〇プロローグ 異世界ならモテるんじゃね!?
きおうそ初投稿!最後まで読んでくれるとうれしいです!
ある日の放課後。高校の廊下にて。
「ねえ~! 今度の週末デートしよ?」
「ああ、いいぜ!」
「やった~! さっすが私の彼氏~! どこ行く?」
「お前の好きなところでいいぞ!」
「マジで神~!」
夕暮れの廊下で、周囲の目など気にする様子もなくイチャつくカップル。
高校生活ではよく見る光景だろう。
…………いや、よく見てたまるか。
(はぁ……ったく、イチャつくなら外でやれよ……)
俺は深いため息をつきながら、目の前のカップルを睨んだ。
その時、ポンポンと背中を叩かれる。
「なんだよ、ミナト。そんな顔して! ……まあ、理由はなんとなく分かるけどさ」
振り返ると、そこには俺の数少ない友達の一人が立っていた。
「しょうがないだろ。あんなの見せられて、イラつかない非リアなんていないって」
「まあまあ。お前も彼女ができれば、ああいうことしたい気持ちが分かるって!」
軽々しく言ってくれる。
何を隠そう、こいつには彼女がいるのだ。
つまり、俺とは住む世界が違う人間というわけである。
…………くそっ、羨ましい!
「その彼女ができないから悩んでるんだが?」
「モテればいけるって!」
「俺の辞書に『モテ』なんて甘い二文字はない!」
「いや、そんな悲しいこと自分で言うなよ~!」
「こうでも言わないと、理性を保てないんだよ……」
「なんか大変そうだな……。まあ、頑張れよ! 俺は応援してるからな! じゃあ、また明日!」
「おう……」
友達は笑顔で手を振り、帰っていった。
……あいつ、絶対に他人事だと思ってるだろ。
俺は再びため息をつく。
彼女、ねぇ……。
いつか俺にも、あんな青春が訪れる日は来るのだろうか。
────────────────────
その日の夜。
俺は自室のベッドに寝転がり、ぼんやりと天井を見つめていた。
「あ~あ、簡単にモテる方法とか落ちてねぇかな……。それなら楽なのに」
もちろん、そんな都合のいい方法があるはずもない。
遅くなったが、自己紹介をしておこう。
俺の名前はミナト。ただの高校生だ。
そして、俺には一つ、どうしても抑えられない欲望がある。
それは────────
「とにかく、女性にモテたい!」
……我ながら、どうしようもない欲望である。
でも仕方ないだろう!俺だって男子高校生だ!
昼間のカップルみたいに、好きな人とデートをしたり、何気ないことで笑い合ったり。そんな甘酸っぱい青春に、俺だって憧れているのだ!
『憧れるのを、やめましょう』なんて名言を突きつけられたところで、簡単に諦められるものじゃない。
しかし、現実は残酷だった。
これまでの人生で、俺に好意を寄せてくれた女子なんて一人もいない。
特別な才能があるわけでもなければ、勉強や運動が飛び抜けてできるわけでもない。
周りを見渡せば、俺より優れた奴なんていくらでもいる。
そんな俺がモテるなんて、夢のまた夢だ。
………いや、友達は「ミナトはモテると思う」なんて言ってくれたけど。
あれはきっと、哀れな俺を気遣ってくれたのだろう。
そう考えると、少しだけありがたい気もする。
…………少しだけ、な。
「はぁ……。どこかに俺の人生を変えてくれるような、都合のいい場所はないもんかねぇ……」
そう呟きながら、俺は天井を見つめ続けた。
そして、ふと思いつく。
「……待てよ?」
俺は勢いよく上半身を起こした。
この世界では、俺はモテない。
ならば、世界を変えればいいのではないだろうか?
例えば、魔法があって、モンスターがいて、特別な力を持った人間が活躍するような世界。
そう────異世界だ!
「異世界なら……モテれるんじゃね!?」
口にした瞬間、我ながらとんでもない考えだと思った。
異世界に行ったところで、モテる保証なんてどこにもない。そもそも、本当に異世界なんて存在するのかすら分からない。
それでも、一度浮かんでしまった妄想は止まらなかった。
異世界なら、今の俺でも何かが変わるかもしれない。
今までとは違う人生を送れるかもしれない。
……そして、あわよくばモテモテになれるかもしれない!
「うん、悪くない! いや、最高じゃね!?」
俺は一人、勝手に盛り上がっていた。
そのとき、ふと壁の時計に目が留まる。
「……って、やばっ! もう一時じゃん!」
明日も学校があるというのに、こんな時間まで起きている場合ではない。
今日の授業中、居眠りをして担任に怒られたばかりなのだ。
クラスメイトたちの視線と、あの気まずい空気を思い出す。
…………あんな思いは二度とごめんだ。
「どうか明日は居眠りしませんように……」
そう願いながら布団に入り、電気を消す。
暗闇の中、目を閉じても、さっきの妄想は頭から離れなかった。
「…………寝て起きたら異世界到着! とかないかな」
そんな都合のいい夢を思い描きながら、俺は眠りについた。
だが、このときの俺は、まだ知るよしもなかった。
まさか、その願いが本当に叶うことになるなんて。
そして、それが想像もしなかった日々の始まりになるなんて。
次回から本編です!お楽しみに!
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