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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第11話:砂漠の街マホロバ

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11-4:砂漠の宮殿

 再び怪鳥の尾を伝って、今度は地上に降りる。また砂の大地が靴裏にモコモコ伝わってくるよね。そして熱い。ももちゃんがダンスを踊るように、片足ずつ交互にピョンピョンしてる。


「さあ、行きましょうか。あそこから入れます」


 メイド長さんが先導してくれて、私たちは城壁の中へと向かう。ちなみに木の扉なども無く、普通に岩壁をアーチ形にくり抜いた箇所があるので、そこを通り抜ける感じ。ここら辺、王都の城壁とは造りが違うね。


「先に通った関で、狼藉者は弾くうえ、普段は蜃気楼で覆われて……そもそも辿り着けないからな」


 なるほど。ここまでに篩い落されてるってことか。ていうか、そもそもヤバい人はルッフが物理的に振るい落としそうだよね。

 そのルッフはまた飛び立ったところだった。ピストン運行、お疲れ様だね。


「……ちょっとすずしい」


 城壁の中は、日陰になってるからね。ただそんなに分厚い壁でもないので、すぐに街側へ出た。


「おお、ここが……」


「はい。砂漠の街マホロバです」


 上空から見た通り、背の低い土壁の建物が並び、その向こうに白くて丸いドームと尖塔が見える。


「さっきもおもったけどね」


「うん?」


「けーきのうえにのってるくりーむみたい」


「あはは、そうだね」


 モスク建築のドームはホイップクリームを搾ったみたいな形だ。

 食いしん坊さんらしい視点に、少しだけ笑ってしまう。


 私たちはそのまま市街を進む。市民の服装は、白いローブみたいなのを着ていたり、エメラルドグリーンのジャケットみたいなのを着ていたり。ターバンを巻いている人も多い。

 アラビアンナイトな衣装だね。これは……この街でも、衣装チェンジイベントがありそうな予感。


「ここら辺は住宅街ですね。中央のオアシスとそこを正方形に包囲する白い回廊が、この街の心臓です」


 ルッフの上から見た光景だね。まあやっぱり、あそこが地理的にも都市機能的にも中心になるか。

 私たちは一直線に、その中心地まで進む。すぐに白い建物群が見えてきた。オアシスを囲む四辺の1つ。上空から見たのと同じ……北の辺にある宮殿を除く3辺は渡り廊下で繋がる屋根付き回廊になっていた。


「まずはこの街の市長に挨拶をします」


「それから、蜃気楼の残滓を捕まえる許可を貰う形だな」


 なるほど。それでここまで来たんだね。


「ギルドなんかも、ここですか?」


「ああ。今回のクエストが終わったら、そこで達成報告をすると良い」


 アクアニルスの時と同じだね。王都からクエストで来て、その街で報告が出来るという親切設計。


 私たちは回廊に入る。屋根はあれど、吹き晒しの渡り廊下なので、どこからでも入れる感じだね。そして反対側はオアシスの湖面と接している。ももちゃんが走って行こうとするのを慌てて捕まえた。


「危ないよ。落ちるよ」


「ん~!」


 どうしても見たいらしい。仕方ないので、抱っこして慎重に近づく。


「わあ……」


 オアシスの外周と回廊の内周を隔てるように大理石の床タイルが敷かれ(豪華なプールサイドだ)、そこから数センチ下がったラインに湖面がある。

 そしてその湖面だけど……エメラルドグリーンの美しい色合いが、太陽の光を反射してキラキラと瞬いていた。


「きれいだね」


「キレイだね~」


 いつもとは逆で、私の方がももちゃんの言葉をマネする。

 私はももちゃんを床に下ろし、手を繋ぎ直す。彼女も景色に満足したのか、もう走り出したりはしなさそう。

 

「「……」」


 待っていてくれたご夫婦が、少し微笑んでから歩き出す。

 それから数分。回廊の先、北側の建物へと到着した。結構、廊下が長いのよ。


「ここで靴の砂を落としてください」


 回廊の端に椅子が置いてある。西側に向けられているのは、ここに座って砂をそっちに撒けってことね。椅子の背が少し高いので、ももちゃんは抱き上げて座らせる。

 

「お靴脱いで、砂を落としてください」


「はい」


 お利口さんなお返事。そういえば、ここに来るまでも、靴の中の不快感に文句言ったりしてなかったよね。砂場で遊ぶことも多いから、慣れてるんだろうな。むしろ私の方が久しぶりの感覚過ぎて参ってたかも。


 私たちは並んで座り、靴の中をキレイにした。

 そうして、宮殿の西扉の前へ。紺色ベースに金色の幾何学模様の入った豪華なデザインだった。回廊からの内扉でも、こんなにキレイな物を使ってるのは凄いね。

 中へと入ると、今度は赤い絨毯に出迎えられる。こちらにも幾何学模様が入っていた。ペルシャ絨毯みたいだね。ももちゃんはVRマットと同じだと喜んでたけど。

 内壁も外壁同様、白磁のように美しかった。鏡面みたいにピカピカに磨かれてる。


「おはな」


「そうだね、花瓶もあるね」


 廊下の左右には木製のフラワースタンドが等間隔で並び、その上に華美な装飾のついた花瓶が置かれている。

 

「おうさまのおじちゃんがいるところより、きれいかも」


「しっ」


 従者2人の前で、そういうこと言わないの。

 その2人は聞かなかったことにしたみたいで、黙々と進んで行く。ていうか回廊から中に入ったのにまだ廊下なんだよね。どんだけ広いの、この宮殿。

 とはいえ、流石にもう1分も歩いたところで、中央広間に出た。ダンスホールみたいに大きい。その奥には階段もあった。


「この上に市長は居ます」


 ももちゃんじゃないけど、本当に王城レベルだね。


「アポとかは要らないんですか?」


「ええ、流石にそこまでは」


「地位で言えば……いや、やめておこう」


 ……多分だけど、ショーフェンさんやメイド長さんの方が地位は上ってことだと思う。自分で言うのはいやらしいと気付いて、途中でやめたんだろうけど。

 階段を上っていく。流石に王城みたいに3階までは無いみたいで、すぐに広い部屋に出た。下と同じ造りだね。

 その最北に、執務机が置かれていて、そこで書き物をしている男性が居た。

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