表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第11話:砂漠の街マホロバ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/79

11-1:カルア姫、再び

 開花イベントを終え、王都へと足を踏み入れた。5回のクエスト分しか離れてなかったけど、なんか凄く久しぶりな気がする。


「あ、ゆうびんやさん」


 西から入ると、まずあの建物だよね。ちょっと懐かしい気持ちに浸りながら、更に進むと、目的地であるギルドへと辿り着いた。

 ていうか今更だけど、日が高いうちに馬車に乗って半日揺られたハズ(私たちはスキップだけど)なのに、普通に昼時分のような明るさなのは……まあいいか。親切設計ということで、気にしないでおこう。


 ギルドのドアを開け、中へと入ると、パールさんと目が合った。カウンターに肘をついて、掌の上にアゴを乗せている。暇そう。


「おや、アナタたちは」


「こんにちは」

「ちは」


「そうか、アクアニルスに行ってたんだっけか」


 よくイチ冒険者の動向を覚えてくれてるなと感心しかけたけど。さっきの暇そうな彼女の様子を思い出す。私たちしか居ない疑惑あるんだよね。もしかしてオンラインで他のプレイヤーも参入してたら、また様子が違うのかな。


「はい、今しがた戻って来たんです」


「みずのまち、すごくきれいだったよ」


 ももちゃんが嬉しそうに報告する。パールさんも目を細めて、


「そうだね。アクアニルス……次のバケーションは久しぶりに行ってみようかね。ポールにも会いたいしね」


 なんて言い出す。


「ポールさんと知り合いなんですか?」


「知り合いどころか、弟だよ」


「ええ!?」


 でもそうか。パールとポール。名前似てるなとは思ってたけど、姉弟だとは。顔はあんまり似てないし……髪型も。パールさんは至って普通の、肩口くらいに切り揃えた髪なのに、あの弟さんは何がどうなってリーゼントというキャラデザに至ったのか。


「っとと。お仕事だったね。今は1つだけクエストがあるよ」


 とのことなので、私も頭を切り替える。パールさんが指す掲示板を振り返った。うん、確かに1枚貼られてる。

 ももちゃんを抱き上げて、2人で内容を確認。




 ====================


 No.11(☆)


 <王家の秘宝を修理して>


 依頼者:王女カルア


 内容:インビジブルマントの修理


 報酬:9000G(+経費は王家負担)

    フラワーコイン2枚


 備考:王城に居るカルアに話を聞きに行こう


 ====================




 ありゃ。また街の外に出る依頼か。1つしか出てないって言ってたし……他の街のクエストが終わって王都に戻ったら、また次の街へっていう流れなのかも。

 取り敢えず、受ける以外の選択肢が無いので、剥がして持って行く。ハンコを押してもらって、早速クエスト開始だ。






 登城すると、中庭の奥で既にメイド長さんが待っていた。合流すると、折り目正しくお辞儀をされる。


「こんにちは」

「ちは」


「ご無沙汰しております」


 クエスト5回分ぶりだからね。

 メイド長さんは、そのまま城内へと案内してくれる。ああ、思い出した。3階まで階段地獄が続いてるんだった。

 当然の権利のように私の方へ手を伸ばしてくるももちゃん。仕方ないか。疲れすぎたら、平らな道すら歩くの拒否しだすからなあ。


「いよいしょ!」


 重い。腰で抱っこするけど、それでも重い。

 ノロノロした歩みでメイド長さんを追いかける。

 3階の謁見の間まで辿り着いた時には腕がパンパンです。毎度、この城は妹より私のカロリー消費が凄いよね。


「よく来たな。ももちゃん、幸奈」


「はい!」

 

 元気なお返事。アナタは疲れてないからね。


「今日は余ではなく、娘のカルアが依頼じゃ。会って行くと良い」


「あ、はい」


 というワケで、玉座から逸れて、右の部屋へと入らせてもらう。ちなみにメイド長さんは目で促すだけで、先導はしてくれなかった。何か意図があるのかな。


「こんにちは! かるちゃん!」


 私がノックする前に、ももちゃんが扉の前で挨拶する。カルアちゃんは一度会った相手だし、物怖じしてないね。


「な、なんですの!?」


 中から驚いた声が返ってくる。まあ、王女様に向かってこういうことする人は城内には居ないだろうからね。

 私は急ぎ、名前を名乗って来訪の意図を伝えた。入室の許可が下りたので、入らせてもらう。


「お久しぶりです、カルア姫」

「ぶり!」


 ももちゃん、それは語感が汚いからやめて。「ちは」も本当は褒められた挨拶じゃないんだけどね。


「よくきましたわ。しかし、ももちゃんはおてんばさんですわね」


 国宝まで持ち出して料理を盗み食いしてた人が言えた義理じゃないと思うけどね。


「きんしん、おわった?」


「うぐ」


 煽ってるワケじゃないんだろうけど。


「お、おわりましたわ! りっぱにつとめあげましたもの」


 一応、アレからは問題は起こしてないみたいだね。

 ちびっ子2人のやり取りを、もう少し見ていたい気もするけど。ご飯前の隙間時間でプレイしてるからね。サクサク進めさせてもらおう。


「それで。今日はクエストのお話で来たんですけど」


「そうでしたわ。インビジブルマントが、おかしくなってしまったのです」


 聞けば、羽織っても姿が消えなくなってしまったとのこと。不調なのか、故障なのか。修理という話だったし、いずれにせよ直せるのは間違いないとは思うんだけど。


「どうも、らんよー? というのが、げんいんのようですわ」


 乱用した張本人が全然分かってなくて、おバカ可愛い。


「そうなんですね。それで、どうやったらマントは直るんでしょうか?」


「マホロバのまちで、しんきろうをつかまえるのです。そのあとは……」


「その後は?」


「……わすれましたわ!」


 そんな堂々と。ていうか、自分で調べたりしたワケじゃないっぽいね。

 と、そこで。背後に人の気配がする。振り返ると、メイド長さんが居た。


「まあ及第ということで、良いでしょう」


「なしとげましたわ」


 なるほど。ケジメとして、カルアちゃんに自分の口でクエストの説明をさせる。大方、そんな意図だったんだろうね。この部屋まで先導してくれなかったのも、そのためだ。

 ちなみに成し遂げてはないけどね。及第ということなら、ここからメイド長さんの補足が入るんだろうし。


「蜃気楼を捕まえた後は、それをマントに揉み込むのです」


 やっぱり説明を引き継いでくれたメイド長さん。

 しかし、雲を掴むような話だね。蜃気楼だけど。


「まほろばって、れっがんのおじちゃんが」


「うん。よく覚えてたね、ももちゃん」


 そっと頭を撫でる。


「けど確か、年に一度しか蜃気楼が晴れないとか」


「はい。それがちょうど、今日から2週間となります」


 わあ……凄く都合良く周期が来るなあ。まあゲームだから、そこツッコむのは野暮だけど。


「ですので、お2人には私と一緒にマホロバの街まで行っていただきます」


 なるほど。まあ妥当だね。信用上、私たちだけで王家の宝を持って行くワケにはいかないし。さりとて王族が行くとなれば大事だ。ぶっちゃけ、王妃様あたりはお暇そうだから、物理的には行けないことも無いんだろうけど。

 とにかく、まあ。


「また、ばしゃ?」


 ということになりそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ