第36話:久しぶりに殿下とご対面です
「それじゃあ私は、公務があるからここで。もし早く帰る場合は、先に帰ってもいいからね」
「ええ、分かりましたわ。お父様もお仕事頑張ってください」
どうやらお父様とは、別行動の様だ。まあ、別に行けれど。
「ソフィーナ様、殿下がお待ちです。どうぞこちらへ」
お父様と別れた後、使用人に連れられ、別室へと連れてこられた。そう、いつも殿下とお会いするのは、この部屋だ。まだどうしようもなかったころの私は、よく王宮に押しかけていた。
我が儘でどうしようもない私に、付き合ってくれた殿下。きっとものすごく嫌だっただろう。考えただけで、申し訳なくて頭が痛くなってくる。
今日は殿下の要望を、しっかり聞き入れよう。それにソラ様の件も、お礼を言わないとね。
使用人がドアを開けてくれたので、ゆっくりと部屋に入っていく。そこには、いつも通り穏やかな表情を浮かべた殿下の姿が。
「お久しぶりです、殿下」
令嬢らしく、カーテシーを決める。
「ソフィーナ嬢、急に呼び出してすまなかったね。さあ、こっちに座ってくれ」
「はい、失礼いたします」
殿下の前の席に座った。すぐにお茶とお菓子を準備してくれる使用人たち。
「ありがとう、このお茶、とても美味しいのよね。あなた達にも今まで酷い態度をとって、ごめんなさいね」
王宮使用人たちも、私は散々酷い態度をとって来たのだ。この際なので、彼女たちにも謝罪をした。
「ソフィーナ嬢は、本当に変わったのだね。使用人たちにまで謝罪をするだなんて…」
「私が今まで行って来たことを考えると、当然ですわ。何の罪もない彼女たちに、私は酷い事をしてきましたので…殿下にも、本当にご迷惑をおかけしましたわ。思い出しても恥ずかしい限りです。
それからソラ様の件、ありがとうございました。ソラ様とルドルフ様の件、聞きましたわ。殿下が尽力を尽くしてくださったと」
「どうして君がお礼をいうのだい?ソラ嬢とルドルフ殿の件は、君には関係のない事だろう?」
「ソラ様は、私の大切なお友達ですので。それに、私がどうしようもない人間だったせいで、ソラ様は好きな人がいらっしゃるのに、殿下のエスコート役を引き受ける事になったのでしょう?実質私のせいで、ソラ様とルドルフ様を引き裂く形になってしまったので」
「ソフィーナ嬢のせいではないよ。僕がいけなかったんだ。僕がもっと君の事を…いいや、何でもない。それにしても、こうやってソフィーナ嬢と目を見て話しをしたのは初めてだね。なんだか不思議な感じがするよ」
「以前までの私は、人の話を全く聞けない人間でしたものね。本当にクズ過ぎて、自分が嫌になりますわ。だからこそ今日は、殿下の力になれたらと考えております。散々迷惑をかけた分、どうか私に罪滅ぼしをさせて下さいませんか?」
「罪滅ぼしかい?」
「はい、そうです。あなた様には散々ご迷惑をかけてきました。ですからこれからは、殿下の力になろうと考えております。もちろん、私にできる範囲でですが。ですので、私にできる事があれば、遠慮なく申し付けて下さい」
きっと今、高貴な身分の貴族たちは、私と殿下を婚約させようとしているのだろう。でもきっと、殿下はそれがいやで、私を呼び出したはず。だから私も殿下との婚約を回避するために、全力をつくそうと思っているのだ。
もしかしたら殿下は、他に思い人がいるのかもしれない。その令嬢が殿下の婚約者になれるように、私は全力でバックアップするつもりだ。もちろんお父様やお兄様にも、その令嬢のバックアップを頼むつもりでいる。我が家はこれでも貴族界で一目置かれている大貴族。我が家がその令嬢を推せばきっと、殿下との婚約もスムーズに行くはずだ。
今まで散々迷惑をかけた殿下には、ぜひ幸せになって欲しい。




