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542.結界と魔法陣

「新しいクエストが決まった感じかしら?」


 レンが問いかけると、神官ザケルドはすぐさま駆け寄ってきた。


「……類まれな強さを持つ皆さまになら、お願いできます」


 そして、真剣な面持ちでメイたちに語りかける。


「この神殿都市には、強力な悪魔を封じた魔法陣があるのです」

「魔法学校の時と同じ感じでしょうか」

「話が一気に深くなってきた気がするね!」

「ですが魔法陣の効果は弱まってきています。そして満月の夜……悪魔の力は満たされる。もし封印が解ければアルティシアは大きな危機にさらされることになるでしょう。そこで皆さんには魔法陣を守る結界を解き、陣への道を作り出していただきたいのです。そうすれば新たに、魔法陣を張り直すことができます」

「結界を解くって、大丈夫なの?」

「もちろんこのやり方には、反対も少なくありません。簡単ではないでしょう。ですがしっかり準備をして、あらためて封じ直すことができれば、再び長い安寧を得ることができるのです」

「なるほどね。このルートが悪魔の話につながったのは間違いないわ。行ってみる?」

「神殿には反対する人たちもいるというのは、少し気になりますが……」


 いよいよ悪魔の影が見え出したクエストに、高まる緊張。


「ドキドキする展開だね……!」


 三人は神官のクエストを受諾した。


「結界は街の西東南と三つの結界石を砕くことで消すことができます。私も準備をして向かいますので、皆さんは結界の解除をよろしくお願いします」


 三人はまず、神殿都市の南にあるという結界石へ向かうことにした。

 そこにはあるのは、石造りの小型神殿といった感じの建物だ。

 出入り口の前には見張りが立ち、絶えず付近に注意を払っている。

 手にした『通報用』の鐘を見るに、隠れて進むことが前提になるクエストのようだ。


「普通に戦ってもいいけど、大きな音を出すと鐘を鳴らされて見張りが集まってくる。そんなところかしら」

「騎士と魔導士。装備品の時点で高レベルなのが分かりますね」


 飾り付きの銀鎧を身に付けた騎士と、マントを羽織った神殿仕えの魔導士。

 強いNPCが二人一組というのは、間違いなくやっかいだ。


「それではメイさん」

「お願いね」

「おまかせくださいっ! 【投石】!」


 まだ見張りたちがこちらを意識する前の位置から投じられた石が、神殿の外壁にぶつかり音を立てる。

 この選択は正解。

 魔法や矢だと、この時点で警戒されて内部にも通報されてしまう。


「……なんだ?」


 騎士が不自然な物音の確認に動く。

 ここで魔導士の方は同行せず、騎士に視線を向けつつ付近にも注意を払っているというのが面倒な点。

 それは誘い出して単体で倒すというシンプルなやり方が、通じないということ。

 警戒はとても厳重だ。しかし。


「【アサシンピアス】」


 姿と足音を消していたツバメが、魔導士を先に黙らせる。


「なっ!?」


 物音のした方に向かっていた騎士は、突然現れたアサシンに気づくのが遅れた。

 慌てて鐘を取り出し、周囲に侵入者を知らせようとするが――。


「はいそこまで」

「ッ!?」


 空から落ちてきたレンが【魔剣の御柄】で一刀両断。


「残った……!」


 しかしHP高めの騎士は、ギリギリでこの攻撃を耐えてみせた。

 そして再び鐘を鳴らすため手を上げると――。


「それーっ!」


 もしも一撃で倒し切れなかった場合に備えて駆けつけて来ていたメイが、「キキーッ」と急停止。

 そのまま剣で詰めの一撃を放った。


「ありがとうメイ、完璧だったわね」

「レンちゃんの作戦通りっ!」


 三人は笑みと共に、余裕のハイタッチ。


「さて、ここは私が先頭に立つ番ね」


 そう言ってレンは、【変化の杖】を取り出す。

 姿を黒猫に変えると、石扉の隙間からするりと中に忍び込んでいく。


「「1、2、3、4、5っ!」」


 5秒待って出てこなければ、とりあえずは問題なし。

 二人一緒に5つ数えてから、メイとツバメは石扉の中へ。

 小型神殿の内部は、ホールになっていた。

 その内側を一周するような形で石柱が並び、奥部に置かれた祭壇には結界石が置かれている。

 大きな穴の開いている祭壇の天井部から、のぞく夜空。

 そして祭壇前には、4人の騎士が見張りとして向かい合うようにして立っている。

 メイたちは黒猫レンの手招きで、柱の影へ。


「外周を3人の魔導士が等間隔で回ってるわ。盾を持ってるってことは、侵入者を発見して周知、そのあと時間を稼ぐって流れでしょうね」

「そのまま一定時間経過で、増援がなだれ込んでくる形ですね」

「そして石柱は天井につながっていない。上に乗って進めるってことね。ツバメが魔導士を片付けたところで、私とメイが結界石を叩いて割るって流れでどう?」

「いいと思いますっ」

「それでいきましょう」


 敵は強く難易度も高い。そんなクエスト。

 三人はうなずき合って散開。


「【モンキークライム】」

「【浮遊】」

「【隠密】」


 メイとレンは石柱の上部をピョンピョンと跳んで、祭壇の後部へとたどり着く。


「【アサシンピアス】」


 そしてツバメが姿を消しては弱点を突く形の刺突で、外周の魔導士たちを倒したところで二人はうなずき合う。

 メイの「せーのっ!」という口パクに合わせて、二人同時に落下。


「【ソードバッシュ】!」

「【フレアバースト】!」


 メイは結界石に、レンは騎士たちに攻撃スキルを叩き込む。


「なっ!?」

「「「うわああああああ――――っ!?」」」


【コンセントレイト】乗せの爆炎が騎士たちをまとめて吹き飛ばし、衝撃波の一撃が結界石を割り砕く。

 こうして一つ目の結界石を、あっさりと砕いたメイたち。


「くっ!」


 とっさの盾防御で運良く生き残った騎士は、慌てて増援呼びの鐘を手にするが――。


「【アサシンピアス】」


 詰めてきていたツバメの一撃に倒れる。

 こうしてメイたちはわずか2分ほどで、高難易度クエストを達成してみせた。すると。


「「「ッ!!」」」


 割れた結界石から立ち昇る光が、天井に空いた穴から夜空へと抜けていった。

 メイたちはうなずき合い、神殿を後にする。


「どうやら、間に合わなかったようだな」

「リズ」


 石扉から表に出ると、やって来たのはまたしても闇の使徒二人。


「ここでも一緒になるとは。やはり我らは同じ物語の中にいるようだ」

「――残りは西と東の結界石」

「手分けしましょう。私たちは東、リズたちは西の結界石でいい?」

「構わぬ」

「――承知」

「それじゃ行きましょう!」


 うなずき合う、レンとリズ。


「結界を破るために」

「結界を守るために」

「「…………え?」」


 走り出そうとしたメイたちが、同時に振り返る。

 思わず互いを見合うレンとリズ。

 二人が発した言葉は、わずかだが決定的に違っていた。さらに。


「どういう……ことですの?」


 そこにやって来たのは、白の衣装をまとい各々の武器を手にした四人の少女。


「光の使徒か」


 南の神殿に踏み込んできたのは、白夜を先頭にした光の使徒たちだった。

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【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[一言] やはり怪しい神官でしたか w
[気になる点] この神官、頭に「邪」がついてない? [一言] 大丈夫? 王都のお使いやら魔術学園のガーゴイルやらやるのは微妙なクエストじゃない?
[一言] 黒猫宅急便「次回は待ちに待った見せ物厨二病バトルのお時間です!黒歴史の指定日配達あります!」 レン「そんなバトルしないから!絶対しないから!」 野生宅配便「メイちゃんには野生溢れるバトルフ…
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