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1438/1474

1438.打倒クイーン!

 岩壁に走ったヒビから、こぼれ出した溶岩。


「くるっ!」


 クイーンが羽を広げれば、それは【羽音波】による硬直攻撃の合図。


「【超高速魔法】【フリーズボルト】!」


 何度でも同じ時間の硬直を奪うスキルはやっかいだが、事前モーションにいち早く気づいたメイの言葉に、即座に動くレン。

 クイーンの身体にぶつかった氷弾が、【羽音波】を強制停止させた。


「【加速】【リブースト】【紫電】!」


 先行したツバメが反撃の雷光を放つと、クイーンは慌てて【超硬化】を発動し駆ける電気に対応。


「続くぽよっ!」

「はいっ!」


 ここに駆け込んで来たスライムと迷子が、左右からの攻撃を仕掛けに行く。


「【スリップフット】!」

「【飛び跳ね】ぽよっ!」


 クイーンは毒液で迷子の足を止めるが、その時すでにスライムは目前。

 ここで真ん中からも、マウント氏が剣を手に駆け込んでいく。

 そのまま攻撃体勢に入ったところで、クイーンが初めて見る動き。

 頭部にある触角をぶつけて鳴らし、奇妙な音を響かせた。


「「「っ!」」


 危険を察知したのか、三人が同時に足を止める。

 そして全員が、こちらに慌てて戻って来たかと思った次の瞬間。


「【ジェット・ナックル】!」

「っ!?」


 迷子の攻撃が突然、まもりに向けられた。

 蒸気を拭き上げながら迫る拳の一撃は、完全にまもりの虚を突いた。

 それでも通常防御を決めたまもりの、恐ろしい対応能力。

 しかしそこに、スライムが真横から迫り来る。


「【砲弾跳躍】ぽよっ!」

「きゃああああっ!?」


 まさかの連携を盾で受けることには成功したものの、その威力を前に派手に転がるまもり。

 メイたちの間に混乱が広がる。


「操られていたぽよっ!」

「まもりさん、申し訳ありませんっ!」


 何が起きたのかを、いち早く伝えるスライム。

 この隙を突き、クイーンは【爆裂毒弾】を発射する。


「「「うわああああああ――――っ!!」」」


 炸裂した毒液が、掲示板組の一部を弾き飛ばした。

【クイーン・オーダー】は範囲内のプレイヤーを、まとめて『洗脳』という状態異常に陥らせ、味方を攻撃させるスキル。

 このスキルの仕様が不明なため、さすがに困惑する一団。

 クイーンは混乱の隙間を縫い、特攻を仕掛けにくる。


「【アイシクルエッジ】!」

「【百雷の矢】!」

「メイちゃんたちは、一度下がってくれ!」


 掲示板組のあげる声に、レンはその意図を把握。

 どんな形であれ一度はクイーンの味方になってしまうスキルなら、メイやツバメ、レンが『洗脳』された時点で全てが終わる可能性がある。

 下がるメイたちに変わり、クイーンは豪快な羽ばたきで特攻。


「「「ぐああああ――っ!!」」」


 急な毒攻撃で体勢を崩していた掲示板組に突撃し、再び数人をまとめて跳ね飛ばす。

 転がればそこには、落ちてくる溶岩。

 慌てて転がって逃げると――。


「【斬岩剣】!」

「くっ!」


 倒れ込んでいる掲示板組戦士に、とどめを刺しにきたのは『洗脳』下のマウント氏。


「【フレイムボルト】!」


 マウント氏を止めるため、放たれた炎弾が弾ける。

 すると剣撃が放たれる直前に、『洗脳』が解除された。


「……おい! これどんな形でも攻撃を受ければ、正気を取り戻すみたいだ!」


 目覚めたマウント氏は即座に、【クイーンオーダー】の仕組みに気づいて周知。

 ここぞとばかりにマウント氏に全力をぶつけてやろうとしていた、掲示板組の動きが止まる。


「「「っ!!」」」


 その瞬間、再び聞こえた触手のぶつかる音。

 数人の掲示板組が、同時に【クイーンオーダー】によって洗脳されてしまった。


「即座に攻撃に入れ!」


 マウント氏が早々にシステムを公表したことで、近くにいた者を通常攻撃で目覚めさせる戦法が広まり、危機を抑える。

 仮に解除に失敗しても、防御を取れば基本的には安全だ。

 しかしそんな通常攻撃の隙間を、通然のようにすり抜けていく影があった。

【クイーンオーダー】はギリギリで、ツバメをその攻撃範囲に収めていたようだ。


「【加速】【リブースト】」


 これに気づいたのはまもり。

 ツバメは掲示板組を置き去りに、レンの方に向かって進んでいる。

 慌てて両者の間に入り、盾を構える。

 すると『洗脳』ツバメは、その狙いをまもりに変えてきた。


「【疾風迅雷】【加速】【加速】【加速】」


 まるで五芒星を描いているかのような、鋭角なターン。


「【分身】【スライディング】」


 生み出された分身に気を取られた瞬間、その足元を滑っていく。


「これは……っ!」


 さらに高速移動時に姿をかすませる【暗転のブーツ】に装備を変えていたツバメは、さらに【疾風迅雷】による【加速】を連発。

 分身が混ざってしまえば、もはや本物の判別など不可能だ。


「っ!!」


 まもりの背中に走る寒気。

 見ればツバメの武器が、盾を通す【境界死線】に変わっていた。


「ツバメさん、ごめんなさいっ! 【大回転撃】!」


 まもりは二枚の盾を振り回して範囲攻撃を放つことで、高速移動を無効化し、ダメージを与えてでもツバメを止めることを選んだ。

 はずだった。


「【回転跳躍】【空襲】」

「っ!?」


 二枚の盾の隙間を跳び、閃かせる短剣。

 やはり対人戦のツバメは、至高の暗殺者に他ならない。

 美しい伸身の跳躍で迫る攻撃の動線は完璧で、時間が止まったかのような感覚に陥る。

 その直後、視界に入ってきたのは――――メイ。


「ごめんねツバメちゃん! 【カンガルーキック】!」


【空襲】を喰らえば、そこからの高火力攻撃までが一連の流れだろう。

 ツバメを横から蹴り出して、まもりの危機を救うことに成功。

 着地したメイは気づく。

 クイーンとの間には、何もなく一本道。

 すると互いが、この場の『王』を狙って動き出した。

 クイーンはすぐさま触角をぶつけて鳴らし、【クイーン・オーダー】を発動。

 しかし駆けるメイの手には【原始肉】

 豪快にかじりつけばもう、状態異常は届かない。

 ここで左右から迫るのは、親衛隊アリ。


「【ジェット・ナックル】!」

「【砲弾跳躍】ぽよっ!」


 こちらも二人の親衛隊が、メイのために道を払う。


「ありがとう迷子ちゃん、スライムちゃん! 【裸足の女神】!」


 メイは一瞬で、クイーンの懐へ。

 ハサミ攻撃をしゃがんでかわし、そのまま剣を豪快に振り上げる。


「【フルスイング】!」


 アリの長い身体が宙を回転して、落下。

 だがメイは止まらず、そのままハサミ部分をキャッチしてクイーンを抱え上げた。


「いきますっ!」

「う、おお……っ」


 クイーンを垂直に持ち上げたメイに、思わずもれる唸り声。

 集まる視線と、一瞬の静止時間。

 この後、後ろに投げて叩きつけるのは皆なんとなく分かっている。それでも。


「【ワイルドバスター】だああああああ――――っ!!」

「「「うおおおおおおおお――――っ!!」」」


 声を上げずにはいられない。

 地面に叩きつけられるのと同時に、巨体が地面にめり込み盛大な砂煙が上がる。


「総攻撃ぽよおおおお――っ!!」


 もはやクイーンの生死は関係なく、もしも一ゲージでも残っていた時のために放っておく掲示板組の攻撃。


「【オクタブレード】!」

「【フレイムマイン】!」


 マウント氏と計算君の攻撃が炸裂すると、さらに前衛組が畳みかける。


「【風切りの矢】!」

「【白氷花】!」


 即座に後衛組が続き、巻き起こる爆発。

 吹き飛ばされたクイーンはそのまま壁に激突し、滴る溶岩に燃えながら断末魔の咆哮をあげた。

◆新作『メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚~』始まりました!

ページ下部にリンクがあるので、よろしくお願いしますっ!


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◆◆◆新作よろしくお願いいたしますっ!◆◆◆

【メシマズ大国の料理店~キッチン・みけの店ごと転移譚】~
― 新着の感想 ―
クイズの流れはそう言うことですね、この五文字で二通りの意味になる漢字ですね、今までのも、ここのかに(九日に、ここの蟹)、めもくれず(目もくれず、メモくれず)という感じね
クイズですけど下の川柳は今回の問題とは無関係ですよ 同窓会  皆でアルバム  ○○○○○  イラスト→同窓会で集まった皆でアルバムを見ながら話をしている この問題だけ解いてくださいね
模倣、洗脳系は対処方法ないと恐ろしい… ツバメちゃん、何気に範囲攻撃もできるけど、隠密中じゃなくて良かった… 初代魔界塔士サガで神と戦闘中に混乱した人間が、ひとりずつ味方をチェーンソーで切り刻みなが…
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