第55話:ソラ様からのアドバイス
「ソラ様、お待たせして申し訳ございません」
急いでソラ様の待つ客間へとやって来た。いつもの様に笑顔のソラ様。相変わらず美しい。
「私の事は気にしないで下さい。それよりも、よろしかったのですか?王宮の馬車が停まっておりましたが」
王宮の馬車…ファラオ様…
さっきの事を思い出し、一気に顔が赤くなる。私ったら、一体どうしたのかしら?こんなところで顔を赤くしたら、きっとソラ様が不思議に思うわ。
「あら?ソフィーナ様のお顔、とても赤いようですが。もしかして殿下と、何かありましたか?私でよければ、話しを聞きますよ」
「どうしてその事を?まさかソラ様、私とファラオ様のやり取りを見ていらしたのですか?」
やだわ、恥ずかしい。あのような姿を、ソラ様に見られていただなんて。恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
「いえ、私は殿下の姿をお見掛けしておりませんわ。ただ、ソフィーナ様の様子から、何かあったのでは推測したのです」
「さすがソラ様ですわ。実は…」
今日あった事を、ソラ様に話した。
「拒むことも出来たのに、なぜか胸がドキドキして、どうしても拒めなくて。私、どうしてしまったのかしら?本当に自分が自分ではない様で」
思い出しただけでも恥ずかしくて、顔が赤くなる。
「それは完全に、殿下に恋をしていますね。分かりますわ、私もルドルフ様に見つめられると、胸がドキドキしますもの。会えない日は、ルドルフ様の事ばかり考えてしまって。あぁ、次はいつルドルフ様に会えるのかしら?そんな事ばかり考えてしまいますわ」
「ソラ様ったら。相変わらずルドルフ様の事を、溺愛していらっしゃるのですね」
「それはもう…て、私の話は、今はどうでもよいのです。ソフィーナ様、きっとあなた様、殿下に恋をしているのですわ!」
「恋ですか?私、よくわからなくて…」
「ソフィーナ様は、ご自分のお気持ちに鈍いところがございますものね。殿下に会えないと寂しいとか、早く会いたいとかいう気持ちがわきませんか?」
「そうですね…ここ1ヶ月、毎日ファラオ様に会っていますし」
毎日朝から晩まで一緒にいる事も珍しくはない。その為、会えなくて寂しいと思った事は今のところない。
「会いすぎて、殿下に対する気持ちが分からないのですね。それでは、しばらく殿下とは距離を置いてみたらいかがですか?それで殿下の事を考えたり、会いたいという気持ちが芽生えたら、それはきっと殿下に恋をしているという事ですわ」
「なるほど。分かりましたわ。私、少しファラオ様と距離を置いてみますわ。ですが、王宮には私が大切にしているお花たちが。猫のスカイのお世話もしたいですし…」
「その様な事は、しばらく使用人に頼めばよいのです。とにかくしばらく、殿下とは距離を置いてみるべきですわ。そもそもソフィーナ様は、殿下以外の人との結婚は考えていないのでしょう?それとも、アレック様やセシル様との結婚も、視野に入れていらっしゃるのですか?」
「アレック様やセシル様には、とてもよくして頂いておりますが。どちらかというと、兄の様な存在でして。彼らと結婚は、あまり考えておりませんわ」
「そうなのですね。殿下への気持ちが確認できたら、彼らにもソフィーナ様のお気持ちを伝えるとよろしいですわ。彼らもソフィーナ様との結婚を、意識していらっしゃるでしょうし」
確かに彼らは公爵令息。公爵令嬢の私との結婚を、意識してもおかしくはない。それに、色々とよくしてくれている。自分の気持ちがはっきりしたら、彼らにも改めて私の気持ちを伝えるべきだろう。
「ソラ様、色々とアドバイスを下さり、ありがとうございます。もうすぐ婚約披露パーティもあり、お忙しいのに」
「準備は使用人や両親たちが進めておりますので、実は私はそんなに忙しくないのですよ。ですから、気にしないで下さい」
そう言って笑顔を見せてくれたソラ様。その後もソラ様と、おしゃべりに花を咲かせたのだった。




