7話 憧れの存在
夜の21時 公園
星空が出ていて
そこで少女が
ダンスの練習をしている
季節は桜が散り始め
桜の葉と若葉が
同居し始めた
公園を通った人が足を止め
踊っている少女に見惚れる
”こんな時間に
女子高生がダンス?”
シェリダ・マクシールは
自閉症スペクトラムによる
視覚過敏のため
夜にしか活動ができない
そのために
学校の文化祭で
お姉ちゃんのように踊って
輝きたいと言う夢を
高校生だけど諦めている
だけど
別の夢をくれた存在が居た
ファム・リファリィ
彼も
シェリダと同じ
自閉症スペクトラム
光刺激により
文化祭で踊れないのなら
この公園でダンスを披露して
輝けばいい
その
別の夢をくれた
その存在からの道標に
生きる力をもらう
いま
一か月後のゲリラライヴのために
ダンスの練習をしていた
シェリダ「・・・
ちがう
こんなんじゃ足りない
シェリダ「・・・こんなんじゃ
周囲から見れば
見惚れるほどの美しさ
そんなダンスだ
だが
彼女の理想は
さらに上を行っていた
子供のころ
姉の大学の文化祭で見た
姉の踊り
あれが
良い意味でおかしいのだ
プロダンサーになれても
不思議ではない踊り
それが鮮明に
シェリダの心を支配した
シェリダ「・・・足りない
・・・こんなんじゃ」
なにやってるの?
あんた?
シェリダ「お姉ちゃん?」
サシャ「いつも
夜遅くに
どこかに行くと思ったら
公園で踊りの練習?」
シェリダ「・・・」
サシャ「踊りは
あきらめたんじゃないの?」
シェリダ「・・・
・・・あきらめ
・・・きれなかった
サシャ「シェリダに
文化祭で踊るのは・・・」
シェリダ「そうよ?
文化祭ではムリ でも
夜の
この公園なら
シェリダ「公園の
オーディエンスの前で踊るの!
それが私の他に見つけた夢なの!!」
サシャ「・・・
サシャが踊り出した
シェリダとは
明らかに別次元
1つも2つも3つも上の存在
その踊りを見るだけで
力の差を思い知らされた
シェリダ「・・・」
サシャ「あんたに
踊りを教えてあげようか?
私の自己流になるけど
シェリダ「・・・え?」
サシャ「かわいい妹が
目標を見つけて
歩き出したみたいだし」
シェリダ「・・・
・・・かわいい妹?
シェリダ「・・・そんな風に
・・・思ってたの?」
サシャ「まあ
私も若かったからね
”妹は
あんなに可愛いのにね”
そう言われて
生きて来た私の人生を
思い知ってもらおうか美人?」
シェリダ「・・・そう言われても
・・・私は悪くないし」
サシャ「その代わり
アイツを紹介しろ?
あの
とんでもない
超絶イケメンを?
シェリダ「・・・え?」
サシャ「若い男と
夜中に会ってるの
知ってるんだけど?
シェリダ「・・・それは」
サシャ「どういうことなの?」
シェリダ「・・・
言いたくなかった
きっとファルのことだろう
真実を言えば
45歳の おじさんと
毎晩 夜中に会ってるなんて
世間体が悪い
シェリダ「(・・・このままじゃ)」
サシャ「あんたが
さいきん生き生きしてるのも
別の夢を見つけたのも
その男が原因?
シェリダ「・・・」
サシャ「・・・しかたないわね
お母さんには
黙っててあげる
シェリダ「・・・え?」
予想もしてなかった
言葉が姉から出て来た
てっきり
「もう会うな?」くらいは
言われると思っていたのに
サシャ「だってさ
鬱々として広がっていた世界に
彩りを与えてくれた人なんでしょ?
サシャ「あの超絶イケメンは?」
シェリダ「・・・そうね」
サシャ「私も
理解がないわけではないけどさ
あんたの
その身体の事情を
考えればね
サシャ「ただ
何か問題が起きたら
保護者として警察などに
通報させてもらうからね?」
シェリダ「大丈夫だよ?
それは無いから」
サシャ「ずいぶん
信頼しているのね?」
そして二人は
姉妹は踊りの練習を始める
シェリダ「1時間で終わり?」
サシャ「社会人を
なめんな?
明日 余裕で仕事だし
仕事おわりに
つきあってるんだから
ありがたく思え?」
シェリダ「ありがとう
お姉ちゃん?
でもね
あの人は紹介しないよ?
サシャ「なんでよ!?」
シェリダ「だって
私と同い年の男に
手を出すつもり?
サシャ「・・・」
シェリダ「犯罪に
なるんじゃないかな?」
本当は
45歳の
おじさんだが
ここは
うまく
ごまかすことを選んだ
サシャ「・・・たしかに
・・・捕まりたくないわ」
シェリダ「(・・・ファルも
・・・私と遊んでるとき
・・・そう思ってるのかな?)」
サシャ「まあいいや
あんたの
夢の手助けくらい
してあげるわよ?




