528.超強敵ですっ!
「【加速】」
エフェクトのかかったツバメの声で発動するスキル。
「「ッ!?」」
二本のダガーを手に、悪霊憑きツバメはメイのもとへ。
「うわわわわっ!?」
速い二連の斬り抜けをかわされると、振り返りと同時にスキルを発動。
「【加速】【リブースト】!」
「わあっ! 【ラビットジャンプ】!」
刺突を狙いにきた悪霊ツバメの超高速移動に、メイは思わず跳躍。
するとそのまま駆け抜け、レンへと狙いを変える。
「ちょちょちょちょっと待って! 私はどうしようもないんだけどっ!」
「【加速】」
一気にレンの目前に来たツバメは、ダガーで連撃を放つ。
これをレンは避けにいくのではなく、必死の防御でどうにかダメージを減らすが――。
「【紫電】」
「ぎゃっ」
悪霊ツバメは当然、スキル一つで守りを崩しにくる。
そしてそのまま――。
「【雷光閃火】」
「ウソでしょっ!?」
一気に勝負をつけにきた。
「レンちゃんっ!」
火花を散らして突撃してくるツバメを、メイが抱え込みでギリギリかわす。
「は、ははは早く! シスター早くっ! 【サクリファイス】を使われたら、私はすぐに死ぬ! そしたら今度は私が悪霊になるわよーっ!」
「わ、分かりましたっ! ダメージを与えて隙を作ってください!」
「ええっ!? そんなのできないよー!」
味方を叩けという指示に、驚くメイ。
「メイさん! 【キャットパンチ】の速度と軽さなら!」
憑依状態でも、声をあげることは可能のようだ。
ツバメは『叩け』のサインを出す。
「りょ、りょうかいですっ! 【バンビステップ】【キャットパンチ】!」
「【跳躍】」
しかし悪霊ツバメは、これを難なく飛び越え再びレンを狙いにいく。
「【加速】【電光石火】!」
「こっち来ないでよーっ!」
「レンさん! 【電光石火】はあくまで直線移動です!」
「そ、そうね! これならどうっ!?」
迫るツバメに、レンはカウンターで【聖水】を振りまいた。
「グギャァァァァァァ――――ッ!!」
見事ヒットして、叫び声を上げる悪霊ツバメ。
「ああっ! ツバメごめんっ!」
痛そうな表情をするツバメに、思わずレンが謝る。
「悪しき怨霊よ、その正体を表せ!」
「グアアアアアア――――ッ!!」
シスターの【祝福魔法】によって、悪霊が再び外へ出た。
ツバメは魔法剣士同様、ガクリとその場に倒れ伏す。
「よくもまあ好き放題やってくれたわね! 【連続魔法】【ファイアボルト】!」
必死に逃げる悪霊は、三発目の炎弾がかすめバランスを崩ししたところに四発目が直撃。
1割強のダメージとなる。
「シャアアアア――ッ!!」
反撃は広がるプラズマ。
揺れる淡い紫の雷が、付近一帯を駆け抜ける。
「あぶないっ!」
メイはギリギリで攻撃範囲内に倒れていた魔法剣士をわずかに移動。
すると魔法剣士への憑りつきができないと判断した悪霊は、再びツバメのもとへ。
「ちょっと待ちなさいよーっ!」
ここは撃ってしまった方が良いと分かっていても、躊躇してしまう。
「【加速】」
「くっ! 【ファイアウォール】!」
「【跳躍】」
悪霊ツバメは即座に立ち上がり、炎の壁を飛び越え空中へ。
「【ファイアボルト】!」
当然これを狙って、レンは跳ばせて落とす形を狙うが――。
「【エアリアル】【アクアエッジ】【四連剣舞】!」
「ッ!!」
二段ジャンプで炎弾をかわして水刃の四連撃を放つ。
とにかく頭を抱えてしゃがむレン。
悪霊ツバメの狙いは甘く、運良く二発かすめるだけで済んだ。
そうなれば着地際には隙が生まれ、好機となる。
杖を手にしたまま、踏み込むレン。
「レンさん……私のことは構わず、お願いします……っ」
「なんでちょっと切なそうな顔をしながら言うのーっ!? やりにくいじゃないっ!」
「すみません。少し気分が乗ってしまいました」
何となく口にした殊勝な言葉に、いよいよ攻撃しにくくなるレン。
好機も思わずスキルの使用をやめ、うっかり『ぽふっ』と軽いスイングでツバメを叩いてダメージは超軽微。
「【電光石火】」
「きゃーっ!」
飛び込み前転でこれをかわしたレンに、振り返りと共に手に取ったのは【雷ブレード】
「【投擲】!」
「きゃああああーっ!」
どうやら乗っ取られた前衛は後衛を狙う様で、レンは慌てて懇願する。
「メ、メイ! 私には無理! 『狼』をお願いっ!」
「了解ですっ! 【装備変更】! ウォオオオオオオ――――ッ!!」
【遠吠え】によって、強制的に『ターゲット』を奪い取る。
「【疾風迅雷】【加速】【加速】【加速】」
「ッ!?」
悪霊ツバメは翻弄するようなジグザグの動きで、メイを翻弄する。
「【リブースト】【電光石火】!」
「うわあっ! 速いーっ!」
繰り出される急な超加速からの斬り抜けを、慌ててかわす。
「【連続投擲】」
すると悪霊ツバメは、振り返りと同時にブレードを四連投。
これをメイがしっかり避けたところで――。
「【加速】【リブースト】」
その隙を突き、最速で距離を詰めにいく。
悪霊ツバメは、そのままダガーを振り降ろす。
だがそれは、メイを『知る』者なら絶対にしない動きだ。
「【装備変更】! とっつげきー!」
超加速からの振り降ろし。
メイは素晴らしい反応で【猫耳】を【鹿角】へ交換。
『突撃パリィ』で弾かれ合う両者を見て、即座にレンが声をあげる。
「シスター!」
「はいっ! 悪しき怨霊よ、その正体を表せ!」
「グアアアアアア――――ッ!!」
浄化の光が硬直状態にあるツバメを包み、悪霊が飛び出してきた。
「……よくもまあ、好き放題やってくれたわね」
メイのおかげで準便は万端。
レンは目配せを一つ。
「こっちだよっ! 【バンビステップ】!」
メイは、悪霊を引きつれレンのもとへと駆けだした。
猛スピードで追って来る悪霊を、しっかり引き付けたところで跳躍。
「【ラビットジャンプ】!」
メイが大きなジャンプで魔法陣を飛び越えた瞬間、口元を引きつらせていたレンが叫ぶ。
「解放――っ!」
【設置魔法】が【フレアストライク】の炎砲弾を噴き上げる。
もちろんこれだけでは終わらない。
「もう一発! 解放――っ!!」
悪霊が吹き飛ばされた先で【フリーズストライク】の魔法陣が氷砲弾を噴き上げ、HPを大幅減。
さらにレンは【銀閃の杖】を、悪霊に向けて構える。
「これでトドメよ! 【フレアバースト】ぉぉぉぉ!!」
「ギィァァァァァァ――――ッ!!」
爆炎がHPを消し飛ばす。
悲鳴と共に、悪霊は消えていった。
「やったー!」
憑りつきから解放されれば問題はなし。
ツバメはすぐさま駆け寄ってくる。
「ありがとうございます! 助かりました!」
「お疲れさま! これNPCは二人ともノーダメージじゃない?」
「本当だ! やったー!」
三人は歓喜のぴょんぴょんハイタッチ。
「ツバメが乗っ取られた時は青ざめたけど、何とかなって良かったわ……」
「身体が勝手に動くというのは不思議な感覚でした。助けていただき、ありがとうございました」
安堵の息をつくメイたち。
この高難易度クエストを、魔法剣士もシスターもノーダメージという最高の結果で乗り切ってみせた。
「皆さんのおかげで、誰も傷つくことなく悪魔を払うことができました!」
「おお、なんと素晴らしい冒険者たちだ……!」
歓喜するシスター。
様子を見にきた悪魔祓いも、感嘆の声をあげる。
「その素晴らしい能力、ぜひとも神官様にも紹介させていただきたいですな」
「まあ、神官様に」
「高く設置されてたハードルを越えて、何かつながってきた感じかしら」
「そのようですね」
教会から悪魔祓いへのつながりが最初の関門。
そして悪魔祓いが神官を紹介したいと言い出す展開は、かなりの難度を誇る流れだ。
シスターと剣士の両方を軽傷以上の状態で悪魔を倒すことが条件となっており、メイたちだからこそたどり着けたと言えるだろう。
「付いて来てください。アルティシア聖教の神官様に皆さまを紹介させていただきたいのです」
つながる展開。
こうしてメイたちはさっそく、神殿の一角へと向かうことにした。
誤字脱字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!
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