、地上に罫線を描く。

 直後、地面から溶岩が噴きあがる。


「【装備変更】【バンビステップ】!」


 獣はさらに、上げた顔を下ろす形で500の光弾を放つ。

 光線を避けた直後に、噴き上がった溶岩のライン。

 ここに続く光弾という非道な連撃を、メイは【鹿角】で機動力を向上して回避する。

 一方、銀色のメイは容赦がない。


「【やせいかいき】【よんそくほこう】」


 野生スキルの連続開放で一気に、そのステータスを上げていく。

 こうして全ての攻撃をかわし、獣のもとへ駆けつける。


「【裸足の女神】!」


 一方のメイも、見事な足運びと超加速で一気に獣の前へ。


「はあっ!」


 振り下ろす一撃が、腹部を切り裂く。


「……!」


 続く銀色メイの一撃で、獣は体勢を崩す。

 するとメイが、銀色のメイを追い越す形でもう一度。


「【フルスイング】! からの――!」


 メイの言葉に応えるように、横に踏み込んできたのは銀色メイ。


「――――【ふるすいんぐ】」

「ギアアアアアアアア――――――ッ!!」


 二連続の【フルスイング】で、黙示録の獣は大きく弾き飛ばされた。


「このまま一気にいきますっ!」


 メイのそんな言葉に、ただこくりとうなずく銀色メイ。

 しかしすぐに体勢を立て直した獣は、その全身に紋様を輝かせる。

【終末の獄炎】は白の炎が渦を巻く、超高火力奥義だ。


「【装備変更】っ!」


 吹き荒れる猛火を、メイが【王者のマント】で払い飛ばせば――。


「【そうびへんこう】」


 銀色メイは残像を残すほど速く強烈な【震尾大打撃】を、【トカゲの尻尾切り】ですり抜ける。

 すると七つの頭が、一斉に天を向いた。

 それは鳴り響く猛烈な咆哮と共に放たれる、真の最終奥義。


「隕石の……落下。しかも五連発だなんて!」

「ここまで来て……っ!」


【五芒星辰撃】

 隕石が地に落ちれば、そこから生まれる衝撃波が地を払ってダメージとなる。

 それが五連発となれば、すでに皆が大きくHPを減らしている現状では全滅もあり得るだろう。

 しかも五つの隕石はわずかな時間差を持ち、舞台の五カ所に落ちてくる形。

 バラけて落ちてくる全ての隕石への対応は、さすがに不可能だ。しかし。


「……いきましょうっ!」


 そんなメイの言葉に、ただうなずく銀色メイ。


「このままじゃ間に合わないけど……や、【野生回帰】なら――っ!!」


 落ちてくる隕石に向けて、覚悟を決めたメイは走り出す。


「【裸足の女神】【装備変更】ッ!」


 防具を脱ぎ捨て駆け出したメイは、【魔断の棍棒】を手に超加速。

 一つ目の隕石のもとに駆けつけると、そのままフルスイング。


「いち!」


 ままならない体勢で、隕石を空に弾き飛ばす。


「に」


 短い間隔で落ちてきた二つ目の隕石に向かった銀色のメイは、無表情のままその手に棍棒を取り強振。

 明後日の方向に弾いたのを確認し、メイは再び猛ダッシュ。


「さんっ!」


 これも遠く山の方へと打ち返す。

 この時すでに銀色メイは、接地目前の四つ目の隕石のもとへ。


「よん」


 地面に着くギリギリのところを、豪快な振り上げでどうにかそらす。

 見事な連携。

 しかし五つ目の落下地点は、最悪なことにマップ端。

 このままメイが駆けて、間に合う距離ではない。


「よ、よ……」


 その事に気づいたメイは、いよいよ切り札を切る。


「【四足歩行】だああああああ――――っ!」


 地面を蹴るのと同時にブレる姿、巻き上がる砂煙。

 目にも止まらぬ速さで舞台を駆け抜け、メイはそのままスイングに入る。


「ごおおおお――――っ!!」


 一度目は山間へ、二度目は獣の頭上を通り過ぎた隕石。

 感覚の調整ができた三度目は――――見事、獣に直撃。


「ここ、逃さないで!!」

「皆、最後のスキルを叩き込んでー!」


 弾き飛ばされた獣を確認して、レンとローランが叫ぶ。


「【魔砲術】【フリーズブラスト】!」

「【裂空一矢】【バーストアロー】!」

「――【封魔手裏剣】!」

「【エーテルジャベリン】!」

「……【霊鳥鳳火】!」


 もう残り時間は僅少。

 トップ勢だけでなく、中ボス狩りに全力だった参加者たちも、持てる火力を全て叩き込む。


「【砲弾跳躍】ぽよーっ!」

「【掃射】【魔光の矢】!」

「【遠的】【雷撃槍】!」

「【アイスエクスプロード】!」


 炸裂する無数のスキル。

 そんな中メイは、再び右手を突き上げた。


「それでは――――何卒よろしくお願いいたします!」


 空中に描かれた魔法陣から飛び出してきたのは、巨鳥ケツァール。


「いこうっ!」


 メイは銀色メイの手をつかんで、そのまま上空へ。

 ケツァールは上昇すると、大きな縦のループ飛行を見せる。


「それっ!」


 その頂点から、メイと銀色メイが一緒に落下。

 黙示録の獣に狙いをつける。


「いきます! 必殺の、ダイビング――――」


 二人のメイは同時に剣を抜き。


「だぶる」


 同時に強く振り下ろす。


「「【ソードバッシュ】だああああああああ――――っ!!」」


 とにかく広いだけ、そんな何もない舞台だったことが幸いした。

 放たれた二つの衝撃波は一瞬で黙示録の獣を消し飛ばし、ラフテリア北部の舞台にクレーターを作り上げる。

 下がっていたトップ勢や、参加プレイヤーたちも立っていられず倒れ込み、そのまま嵐に巻き込まれたかのような勢いで転がる。

 それでも風は止まらず、ラフテリア港の船が大きく傾ぎ、海が荒く波立ち、店の窓がガタガタと揺れる。


「……す、すげえ」


 なかなか減らなかったHPがついに全損し、黙示録の獣は粒子になって消えていく。

 それを見て、思わず拳を突き上げるメイ。


「皆ありがとーっ! やった! やったよー!」


 かつてないほどの強敵を、それでも最後は圧倒してみせた二人のメイ。

 思わずそばにいる銀色のメイに抱き着くと、銀色メイも無表情のままこくりとうなずいた。


「メイ―っ!」

「メイさーん!」


 聞こえてくる声は、駆けつけてくる仲間たちのもの。


「やるではないかーっ!」

「ふん! まあまあだなっ!」


 足の速い者たちが猛スピードで駆け込んできて、そのままメイに飛びついた。


「やったなメイちゃん!」

「「「やったぜええええええ――――っ!!」」」


 あがる大歓声と共に、終わる制限時間。

 黙示録の獣を召喚した魔導士は、敗北にガクリとヒザを突く。

 こうしてメイたちは見事、攻略失敗を予想されたレイドクエストをクリアしてみせたのだった。

分割による連続更新の2話目となります!


お読みいただきありがとうございました!

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◆◆◆新作よろしくお願いいたしますっ!◆◆◆

【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[一言] ちょいちょいちょい…… 今銀メイちゃん「だぶる」って言いましたよね? この手のアドリブ対応できるようになってるって事はこれ普通のモンスターAIと違うAIになってる……?
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