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1477.御光石を探せ

 街づくりで不足した石材は、【御光石】というアイテム。

 建てたばかりの橋を戻って、北部へ進んだ山の上にあるようだ。


「空を駆けるっていうのは、新感覚ね!」


 ハウジングプレイヤーに借りた空中を駆ける馬を使い、橋の北へ向けて走るレンたち。

 今回は街で酒場作りの続きを行いながら、同時に警備をしているメイの代わりに、なーにゃとシオールを加えての移動だ。


「本当に早い到着になりました」

「やはり空は速いですな」

「本当だね」


 荷車に仲良く座っていたまもりたちの視線の先には、大きな山。

 その上部には草木がほとんどなく、岩がむき出しになっている。

 そこの一角に、採石場らしく堀跡が残る場所があった。

 レンは思ったよりも広い採石場の片隅に、空を駆ける荷車を停止。

 さっそく五人で、【御光石】の採掘に入る。


「な、なんだか少し面白いですね」

「ふふっ、そうね」


 一見静かなアサシンであるツバメが、置いてあるツルハシで岩盤を叩く横で、清楚なるプリースト姿のシオールが高い【腕力】を見せる。

 そう言うレンも十分面白いことになっているのだが、その光景の楽しさに笑いながら石を掘り出していく。

 叩けば叩くほど、こぼれ出す【御光石】たち。

 まずはとにかく、大量に掘り出してから皆で回収するのが一番手際のよいやり方になるだろう。しかし。


「あれは……」


 ツバメの視線の先に現れたのは、新たな一匹の魔物。

 白い粘土を思わせる不思議な素材感をした、二足の動物だ。

 やや小さな手とその体型は、立ち上がるタイプの小型竜を思わせる。


「こっちならではの素材感ね」


 レンは杖を持ち、警戒しながら様子を見る。

 敵の動きはコミカルにも見え、攻撃するべきか否かの判断に迷う。すると。


「なんだか、妙ですな」


 魔物は元気に採石場を駆け回る。

 するとその身体に、散乱状態の【御光石】が次々に張り付いていく。

 まるで磁石を砂場に落としたような、吸いつく形で。


「ちょっと待って、もしかしてこれって……!」


 気付いた時には、【御光石】を体中に重ねて貼り付けた魔物姿は高さ3メートルほどになり、その身体は硬い石でしっかりと覆われていた。


「そのまま、戦うみたいだね!」


 シオールが前に出て構えると、【御光石】の鎧を着込んだ魔物が走り出した。


「来たっ!」


【御光石】で作られた大腕が、猛烈な勢いで振り下ろされる。

 シオールは、大きなバックステップで回避に入る。


「っ!」


 すると目前に深くめり込んだ重い拳が、地面を揺らした。


「【打撃強化】発動! 【振り降ろし】――っ!!」


【腕力】型スキルの次撃威力を向上させる補助スキルを使用しての、豪快なメイスの振り降ろしが炸裂。

 硬い感触と共に、砕け散る破片。

 確かに直撃したがダメージはかなり控えめで、石材をまとった魔物の防御力の高さが垣間見える。


「はっ! やっ!」


 敵の反撃は、左右の大きな手を使ってのつかみかかり。

 シオールは連続のバックステップで、これを搔い潜る。

 すると魔物は右腕を大きく引いて、猛烈な勢いで突き出した。


「っ!?」


 その手は刃のような形状に変わっており、虚を突かれたシオールは防御を選択。

 大きく弾かれて下がる。


「今ですな! アルカナちゃん、ヘルメスちゃん!」


 ここで左右から迫るのが、なーにゃのドールたち。

 黒の戦闘用ドレスを着た短い白髪のアルカナと、白の戦闘用ドレスを着た黒い長髪のヘルメスが一気に距離を詰める。


「ヘルメスちゃん【ライジングシールド】!」


 まずは左から、砂煙をあげて迫るヘルメスの突撃シールドアッパーが直撃。

 飛び散る石材の破片の中を、今度はアルカナが踏み込んでいく。


「【物質変換】! アルカナちゃん【ホワイトファング】!」


 錬金術師なーにゃは、純白の槍の素材を【フレアメタル】に変換して攻撃を指示。

 放たれた白の熱閃突きは、短い距離だが超高火力の貫通撃だ。

 突き刺さる一撃はさらに石鎧を強く弾き、盛大に破片をまき散らす。


「まだまだっ! 【フレアストライク】!」


 さらにレンが続いて、炎砲弾が炸裂。

 大きく燃え上がる炎が、魔物を包み込んだ。


「これでも、ダメージはそこそこなんだね」

「これってドンドン鎧を剥がして、本体を撃つのが狙いになるのかしら……!」


 レンの予想は正解だ。

 身にまとった石材が鎧となり、攻撃から身を守るためダメージが入りにくいというのが現状。

 しかしこの鎧を剥がして本体を叩けば、ダメージが通り出すというのがこの敵の特性となっている。


「気を付けてください! 跳びました!」


 ツバメが声をあげる。

 魔物は大きく跳び上がると、石材を一か所に集めて一際大きな腕を生成。

 そのまま腕を、地面に叩きつける。


「「「っ!!」」」

「【コンティニューガード】【地壁の盾】!」

「ヘルメスちゃん! 【イージス】!」


 なーにゃの声に、二等辺三角形の純黒盾を持ったヘルメスが早い動きで前に出る。

 前方にいたツバメとシオールは即座に、その背後に隠れて身を守る。

 直後、盛大に飛び散る大量の【御光石】の欠片たち。

 凄まじい衝突音を立てながら、猛烈な削りを発生させる。


「嫌な攻撃ね。回避不能攻撃にしては範囲もそこそこあるし、防御型が本当に活きる形だわ……」


 押されるまもりを支えていたレンが、ツバメたちを確認。

 前衛組も同じように、ヘルメスを支えるようにして難を逃れていた。


「さあ、今度は攻めさせてもらいましょう……って」


 レンが視線を戻すと、敵は追撃を行わずに再び付近を飛び回る。

 すると先ほどの連続攻撃で失った破片が、あっという間に元通りになっていく。


「なるほど……再装着されたらまた防御が上がってしまうわけね!」


 ようやく判明したシステム。


「それなら、攻め続けるしかないですね」


 ツバメの言葉に、うなずくなーにゃ。

 せっかく剥がした石の鎧も、もたもたしていたら元通り。

 そんな異世界ならではの敵の特性に、各自が意識を攻めに切り替えるのだった。

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