第90話:私の出した結論
お父様と一緒に、馬車を降りた。
「ソフィーナ!」
この声は!
「ファラオ様…」
真っすぐ私の方にやって来たファラオ様に、そのまま抱きしめられた。久しぶりに会うファラオ様。随分とお窶れになっている。
「ファラオ様、ご心配をおかけしてごめんなさい。今日は大切な話があって、この場所にやってきました」
真っすぐファラオ様を見つめた。
「ソフィーナ?嫌だよ…君がこのタイミングで来たという事は、僕を捨ててあの男と一緒に国を出るつもりなのかい?頼む、僕を捨てないでくれ」
必死にすがるファラオ様を見たら、胸が張り裂けそうになる。
「ファラオ殿下、落ち着いて下さい。まずは娘の話を聞いてやってくださいませんか?」
すかさずお父様が、私とファラオ様の間に入って来たのだ。
「公爵、邪魔をしないでくれ。その大荷物は一体何だい?ソフィーナの荷物なのではないのかい?」
「父上、どうしてあなた様が、こちらにいらっしゃるのですか?それにこの荷物は一体どういうことですか?まさか父上は、ソフィーナをアラバシア王国に行かせるつもりではないですよね?」
「ファラオ殿下もソリティオも、落ち着いてくれ。とにかく、ソフィーナの話を聞いてやってくれ」
必死にお父様が訴えている。
お父様とファラオ様、お兄様が言い合いをしている隙に、私はアラン殿下の元に向かった。
「アラン殿下、先日はお見舞いに来ていただき、ありがとうございました。私なりにこの10日間、色々と考えました。その結果…
申し訳ございませんが、あなた様と一緒にアラバシア王国に行く事は出来ません。私はファラオ様を愛しておりますので。それから、あなた様が行った行為は、我が国に対する冒涜です。その件で、私は改めてアラバシア王国に抗議をいたします!」
真っすぐアラン殿下を見つめ、はっきりとそう告げたのだ。
「ソフィーナ嬢、それは一体どういう…」
「ソフィーナ!本当かい?本当に僕を、今でも愛してくれているのかい?よかった…それなら、どうして僕に会ってくれたのかったのだい?君に会えなくて、本当に寂しくて辛くて、これからどうやって生きていけばいいのか分からなくなって…生きる希望すら失いかけていたのだよ。
でも、よかった。ソフィーナが僕の傍にいると言ってくれて」
困惑するアラン殿下を他所に、私に抱き着き、涙を流すファラオ様。彼には随分と辛い思いをさせてしまった。本当に申し訳ない。
「ファラオ様、本当にごめんなさい。ですが、こうするしかなかったのです…アラン殿下とアイリ殿下の罪を暴き出すためにも、私がアラン殿下の罠に引っかかるふりをする必要があって…」
「ソフィーナ、それは一体どういうことだい?父上、あなた様は何が起こっていたのか、知っていたのですか?」
「ああ、知っていた。というよりも、ずっとソフィーナから相談を受けていてね。私が裏で動いていたのだよ。詳しくはソフィーナから話した方がいいかい?」
「ええ、私からお話しさせていただきますわ。アラン殿下、あなたはあの日、私に1通の手紙を送って来ましたね。この写真と一緒に」
あの時の写真を、改めて皆に見せた。
「何だこの写真は!ファラオ、お前、ソフィーナがいながら、アイリ殿下と体の関係を持っていただなんて!」
「ちょっと待ってくれ。これは何かの誤解だ。僕はプライベートで、アイリ殿下と会った事なんてないよ」
「ファラオ様の言う通りですわ。この写真は、加工された偽物です。よくみてください、ファラオ様の右の首には、大きなほくろが3つ並んでいます。この写真には、そのほくろがありません。
それに何よりも、彼がそんな事をするはずはありませんわ。これはアラン殿下とアイリ殿下が、私とファラオ様を別れさせるために仕掛けた罠なのです」




