第84話:アラン殿下に会いました
「お嬢様、お休みになっているのですか?そろそろ夕食のお時間です。どうかお部屋から出て来てください」
「…ごめんなさい。ちょっと体調が悪いの。食欲がないから、今日はこのまま休むことにするわ」
正直写真が衝撃すぎて、思考が追い付かない。
何よりも、ファラオ様があんな事をするなんて、どうしても考えられない。でも、実際証拠の写真もある。私は一体、何を信じればいいのだろう…
はぁ~
ついため息が出てしまう。もしこの写真と同じように、ファラオ様とアイリ殿下が本当に体の関係を持っていたら、申し訳ないが私は受け入れられない。もしこの写真が本当なら、私はとてもではないが、ファラオ様とは婚約何て出来ない。
でも…
“ソフィーナ、愛しているよ。これからもずっと一緒だ”
脳裏に浮かぶのは、優しい眼差しを浮かべたファラオ様の姿だ。やっぱり私は、ファラオ様を愛している。でもそれ以上に、もし裏切られていたら…
そう考えると、胸が張り裂けそうになる。どうしてこんな事になってしまったのだろう。
私はこれから、どうしたらいいの?
自分でもどうしていいか分からない。でも、このまま悶々とした気持ちを抱えている訳にはいかない。
ペンと紙を取り出し、アラン殿下に手紙の返事を書いた。
彼の話を聞きたいから、一度会いたいと。きっと私が内緒でアラン殿下に会うことを、ファラオ様が知ったら怒られるだろう。
でも…
もしこの写真が本物なら、それ以上の事を自分もしたのだ。それに何よりも、私は真実を知りたいのだ。その為にも、一度アラン殿下に会わないと。
翌日
「お嬢様、体調は大丈夫ですか?昨日から何も召し上がっていらっしゃらないでしょう?果物をお持ちいたしました。どうか何か召し上がってください」
「ありがとう、でも今は食欲がないの。それから、もし誰かが訪ねて来ても、今は誰にも会いたくはないの。たとえファラオ様でも、今は帰ってもらって」
私の言葉を聞き、驚いたように大きく目を見開いた使用人たち。でも、すぐに正気に戻り
「承知いたしました。お嬢様のおっしゃるようにいたします」
「それから、あるものを準備して欲しいの。至急準備してくれるかしら?」
準備して欲しい物のメモを、彼女たちに渡す。
「承知いたしました、今日中には準備いたします」
そう言って部屋から出て行った使用人たち。早速この日、アラン殿下から手紙が帰ってきた。明日伺うとの事。
正直アラン殿下に会うのは怖い。でも…逃げる訳にはいかないのだ。
そして翌日、アラン殿下が訪ねていらした。
「アラン殿下、ようこそいらっしゃいました。申し訳ございません、本来なら私が向かわないといけないのに。我が家に足を運んでいただいて…」
「ソフィーナ嬢、なんて事だ。怪我をしたとは聞いていたが、こんなに酷かっただなんて。大丈夫かい?痛みはあるのかい?」
「見た目は確かに酷いのですが、すぐに治療を受けましたので、そこまで酷くはないのです。後1週間ちょっとで完治いたしますわ。アラン殿下にもご心配をおかけしてしまい、申し訳ございません。それよりも、写真の件ですが…」
「ああ、そうだよね。それが一番気になるだろう。すまない、君には内緒にしておいた方がよいかと思ったのだが。ただ、心優しくて純粋なソフィーナ嬢を騙している妹とファラオ殿下の事が、どうしても許せなくて」
拳を強く握りしめ、俯いてしまったアラン殿下。
「アラン殿下が謝る必要はありませんわ。ですがこの写真は、どうやって撮ったのですか?」
「あれはアイリの専属使用人に指示して、撮らせたものだ。この国に来てから、アイリが夜中、こっそり部屋から抜け出し、どこかに行っている事に気が付いてね。それで後を付けて行ったら、ファラオ殿下の部屋に入っていくではないか。それで、気になって」
「なるほど、ファラオ様のお部屋を、どうしてアイリ殿下は知っていたのかしら?」
「実はソフィーナ嬢が帰った後、改めてファラオ殿下の部屋を案内してもらったのだよ。とはいえ、部屋の中は見ていないけれど。それで知ったのだろう」
「そうだったのですね…」




