1484.翌日のまさか
「スライムちゃん、迷子ちゃん、ありがとーっ!」
「遅ればせながら見に来てみたら、見過ごせないスライムがいたぽよ!」
「お役に立てて良かったです!」
「それにしても後半は、本当に怪獣映画でしたね」
「ワ、ワクワクしてしまいました……!」
凝縮スライムの打倒に一役買った、掲示板組の二人。
後続チームも、街のハウジングの手伝いに異世界までやって来たようだ。
「もう結構出来てるんだなぁ、ここも立派な街になりそうだ」
感嘆する後続掲示板組。
「あれは教会だろ、あっちは武器や防具を売る店と鍛冶屋。何気に錬金術師とかが使うためのラボなんかもあるんだな」
「この大きさだと道具店も品ぞろえが多くなりそうだな。噴水のある公園はスキルの練習もできるし、酒場が大きいのはいいぞ」
「色んなプレイヤーが来て拠点にできるように、普通に使える家もあるのか」
「あらためて見ると、結構街の雰囲気ができてきてるわね」
いよいよ形になって来た新たな街を眺めて、感慨深そうにするレン。
「完成が待ち遠しいよーっ!」
「私たちも作成に関わったというのは、なんだか特別に思えます」
「ぼ、冒険者酒場の開業が、とても楽しみです……っ」
楽しそうにしているメイたちを見ると、ついつい建設をしてみたくなる。
「俺たちも、掲示板組詰所でも作るか」
「それがいいぽよっ! メイさんの作っている建物はどこぽよ?」
「不動産価格が急騰しそうだから、隣は空き地だよ」
「け、懸命ぽよ……っ」
そう言って、深くうなずきながら笑う掲示板組。
「それにしても、やっぱ街の守りがないと普通に『外のマップに作ってる状態』だから危険だよな」
「さっきのスライムみたいに、当たり前のように入ってくるもんな……」
異世界でのハウジングは、プレイヤーはもちろん資材まで狙われる。
やはりサバイバルの世界は、一筋縄ではいかないようだ。
「ハウジングの職人たちを、魔物の攻撃から守ることも大事だからな」
「職人と言えば、いなくなったままのハウジングプレイヤーが帰って来てないから、色々と手間がかかってるな」
「ザッハのやつ何やってんだ、早く戻ってこいよ……せめて【技量】上げのペンダントだけでも貸してくれりゃいいのに。トンカチモチーフの変なやつ」
「建築で優秀といえばゲンサンまで帰っちゃったみたいだし、厳しいよな。その分も極・魔剣さんが駆け回ってるもんね。もとは鍛冶屋だっけ?」
「ああ。ちなみに名前は、その頃の名残だ」
そう言って極・魔剣は、一人の青年に声をかける。
「今回は何かと彼に助けられたな。ザッハもゲンサンも戻ってこないし、【技量】の高さが役に立ってくれたよ」
肩に小さなヘビの使い魔を乗せた青年は、メイたちに空を駆ける馬を貸してくれた人物だ。
「マジで助かった! ありがとう!」
「いえ、役に立ってよかった」
「あっ、お疲れさまですっ!」
「はい、お疲れさまです。冒険者酒場、良い感じになってきていますね」
「そうなんですっ!」
メイの挨拶にも、穏やかな笑顔で応える。
「……さて、そろそろ良い時間ですね」
マーちゃんが、暮れかけている二つの太陽を見ながら言った。
「ハウジング組と私はここで一度抜けて、明日また合流します。この後は夜部隊が来て、松明が魔物にとって目印になってしまわない時間までは製作を続ける形になります。これまで深夜に建築物を壊されたことはないので、魔物に狙われてしまうような行動をしない限り大丈夫なはずです」
「そういうことでしたら、私たちも一度解散としましょうか」
「は、はひっ」
「りょうかいですっ!」
「私はルーンを刻みに行きたいから、この後さらに『向こう』で動くことになるんだけどね」
こうして五月晴れは、一度解散を選択。
ハウジング勢は夜部隊が到着し、本当にメイたちがいることに驚きながら作業を開始する。
「ローチェちゃんたちも、基地作りは明日にしよっか」
「それがいいですな」
「そうだねぇ」
シオール達も、今日はここで一段落とするようだ。
「私はまだ来たばかりなので、掲示板組詰所作りを手伝います」
「もちろんぽよっ!」
「迷子ちゃん、この世界で迷子になったら永遠に見つけられなくなる可能性があるから気をつけてな」
「はいっ! 自分の一挙手一投足に注意します!」
「それでは皆さん、また明日お会いしましょうーっ!」
「「「お疲れ様ーっ!」」」
手を振り合って、散開していく面々。
こうして街づくりの続きは、明日へと持ち越されることになった。
◆
「こんにちはーっ!」
「さっそく街づくりを始めて行きましょう」
「なんだかんだ、楽しみになっちゃったわね」
「は、はひっ。昨夜は冒険者酒場のメニューを考えるのに夢中になってしまいました……!」
翌日、楽しそうな足取りでメイたちが建設中の街にやって来た。
「あっ、メイちゃんだ!」
「今日も楽しくなりそうだな!」
そこに一部のハウジング勢も合流し、並んで資材置き場へと向かう。すると。
「……あれ? お、おい、ちょっと待て!」
異変に気付いたハウジング勢が走り出す。
見れば一部の建物が壊れて、付近にはその残骸が散らばっている。さらに。
「おい! どうした!?」
崩れた建物の近くのは、ハウジング勢の数名がHPゼロの状態で倒れ伏していた。
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