第64話:ソラ様の婚約披露パーティに参加します
「準備が完了しましたよ。今日のお嬢様はまた、一段とお美しいですわ。この真っ赤なドレスが、またお嬢様のお美しさを引き立たせております」
「皆、ありがとう。あなた達のお陰で、とても素敵に仕上がったわ」
鏡に映る自分の姿を見つめた。今日は待ちに待った、ソラ様とルドルフ様の婚約披露パーティだ。
正直ファラオ様からドレスを頂いた時、私に真っ赤なドレスが似合うのか心配だった。それでも赤はファラオ様の瞳の色だ。たとえあまり似合わなくても、着ていきたいと思っていた。
でも、思った以上によく似合っている。きっと私に合ったデザインにしてくれたからだろう。さすがファラオ様だ。
「お嬢様、ファラオ殿下がお見えになられております」
「まあ、もうそんな時間なのね。それじゃあ、行ってくるわ」
部屋から出て玄関へと向かうと、そこには紫色のスーツに身を包んだファラオ様の姿が。
「ソフィーナ、そのドレス、とてもよく似合っているよ。なんだかいつもより、大人っぽく見えるな」
「お迎えありがとうございます。私もこのドレス、とても気に入っておりますの。素敵なドレスを贈って下さり、ありがとうございます」
「僕の方こそ、僕が準備したドレスを着てくれてありがとう。それじゃあ行こうか」
ファラオ様にエスコートしてもらい、馬車乗り込んだ。
「いいかい?まだ多くの貴族たちが、僕たちがいずれ婚約を結ぶことを知らない。もしかしたら、君をダンスに誘う不届き者がいるかもしれないから、絶対に僕から離れてはいけないよ。いいね、分かったね」
「ええ、分かっておりますわ。ですが、ダンスくらい踊っても…」
「いいや!ダメだ。そもそも君のファーストダンスだって、僕が踊りたかったのに、ソリティオに奪われただけでなく、アレックやセシルにも奪われて!僕はあの時の悔しさを、未だに忘れたことはないよ!今日はずっと僕とダンスを踊ってね」
「…ええ、分かりましたわ」
心が通じ合ってから、なんだかファラオ様の独占欲がアップしている様な気がするのは、気のせいだろうか。それでも私の事をそれだけ大切に思ってくれているのだろう、そう思うとなんだか嬉しい。
本来我が国では、たとえ結婚していても異性とダンスを踊る事は良しとされている。でも、ファラオ様はどうしても嫌な様だ。そんなところも可愛らしい。
会場に着くと、2人で仲良く入場する。一斉に皆がこちらを見ている。そういえばファラオ様のお誕生日パーティの時も、こうやって注目されたわね。
“ソフィーナ、皆僕たちを見ているよ。ここで仲睦まじい姿を見せておけば、勝手に僕たちが近々婚約を結ぶと噂が流れて、あえて君に近づく者はきっといなくなる”
嬉しそうにファラオ様が呟いている。
「もう、ファラオ様ったら。それよりも、今日の主役でもある2人に挨拶に行きましょう」
そう、今日はソラ様の幸せそうな顔を拝むのが、最大の目的なのだ。早速ソラ様とルドルフ様の元へと向かった。
「ソラ様、ルドルフ様、本日はおめでとうございます。ソラ様のドレス、とても素敵ですわ。ルドルフ様の瞳をイメージされたのですね」
「ソフィーナ様!それに王太子殿下も、今日はお忙しい中お足を運んでくださり、ありがとうございます」
「王太子殿下、ソフィーナ嬢、本日はありがとうございます。それから…殿下のお陰で、ソラと婚約を結ぶことが出来ました。殿下にはなんとお礼を言ってよいのか…」
ルドルフ様が、ファラオ様に深々と頭を下げたのだ。
「お礼を言う必要はないよ。君たちは元々愛し合っていたのだから、遅かれ早かれ結ばれる運命だったんだ。皆様、彼らは幼い時から愛し合っていたのです。ソラ嬢は僕のせいで辛い思いもしましたが、こうして無事結ばれた2人に、盛大な拍手を」
ファラオ様が大きな声で、来賓の方たちに語り掛けた。その瞬間、大きな拍手が沸き上がった。
さらに
“あの噂は本当だったのですね。ソラ様とルドルフ様の愛の物語は”
“殿下の婚約者候補に選ばれてからも、ずっとルドルフ様を思い続けたと聞きましたわ。殿下もそんなソラ様の気持ちを知って、全力で応援したとも。本当に素敵ですわね”
“殿下の婚約披露パーティでソラ様はルドルフ様の瞳の色を、殿下はソフィーナ様の瞳の色の衣装を着ていたと聞きましたわ。まさかあの時の衣装に、そんな演出があっただなんて。なんだかロマンティックですわ”
どこからともなく、声が聞こえる。2人の純愛が今、話題になっていると聞いたことがあったが、どうやら本当の様だ。
なにはともあれ、皆が祝福してくださってよかったわ。




