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他に寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。  作者: にのまえ


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十二

 折れてしまった木刀はもう使えない。誰かの……あの女剣士の剣を借りる。いいえ、わたしよりも強い女剣士に、ワーウルフの魔法陣を破壊してもらうのはどう?


 わたしは小型を気にしつつ、大型と対峙している冒険者たちに声をかけた。


「ねえ、あなた達はこの召喚獣の消し方を知っている?」


「召喚獣の消し方⁉︎」

「この魔物は洞窟から這い出てきた、魔物ではないのか!!」


 ええ、冒険者達、このワーウルフ二体が洞窟から出た魔物ではなく、召喚された魔物だと気付いていない。額に見える魔法陣がその証拠なのに。


 だから、さっきからワーウルフの体を攻めていたの?


「もう一度聞くけど、あの召喚獣の消し方は知っている?」


 彼らは各々、知らないと首を振った。


 ちょっと待ってそんなの嘘でしょう。曲がりなりにも君たちは冒険者だよね。冒険者が知らないなんて、ガレーン国の冒険者ギルドとか学園で、召喚術について教えないの? 魔物が出る国なんだから、とても大切なことじゃない。


 なぜ?


 この国の北の洞窟には魔物が住む。昔、実験施設では魔物を使い実験を行っていた。となると新しい国王となった今、魔物を利用することが禁止? だとすれば召喚術も禁止? いやいやそれではダメでしょう。


 魔物が出ないリルガルド国のわたしは学園で学び知ってる。実際にこんなことが起きてからでは遅いって! もう起きてるのだけど……


「勇ましい女性、すまない。奴のどこを狙えばいいのかを、私達に教えて欲しい!」


「私にも教えて!」


 女剣士と武闘家モンクが気合を入れて、拳と剣を構えて言ってきた。これは期待できるかも……しかし、彼女らに教えようとしても小型ワーウルフの攻撃が止まない。


 衝撃弾が飛ぶ、避けた場所にすぐに飛んでくる、ドゴッ! ドゴッと土をえぐり爆発する。


「ひっ! い、いまから説明するね。ワ、ワーウルフの額に黒い魔方陣が見えない? うわっ、それを壊せばいいの、魔法陣を壊せば奴は消えるから!」


 わたしの説明を聞き、女騎士とモンクは大型のワーウルフの魔法陣を確かめた。


「あ、あれを壊すのか!」

「私たちに出来る?」


 そこで弱気にらないで、いま、あなた達がやらなければ、誰がやるのよ!


「諦めずにやりましょう。わたしも頑張るから、一緒にやればなんとかなるって!」


 彼女たちを力付けて、わたしは折れた木刀の片方を握った。いくぞ、弱気になるな、わたし!


「盾役のあなたに無理を承知でお願いします、大型ワーウルフを挑発して攻撃に耐えてください!!」


 強烈な攻撃に耐えろだなんて、なんて無茶振りなお願いだ。しかし、盾役の人は「了解した!!」と頷いてくれた。


 よし、小型ワーウルフから先に消すと、向き合ってすぐに、チャンスが到来した。小型ワーウルフが衝撃弾を吐く態勢に入ったのだ。わたしは二人に視線で合図を送る。


 作戦はこうだ。


 武器を持たないわたしが真っ先に奴に向けて走る。小型ワーウルフはすかさずわたしに向けて衝撃弾を放つだろう、その隙を騎士とモンクが魔法陣を狙う! それしかない。



「ぐわぁ!!」



 避けきれず衝撃弾を体で受けてわたしの体が飛ばされる。でも今がチャンスだ!! 小型ワーウルフが衝撃弾を放ち放ったあとに奴の額が下がる。


 そこに二人が飛びかかる。


「いけぇ、奴の魔法陣を破壊してぇ!!!!」


 躊躇している暇はない、いけぇ!



「「ティアァァァ!!!!!」」



二人の額に剣と拳が小型ワーウルフの額を壊す。



「【ガリィィィーーーン!】」



 魔方陣の割れる音と黒い煙を吐き、光になって消えていく小型ワーウルフ。完全に消えた後にボドッと地べたに骨が落ちた……黒く煙を纏う骨。


 ゴクッ、初めてみたけどあの骨は危ない。あれに触れると必ず呪いを受ける。あのワーウルフは召喚の契約もなしに強引に呼ばれた。そして戦わされて、傷付けられたワーウルフの恨み満載な骨だ。



「「グルルル…グゥルル……アオォーーーン」」



 地を這う、大型ワーウルフの怒り声が聞こえた。奴は盾役の挑発よりも、小型を消したわたし達を見下ろし、鼻にシワを寄せ牙を剥く。


(ヒィイ……)

 

 これは無理だ、いま小型の衝撃波を喰らったためわたしのプロテクトの効き目は後一回。大型の衝撃波、爪攻撃、突進を喰らったら確実に動けなくなるか、下手をすれば大怪我だ。


「ひっ!」

「あ、ぁあ……」


 女剣士とモンクは大型ワーウルフの威嚇に怯えて動けそうにない。ここは、まだ動けるわたしがやるしかない、気合を入れて大型に向けて折れた木刀を構えた。



「「早く、こちらに走って来てください。私が奴の攻撃に耐えます!!!」」



 頼もしい盾役に呼ばれた。いま、みんなが助かる道はそれしかないと、近付こうとした隙を狙われた。大型ワーウルフは注意がそれた女騎士たちに向けて突進した。



「あ、危ない!!」



 わたしは二人を力を込めて盾役の方に突き飛ばした、そこに大型ワーウルフの突進が来る。もろに突進を食らい、みんなとは真逆の方に吹っ飛び地べたに転がった。



「ぐっはぁ!!」 



息がうまくできず、激痛が体にはしる。つぅ、痛い、痛い……なんとか、プロテクトのお陰でおそらく耐えられたかも……でも、目が霞んでこの場から動けない。そばでは大型ワーウルフの鼻息荒く、鋭い爪を、わたしに向けて振りかざそうとしているのに。


「やめろ! こっちに来やがれ!」

「やめて!」


「ワーウルフ、こっちに来い!」


 みんなの命懸けの声が聞こえる、盾役の人がいくら挑発を出しても、大型ワーウルフは見向きもしない。万事休す、こんなときにミリアとみんなの笑い顔が浮かぶ。ごめんね、みんなにもう会えないかもしれない。


 奴が振りかざす爪がスローモーションの様に見えた。この爪でわたしの体は切り裂かれるのだろう。悔しい? そうだね。お父様、お母様、お兄様、弟様……わがままばかりでごめんなさい。


 出来るなら、心が温まるような恋をしたかったな……


 "みんな、ありがとうと" 最後の言葉を呟き、わたしは目を瞑った。

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