第77話:お久しぶりのソラ様
「お嬢様、ソラ嬢が客間でお待ちです」
「分かったわ、すぐに行くわね」
急いで客間へと急ぐ。
「ソラ様、お待たせして申し訳ございません」
「ソフィーナ様、急に押しかけてしまい、申し訳ございません。今アラバシア王国から殿下たちがいらしていて、非常にお忙しい時期なのに」
「その様な事は、お気になさらなくてもよいのです。私とソラ様は、お友達なのですから。最後にお会いしたのは、ソラ様の婚約披露パーティの時でしたわね。なんだか随分会っていない気がしますわ」
3週間会わないなんて、ごく当たり前のこと。むしろ数ヶ月会えない事も珍しくないのだが。この3週間が濃すぎたせいか、もう何年もソラ様に会っていない気がするのだ。
「それだけソフィーナ様も、お忙しいという事でしょう。そうそう、これ、疲労回復に効くというお茶ですの。隣国に住むルドルフ様のご友人が、贈って下さったのです。味もとても飲みやすいので、ぜひ飲んで欲しくて」
「まあ、そんな貴重なお茶を、私が頂いてもよいのですか?ありがとうございます。早速頂きますわ」
近くに控えていた使用人に、すぐにお茶を入れてもらった。
「このお茶、甘みがあってとても美味しいですわ。それに何だか、頭がすっきりしてきましたし」
「それはようございましたわ。ルドルフ様のご友人が住んでいる国は、お茶の生産が非常に盛んなのですって。我が国との取引も考えていて、近々ルドルフ様がファラオ殿下にお話しに行く予定でいるのです。
もちろん、アラバシア王国の王族の方たちが帰国して、ひと段落がついたらですが」
「まあ、そうなのですね。それでしたら私の方から、ファラオ様に話しをしておきますわ」
「ありがとうございます。さすがソフィーナ様ですわ。そうそう、その国は、アラバシア王国とも取引がある様で。その件で、どうしてもソフィーナ様の耳に入れておきたい事がございましたので、今日無理を言ってお時間を作って頂きましたの」
私の耳に入れておきたい事?一体どんな事かしら?もしかして、よくない話?
「そんなに不安そうなお顔をなさらなくても、大丈夫ですわ。ただ、少し気になったもので…あくまでも噂の域ではあるのですが…」
そう言うと、ソラ様がぽつりぽつりと話し出したのだ。
「えっ?それって…」
「確証はありませんが…ただ、ルドルフ様のご友人は、かなりの高貴な身分の様で…とはいえ、我が国にはあまり関係のない話かもしれませんね。ですので、どうかあまり気になさらない様にしてくださいね」
「ええ…確かに我が国にはあまり関係なさそうですが…それでもソラ様は、何か引っかかる点があるから私に教えて下さったのですよね。ありがとうございます、ソラ様。私も念のため、気を付けますわ」
「そう言って頂けると嬉しいですわ。とはいえ、我が国では絶対にありえない事と分かっているのですよ。ただ、なんだか胸騒ぎがして…」
「ソラ様のご忠告、胸に刻みましたので、どうかご安心を。せっかくソラ様が来てくださったのです。ルドルフ様との仲はどうですか?何やら貴族世界では、2人の純愛が今、話題になっていると聞きました」
「まあ、嫌だわ、恥ずかしい!そうなんです、なぜか社交界で話題になっていて…私たち、そんな話題になるほどの恋愛をしていた訳ではないのに。それに元をただせばファラオ殿下のお陰で、私たちは心が通じ合ったようなものなのです。
だからこそ、私もルドルフ様も、ファラオ殿下とソフィーナ様のお役に立ちたくて」
「もう十分色々として頂いておりますわ。私もお陰様で、ファラオ様と結ばれましたし。ソラ様のアドバイスのお陰で、自分の気持ちに気が付けたのです。ソラ様にはとても感謝をしておりますわ」
「そんな風に言って頂けると、私も嬉しいですわ」
そう言って笑ったソラ様。彼女の存在が、とても心強い。初めて出来た私の大切な友人。
その後もソラ様と、話しに花を咲かせたのだった。




