表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/32

第25話 ドッペルゲンガー?

僕が目を覚ますと、彼の背中で揺られていた。

そうだった。

確か僕が体調崩して、それから山を降りていたんだ。

ケンタの汗臭さはなぜか消えて、代わりに消毒液のような石鹸のような匂いがした。

不思議な感覚だ。

なんだかケンタの体は冷たくて、人間じゃないようにすら思えた。

もっとも、多分汗が引いただけだと思うけど。


「ありがとう。もう歩けるよ。」


「総ナノ~?ヨカッタ~★」


「!?!?」


いま、なんだか全然ちがう人だったような。

いや、でも眼の前にいるのは間違いなくケンタだ。

魔力もあんまり感じないし、見た目もケンタだ。

僕の気の所為だろう。

山を降りて暫く歩くと、ギルドが見えてきた。


「ボク、ここ知っテル~★」


「そりゃあ知ってるに決まってますよ。」


「あ~創ダッタ~ねッ!」


ケンタはやけに楽しそうに駆けていく。

よくあんな走ったのにまだ走る体力があるな。

そんなこと思っているとコケた。


「だ、大丈夫ですか?」


「ウウ…板ーイ!!」


怪我したのかと思って駆け寄るが、血は出ていないようだった。

あんなに走ったのだから疲れて当然だ。


「今日はつかれましたよね。ギルドでゆっくり休みましょう。」


「ウん。君はヤサシイー★」


ギルドの扉を開けると、いい香りが漂ってきた。


「あ、帰ってきた!おかえりなさい!」


彼女が調理場から顔を出して微笑む。

やっぱり彼女はかわいい。


「遅かったではないか。どこで道草を食っていたんだ。」


このパールという男はハルとは大違いだ。

悪い意味で。

それなのに実力はちゃんとあるのが少し癪に障る。

最初、彼と戦った時、意外と行けるかと思ったら全然そんなことはなかった。

見事に負かされた。

その洗練された戦い方には憧れを抱く。


「あ~ご半~?くれるの~★」


「ケンタさん、もう少しでできるので待っていてくださいね。」


「やッ他ー★ありがトう!」


「……何が合った?」


「いや、その、ケンタは僕を背負って降りてきたので、疲れてるみたいで…」


「ねえねえ、ナマぇ教えて~★」


「パールだ。私をあまり失望させないでくれ……」


パールは頭を抱える。

ケンタはキラキラと目を輝かせてパールを見ていた。

人は疲れるとこんな風になってしまうのか。

きっと半分は僕のせいだ。

そんなことを思っていると、料理を女神が運んできた。


「出来ましたよー。熱いので気を付けてください。」


「僕もいいんですか?」


「はい!ぜひ食べていってください。」


「いた打器マス~★」


みんなで食卓を囲む。

疲れた後の食事は体に染み渡る。

なんだかとても眠たくなってきた。

疲れがまだまだ残っているらしい。

あれだけの距離をケンタは毎日走っているそうだ。

あの弱さであれだけ頑張っているのは本当にすごいと思う。

僕だったらとっくに諦めている。


「それで、どうしてこんなにも遅くなったんだ?ケンタ殿がこんな風になってしまったのに心当たりはあるのか?」


そういえば、どうしてこんなに日が暮れるのが早いのだろう。

結構早めの時間にギルドを出たはずなのに、もどったときにはとっくに日が暮れて辺りは暗かった。

寝ている間にタイムスリップでもしたような気分だ。


「実は…」


僕は自分が疲れて倒れたこと、ケンタに助けてもらったことを話した。

当のケンタ本人は興味なさそうに食事に手を付けていた。


「ふふ。ケンタさんらしいです。」


「ン~おいシイ!ハルはスゴイ~根ッ★」


「ずいぶんつかれたようですから、今日はゆっくり休んでください。」


ケンタは4杯ほどおかわりしてソファーに寝転び睡眠し始めた。

パールは彼を二階へと連れて行く。

僕はと言うと、思ったよりも食べられなかった。

なんだか胃が縮んで食べたいのに食べられない感覚だ。


「僕は一度家に帰ります。また会いましょう。」


「夜道には気をつけて帰ってください!」


軽く見送ってもらい、僕は家へと向かった。

怒られるだろうか。

僕は恐る恐る家の戸を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ