姫ちゃんからの電話
そして、かー君が死んだ。姫ちゃんは親戚でも来賓でもない後ろの席で、ひっそりとかー君を送った。でも、かー君が出棺した後、入院友達が、
「全部終わったね」
って言ったとき姫ちゃんは、
「まだ早いから、かー君の病院に寄ろうかな」
って言ったので、その娘は慌てて姫ちゃんを彼女の家まで送り届けたそうだ。時々あるそうだ。悲しすぎて記憶がとんでしまうこと……
いや、解っていてもそう言いたかったのかもしれない。家に戻った姫ちゃんはちゃんとかー君の死を受け止めていて、私に『サビシイ』コールをしてきてくれていたから。
そして、それが一週間後ぷっつりとなくなった。その前日、
『以前から約束していた映画に行ってくるよ。行きたくないけど』
と言っていた。映画を見て、すこし吹っ切れたんだろうか。それとも、人混みにやられて最近でなかった発作がまた出たのかも。
その当時、私は立ち上げたばかりの新しい企画に参加していて、毎日帰るのは日付が変わる寸前で、だから休日は泥のように眠っていて……姫ちゃんはそれを見越して日付が変わったくらいに電話してきていたけれど、さすがに私からそんな時間に電話することもできなかった。
ううん、本当は怖かったのだ。彼女の家族から姫ちゃんは入院したのではなく、もうすでにかー君のところに旅立ったと言われてしまうのじゃないかと。
25日後、企画が一段落して私はやっと姫ちゃんちに電話を入れた。




