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EX STAGE19:飛来

「翔琉‼」

 戦場にこだまする、悪魔の叫び声。

 一人の人間を悪魔が探し求める……そして、この世界最強レベルの魔導士たちも同様に彼を探す。

 彼らは未だに信じられなかった。

 あのチートレベルの天野翔琉の消滅……そして、悪の因子に墜ちた仲間の存在。

 なぜ彼は……なぜ彼女は……。

 その答えを知りそうな者は、今はいない。

 きっと、天野翔琉の中に眠っているファーストならばなにかしら知っていたかもしれない。

 が、彼女は天野翔琉と共に行方不明であった。

 残された生命の残痕(ざんこん)は、その場所から一人の人物が消え去ったという事しか証明できていなかった。

 翔琉ならば、あの翔琉ならば……と、彼らは無駄かもしれないと知りつつ、戦場で彼を探す。

 果てしない広野の奥には、悪の因子によって落とされた正義の居城であった場所が燦然と輝いて見えた。

 「翔琉……返事してくれぇ……」

 「翔琉ちゃん……いやぁぁぁぁ……」

 やがて悪魔も大魔導士たちも絶望に包まれていった。

 希望(かける)絶望(ディル)に負けたという状況がよりいっそう、彼らをネガティブに落としているのだろう。

 『だが、その時……頭上から、一筋の光が舞い降りたのだ……』

 そう言って上空から、1羽の黄金に輝く鳥が飛来した。

 悪魔神ヨルヤ=ノクターンは驚きを隠せなかった。

 それは、現世を嫌い、干渉されることを嫌う鳥族(とりぞく)(おう)鳳凰(ほうおう)】だったのだ。

 鳳凰は鳥の姿を人間へと変化させ、地へ降り立ったーーー白いロングパーカーに、金色の長髪を後ろで束ねた青年姿に。

 『やあ、ヨルヤ殿。こうして出会うのは、始まりの神ファースト殿が亡くなった時の葬儀以来かな』

 「お前がこの世界に姿を現すだなんて……ほとんど朱雀に仕事を押し付けて時空間を旅してるのに」

 『はは。まあ、それを言われてしまうと返す言葉もないや……んじゃまあ、用件だけ伝えるね~』

 そう言って鳳凰は、懐から鶴の折り紙を取り出して、それを地面に向かって落とした。

 すると鶴は地面に時空間の扉を出現させるのだった。

 『時の監視者よりさらに上位の存在、時空間の主がヨルヤ殿に会いたいんだって』

 「時空間の主……だと?」

 『うん。あと、他のみんなにもね。あ、拒否権はないから』

 パチンっと鳳凰が指を弾くと、時空間は広がり、ヨルヤたちを飲み込んだのだった。

 

 

 時空間とは、どういうところなのか。

 時間と空間という概念が存在しない異空間……とだけ言っておこう。

 時空間は、始まりの神ファーストが唯一改変出来なかったこの世界の始まりの部分。

 要するに、無の中に存在した無であったのだ。

 概念さえ司り操るファーストといえど、無の空間を完全に制御するには難しいものなのだろう。

 だから、創造した世界が一部欠落してこのような時空間を産み出している。

 ちなみに、時の監視者が管理している時空図書館もこの時空間の中に存在しているのだったりする。

 神さえも概念さえも……ここでは、あらゆる事象は全て無力となる。

 まあごく稀に、時空間でも力が発動できるけど、そんなものは数億回に1度くらいのものだ。

 確率的にはほぼ不可能と言えるレベルでしか魔法を扱うことのできない空間。

 そんな空間に、とある女が鎮座していた。ボロボロの白い神託の衣装を着込み、目をつぶり、虚空に向かって祈りを捧げる女。

 その女はヨルヤたちの接近に気がつくと、目をパチリと開き彼らの方を向いた。

 その姿に彼らは驚きを隠せなかった。

 何故なら、それはよく見知った顔だったからだ。

 彼らは彼女にも先程出会っているーーーそれも、最悪な形で。

 そう……彼女の顔はまるで。

 「「ディル……‼」」

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