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536.追いかけてドラゴン

「これが仕掛けを起動させている宝珠ね」


 輝く宝珠は森の奥地、石造りの灯篭の上にはめ込まれていた。

 メイが手を伸ばして取り外すと、罠が効果を失う。


「これでクエストクリア」


 メイの猛ダッシュで、罠を起動させながら駆け抜けるというとんでもない攻略を見せた三人。

 一息つくと、そこへ竜に乗った少女がやって来た。


「白夜ちゃん!」

「あら、思わぬ早い再会になりましたわね」


 華麗な着地を見せる白夜。

 大きな竜は木の多い森に着地することができずに、そのまま空へと帰っていく。


「どうしたのよ、こんなところで」

「先ほど聖女様よりドラゴンの捕獲クエストが出まして、駆けつけてきましたの」


 そう言って、ジッとこちらをうかがう白夜。


「そうなのね。そのドラゴンがこの先にいるってこと?」

「そのようですわ」

「私たちは、ここまでの道のりの罠を解くクエストだったんだけど……何かつながってるのかしら」


 ドラゴンの居場所に来るためには、罠の区域を越えなければならないはずだ。

 だとすればメイたちのクエストは、その手助けをするかのような形になっている。


「お待たせいたしました!」


 わずかに遅れて、神殿で馬を借りた光の使徒三人組が駆けつけてきた。


「元闇の使徒たち……っ」


 まだまだ警戒と緊張を見せる光剣士、星野エトワール。


「白夜さん、あの洞穴で違いないよな」


 ランス使いの花森ミヤビが指さした先。

 見れば山肌には切り立った部分があり、洞穴が開いている。

 うなずき合った光の使徒たちは、腰に付けた『魔法灯』を輝かせながら静かに穴に近づいていく。すると。


「「「「ッ!?」」」」


 中から一頭のドラゴンが駆け出してきた。

 深い紅色のドラゴンは、人が乗れるかどうかぐらいの小型の飛竜。

 猛烈な勢いで、夜の森を逃げていく。


「追いますわ! 捕獲クエストである以上、倒してしまわないよう気を付けて!」

「「「はいっ!」」」


 森の中では、ある程度開けたところでなければ飛行姿勢に入れない。


「【シャイニングステップ】【チェンジアームズ】!」


 一気に距離を詰めていったエトワールが、その手に光の剣を呼び出す。

 するとドラゴンは一転、木の幹を蹴って身体を反転。

 そのまま鋭い跳躍蹴りを放ってきた。


「くっ!」


 これをギリギリのところでかわして光の剣を振るが、わずかに届かない。

 ドラゴンはその口を大きく開く。


「ブレス!」


 燃え上がる炎に、エトワールは慌てて地を転がる。


「よく時間を稼いでくれたね! 【ホーリーバレット】!」


 追いかけてきた雪崎ヒカリが放つ魔法は一発のみ。

 これをドラゴンは、華麗な跳躍で回避する。


「ここですわっ! 【エーテルジャベリン】!」


 そこに踏み込んできたのは白夜。

 現れた六本の光槍の全てが直撃してしまわないよう、大まかな感覚で発射する。

 だがその加減がアダとなり、ドラゴンは回避と共に走り出した。


「くっ、もう少し私の足が速ければっ!」


 悔しそうにする花森ミヤビ。

 その目の前でドラゴンは、夜闇の深い方へと駆けていく。


「よろしくない状況です……っ!」


 先頭を行くエトワールは、その暗さにドラゴンの姿を見失ってしまう。


「そこの木を左だよっ!」


 そこに駆け込んで来たのは、様子見に後を追っていたメイたち。

【夜目】と【遠視】でしっかり進路を把握していたメイが指さすと、エトワールはわずかに悩むような素振りを見せる。


「メイさんは下手な嘘をつくような方ではありませんわ! この判断が間違いなら、わたくしを責めていただいて構いませんっ!」

「は、はいっ!」


 白夜の言葉にエトワールは走り、メイの言葉通り左へ。

 すると確かに、草がわずかに揺れていた。


「あ、ありがとうございます」

「いえいえっ」


 ドラゴンは跳躍で木の枝を蹴って、大きく跳び上がろうとしている。

 そのまま空を飛ばれてしまえば、捕獲は一気に難しくなるはずだ。


「ちょっとだけ、右に寄ってくださーい!」


 しかしメイがそう言って叫ぶと、足場にしようとした木が突然右に傾きドラゴンはそのまま着地。

 勢い余ってゴロンと地面で一回転した。

 やってきた好機。


「【シャイニングステップ】【チェンジアームズ】!」


 木が避けるというとんでもない事態に驚きながらも、エトワールは一気に距離を詰める。

 その手に光の槍を生み出し放つ一撃は、ギリギリのところでかわされた。


「ここですわ! 【ライトニングスラスト】!」


 その隙を突き、白夜がスキルを起動。

 レイピアを差し向けた方に高速で突撃飛行するというスキルを移動に利用し、手を伸ばす。


「っ!」


 これをかわされたところで、大きくターン。


「もう一度! 【ライトニングスラスト】!」


 二度目の突撃飛行で、その手はドラゴンの腕をつかんだ。

 しかし飛行の勢いが強く、手が離れてしまう。

 ドラゴンは再び走り出し、目指すは木々の開けた空間。

 そこまで逃げられてしまえば、そのまま空を飛ばれてしまう。

 捕えるためのチャンスはもう、多くはない。


「このままじゃね! 逃げられちゃうよね! 【四連射】【ホーリーバレット】!」


 ヒカリは半ばダメもとで十字光弾を放つが、的を外した輝きが空に抜けていく。

 やはりこのクエスト、足の速いプレイヤーが多くないと厳しいようだ。

 苦しむ光の使徒たちを見て、メイたちはうなずき合う。


「【疾風迅雷】【加速】【加速】【加速】」


 ここで一気に速度を上げ、ツバメがドラゴンの前方に回り込む。

 すると即座に放たれる、飛び掛かりからの蹴り。


「ッ!」


 これをしっかりとしゃがんでかわし、振り返る。

 するとドラゴンは距離を詰め、喰らい付きにきた。

 右へのステップでかわしたところに、払われた尻尾を再びしゃがんでかわす。

 続けざまに放たれるのは炎弾ブレス。


「【跳躍】【投擲】」


 ツバメはこれを前方への跳躍で回避し、ブレードをドラゴンの足元に【投擲】することでけん制する。


「【低空飛行】【ファイアウォール】!」


 その隙に距離を詰めたレンが、火に強いであろうドラゴンの前に炎の壁を置くことで足を止め、仮にぶつかっても低ダメージになる形で動きを封じる。


「【バンビステップ】からの【ラビットジャンプ】!」


 そこに駆け込んできたのはメイ。

 ドラゴンの前に着地すると、表情を見てすぐに確信。

 戦闘態勢に入ったドラゴンに、メイは真っすぐに近づいていく。


「あぶないです!」

「おっ、おい!」

「危険だね!」


 なぜか武器を持たず、無防備なまま近寄っていくメイに、口々に叫び声をあげる光の使徒たち。


「自分を攻撃させて、その隙に捕らえろってことか!?」


 ミヤビは慌てて走り出そうとする。しかし。


「やっぱり! この子は大丈夫だよ!」


 なんとメイはそのまま、ドラゴンの首元に抱き着いてみせた。


「ただのモンスターじゃなく、動物値が活きるタイプだったみたいね」


 レンもその姿を見て息をつく。


「あ、あの戦闘能力に追跡能力、一瞬でコンビネーションを組んで、さらにドラゴンを手懐けてしまうとは……驚きですね」

「確かに……すごいな」

「びっくりだね」


 メイたちの高い能力と自然な連携、そしてクエスト対象にダメージを与えず無力化。

 何よりそれを当たり前のようにしている三人に、光の使徒たちは驚くことしかできないのだった。

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【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
[良い点] 一般的→体力減らし捕獲 野性的→動物値で一発で仲良く [気になる点] トラップ解除したらタイミングよく次のクエストを持ってくる。 なんか王都の薬の受け渡しのクエストみたいに裏があると思って…
[良い点] わざわざ不利になってからの参戦、そして圧勝。 たぶん空を飛ばれたところでケツァールからの雄叫びで落とせるし、最初からだったらドラゴンが逃げずに擦り寄って終了した可能性もある。。 つまり……
[良い点] なんとなく、ニャオーンとか鳴きそうなドラゴンを想像してしまった(笑)
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