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1437/1476

1437.クイーン・アント

 たどり着いたホールは、繭につながる糸が大量に張られた空間。

 これまでのアリたちよりも、二回りは大きな巨体に羽。

 現れたのは、付近の地下を支配するアリたちの女王であるクイーン・アントだ。


「このアリたちは、悪意なく世界に広がっていく脅威としての魔物かしら」

「悪意がないからこそ、恐ろしいのですね」

「痺れるシナリオぽよ……っ」

「私も迷わず巣に帰る能力が欲しいです」


 掲示板組とかわす、冗談交じりの会話。

 クイーンが羽を広げれば、それが自然と開戦の合図となる。


「「「っ!?」」」


 離れた位置から先手を取ったのは、クイーン。

 羽を大きく震わせることで響き渡る【羽音波】は、広範囲硬直攻撃。


「来るぞっ!」


 この隙を突き、クイーンは猛烈な勢いで滑空して特攻。

 硬直によって動けずにいた戦士に喰らいつき、一度まばゆい光芒を放つと、そのまま掲示板組の集まったところに放り投げた。


「「「うおおおおおっ!」」」


 巻き込まれて倒れ込む一団。


「【加速】!」


 クイーンを狙いに行くのは、体勢を立て直したばかりのツバメ。

 すると振り返ったクイーンは、そのハサミを地面に叩きつけた。


「っ!」


 地面から突き上がったのは、鋭い何本もの岩剣。

 ツバメは慌てて急ブレーキをかける。


「あれは俺の【岩刃剣】か!?」


 自身の使用スキルと全く同じエフェクトが見えて、驚く戦士。

 クイーンの【摂取】は、噛みついた冒険者のスキルをコピーする技のようだ。

 ツバメの足を止めたクイーンは、立て続けに【毒粘液】を吐いて攻撃。


「【バンビステップ】!」


 これをメイやスライムたちは、冷静に回避。

 その隙を突き、後衛組が攻撃に入ろうとしたところで、これまでより大きな毒液が飛来。

 大きさが向上した分、速度が遅く回避は難しくないが――。


「気をつけて!」

「爆発する可能性が90%です!」


 レンと計算君がその可能性を提示した直後、【爆裂毒弾】は予想通り大きな炸裂を巻き起こした。


「【錬金の盾】【ウェアリングシールド】!」

「【巨大化Ⅰ】【吸収】ぽよっ!」


 即座に動いたのはまもり。

 盾を大型化しつつ状態異常を盾に貼付するスキルを発動することで、完全な防御を展開。

 スライムも自身に属性魔法や状態異常をまとうスキルを使い、毒性を無効化してみせた。


「この空間で使われると厳しい攻撃でしたね、助かりました」

「まもりちゃん、スライムちゃん、ないすーっ!」


 まもりとスライムによる見事な完封。


「キィィィィィィィィ――――ッ!!」


 ここでクイーンは、奇妙な鳴き声を響かせる。

 するといくつもの繭が割れ、そこから親衛隊アリたちが這い出してきた。


「【ファイアエッジ】!」

「【サンダーボルト】!」

「【風切りの矢】!」


 即座に攻撃に入る掲示板組。

 しかし親衛隊級は甲殻が強く、ダメージにはなったが足を止めるには至らない。

 激しい足音を鳴らしながら、親衛隊アリたちが一気に距離を詰めてくる。

 その瞬間、レンの視線は樹氷の魔女へ。


「斬り裂け! 【氷のイバラ】!」


 準備は、すでにできていた。

 地面を伸びる氷の枝から次々に生える氷刃が、親衛隊アリたちの足を切り裂き止める。

 足元に広がる魔法はやはり、地面に密接するタイプの四足歩行には特に使い勝手がいい。

 ここで跳躍系のスキルを持たないアリたちのもとに駆けるのは、前衛組の面々だ。


「【ジェット・ナックル】!」

「【オクタブレード】!」

「【薪割りバスター】!」


 迷子とマウント氏を筆頭とした掲示板組前衛が必殺の一撃を叩き込めば、そこへメイが飛び込んでいく。


「【フルスイング】!」


 大きな払いの一撃は、三匹のアリをまとめて消し飛ばした。


「洞窟を崩さず威力もある。氷系の特殊魔法は文句なしね!」


 敵の攻勢を止めた樹氷の魔女の一撃にうなずきながら、レンは杖を奥から遅れて迫り来ていた親衛隊アリに向ける。


「もう一手ちょうだい! 【フリーズストライク】!」

「「「っ!!」」」


 氷砲弾だけでは一発打倒は難しいため、求められた援護。

 後衛組は我先にと構えるが、先行したのはやはり樹氷の魔女。


「【白氷花】!」


 つぼみを思わせる氷弾は一直線に飛び、炸裂した瞬間に白刃の花びらを展開。

 花のように広がり舞い落ちるエフェクトを前に、親衛隊アリが転倒した。


「まだだっ!」


 しかし受け身のような回転から、再度高速移動で特攻を仕掛けてくる。

 レンは「任せるわ」と一言。

 するとずっと滞空したまま追ってきていたパラス・アテネの【炎弾】がトドメを刺した。

 レンは肩に戻って来た使い魔の頭を撫でると、そのまま手を軽く持ち上げて合図を送る。

 すると樹氷の魔女も、クールにうなずいてみせた。


「樹氷ちゃん、顔がにやけてる」

「にやけてなどいない!」

「思いっきりにやけてるんだよなぁ」


 レンとの掛け合いに、うっかり本性が出てしまう樹氷の魔女。

 歓喜が、どうしても隠し切れない。


「【ロックアーム】!」


 金属製のガントレットをつけた岩の腕が地面から大きく伸び、叩きつける迷子の一撃。


「【アクロバット】!」

「【スライディング】!」

「「「っ!?」」」


 これをクイーンはかわすが、なんとその腕の上をメイが、腕の下をツバメが通り抜けていく。

 部分召喚攻撃をすり抜けて攻撃に向かうプレイヤーなど見たこともなく、前衛組が驚愕する。


「【フルスイング】! ツバメちゃん!」

「はいっ! 【稲妻】!」


 メイの豪快な剣の振り払いを、どうにかクイーンがかわしたところを狙ったツバメの攻撃。

 高速の斬り抜けで、しっかりと一撃を見舞った。


「くるよっ!」


 するとクイーンがその羽を広げたのを見て、メイが叫んだ。


「「「っ!!」」」


 直後、再びの【羽音波】が響き渡り再びの硬直を奪われる。

 ここでクイーンが狙うのは、まだにやけが止まらずにいた樹氷の魔女。


「くっ!」


 ハサミで抱え上げられたところで生まれる、光のエフェクト。

 そのまま投げ捨てられた樹氷の魔女が転がると、クイーンはすぐさま直進。

 いまだ残る親衛隊たちを巻き込む形で、【摂取】したばかりの【臨海氷樹】を発動した。

 白煙が地を駆け渦を巻き、生まれる純白の大樹が炸裂する。


「「「うおおおおおおおお――――っ!!」」」


 白煙に巻き込まれた掲示板組の一部が、凍結を取られて硬直。

 動き出したクイーンは弓術師をハサミで捕まえると、そのまま一直線に特攻。


「ぐああっ!」


【激突】はシンプルに壁にプレイヤーを叩きつける一撃。

 岩壁にめり込んだ弓術師が大きくHPを減らして倒れ込むと、壁に大きなヒビが入った。

 そこから煌々と輝く溶岩が、こぼれ出し始める。


「ヒビが大きくなっていきます!」


 広がるヒビは天井に続き、こぼれ出す溶岩。

 一部の繭が一瞬で燃え上がり、一気に恐ろしさを増す女王の住処。

 クイーンは低空を飛行しながら、再びメイたちとの距離を取り直した。


「これで即死も見えてきたわね、気を付けましょう……!」

「了解ぽよっ!」


 危険度を一気に高めた戦いは、緊張のまま続く。

◆本日、新作始まりました!

『メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚~』

世界の先端を行く産業革命の国ブリティシア。ただしこの国は……メシがマズい。

そんな大国につながってしまったキッチン・みけが、住人たちを料理で魅了していく話です!

ページ下部にリンクがありますので、何卒――よろしくお願い申し上げますっ!


ご感想いただきました! ありがとうございます! 返信はご感想欄にてっ!

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◆◆◆新作よろしくお願いいたしますっ!◆◆◆

【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
良かった、摂取が上書き型で・・・ 追加型だったらあらゆるスキルを使うキメラアントが…(HxHではない)
レンちゃんが【摂取】されて、詠唱しながら大規模魔法を使うクイーンに「詠唱はスキルと関係ないから!」って突っ込んでほしいw
五月晴れ特にメイのスキルコピーされたらかなりきついかも…
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