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EX STAGE48:決戦


 悪の因子の総本山となってしまった、世界魔法連合総本部【光神殿】。

 おいらたちは、その光神殿にやって来ていた。

 もちろん、なんどか戦闘にはなった。

 だが、おいらたちは余裕で勝った。

 連合本部奪還、そして邪悪たちを倒すこと。

 それがおいらたちの目的であり、そしてこの戦いを終わらせる唯一の方法なのだ。

 「ふぅ……これで、邪ナモノはだいたい倒せたな」

 ジンライは服についた埃を払いながらそう言った。

 「ここに……色欲が……」

 「ええ……ウラヌス。 あの時の借りを返すわよ」

 精霊族王女に仕えし執事ウラヌスと、精霊族王女フィリは苦い思い出を胸にここに来ている。

 「エンドもここに……」

 「そうだろうぜ、ファースト」

 始まりの神ファースト、それから悪魔神ヨルヤ=ノクターンも来ている。

 「さあて、翔琉お兄ちゃんの肉体を邪悪から奪え返さないとね」

 「そうね……翔琉ちゃんの肉体を取り戻さないとね」

 おいらのお姉ちゃん天野蘚琉、そして水の大魔導士リュウもいる。

 「翔琉お兄ちゃん……準備はできてる?」

 「狼牙こそ、いいかい?」

 霊体状態の翔琉はおいらの頭を優しく撫でた。

 霊体だけど、本当のような温もりと優しい気持ちが頭を伝って来たような気がした。

 これでおいらは頑張れる。

 「あ!!狼牙だけズルい!!」

 「あたしもやって!!」

 「私の方が先よ!!」

 ジンライたちはおいらが翔琉に撫でられているのを見て押し掛けてきた。

 やれやれ、お兄ちゃんは相変わらずモテますな。

 「おいおい、お前ら……ここは一応敵の総本山なんだから……って、おっと。 どうやら、やって来たみたいだよ……彼らがね」

 そう翔琉が言うと、光神殿の入り口前に黒い渦のようなものが現れた。

 そしてそこより、悪の因子【暴食】【嫉妬】【傲慢】【強欲】そして【色欲】が現れたのだ。

 「これはこれは、天野翔琉殿のお仲間殿たちよ……よくも、我らの居城を」

 「まあまあ、暴食。落ち着けって」

 「私様たちの庭を荒らされて落ち着けと?」

 「そうだ……我らの主の眠る城を……」

 「あ、やっほ~王女ちゃん。あの時の続き、俺ちんとやろうぜ♪」

 自分勝手に、自己中心的な考え方。

 邪悪の生み出した彼らは、余裕そうにしていた。

 そりゃそうだろう。

 彼らを完全に倒せる存在は今、本来の力を発揮できない立場にある。

 始まりの神ファースト……彼女は、彼ら悪の因子の策略により、その命を奪われ概念化してしまった。

 残っていたのは、天野翔琉に宿っていた僅かな思念のみの存在。

 故に、現実世界に干渉できることも限られている。

 天野翔琉……彼は悪の因子【憤怒】となったディルに敗北し、その時のことが原因で神外化してしまい、時空間の狭間に閉じ込められていたが、ディルの時の監視者としての力を利用し侵入してきた邪悪によって肉体を奪われ本体の奥深くに封じられ、今となっては精霊族王女によって一時的に召喚されている存在。

 彼が力を発揮すると、フィリ王女はその力に耐えきれず、最悪死んでしまうからこそ、天野翔琉は神魔法系統の強力な魔法は使うことができない。

 そして、悪の因子を完全に滅ぼすために必要なのは、この二人が生まれながらに宿している光属性の上位的属性【聖属性】。

 光属性に光属性を合わせるという難易度測定不能レベルの技術。

 それがなければ、悪の因子たちは完全には滅びない。

 だからこそ、彼らは余裕だった。

 始まりの神ファーストと、天野翔琉は今はもう無力。

 だからこそ、彼らは余裕だった。

 だからこそ、彼らは侮っていた。

 だからこそ、彼らは油断してしまった。

 「んじゃあ、それぞれ戦えるようにフィールドを用意して上げるよ……」

 嫉妬は5つの異空間を出し、5体はそれぞれの穴の中へと姿を消した。

 しかもよりによって、入り口前に異空間の穴を配置しやがったから、これじゃあ光神殿内に入れない。

 戦うしかない。

 という状況をもの見事に作り出してくれたわけだ。

 まったく……本当に油断してやがるな、あいつら。

 「さてさて……んじゃあ、やりますか。 悪の因子退治」

 「そうだね……じゃあ、それぞれの相手をする人は~」

 と、翔琉は決める。

 あのノース文明の未来とは違う結末を……。 

 

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