第13話:心が少し軽くなりました
私も入口の方を向いた。するとゆっくりと扉が開いたかと思うと、ファラオ殿下とソラ様が腕を組んで入場してきたのだ。
その瞬間、大きな拍手が沸き上がる。
「お兄様、見て下さい。ファラオ殿下とソラ様、とってもお似合いですわ。ソラ様のドレス、殿下の髪の色に合わせて黒色にしたのね。それに殿下のタキシードも、ソラ様の瞳の色に合わせて紫色です。とても素敵ですわ」
お互いの色の服を着るだなんて。なんて素敵なのかしら。
「確かによく似合っているね。ファラオの誕生日にお互いの色の衣装をチョイスするだなんて。だが、どうしてソラ嬢はファラオの髪の色にしたのかな?まあ、そんな事はどうでもいいか。きっと近々、2人の婚約が発表されるだろうね」
「そうでしょうね。我が国では、異性の瞳の色の衣装を着るという事は、相手の事を思っているという事になりますものね。きっと髪の色でも問題ないのでしょう。近々婚約を結ぶという、周りへの意思表示ですものね」
お2人には散々迷惑をかけてしまったから、全力で祝福させて頂かないと!
でも、許してくださるかしら?特にファラオ殿下にはしつこく付きまとって、嫌な思いを沢山させてしまった。もしかしたら、もう二度と私の顔なんて見たくないと言われるかもしれない。
まあ、そう言われたらファラオ殿下の意思に従うまでだ。
「お兄様、私たちも挨拶と謝罪に向かいましょう。特にファラオ殿下には、散々迷惑をかけたので」
「そうだね、さっさと謝罪して、後はのんびり過ごそうか。それじゃあ、行こう」
お兄様と一緒に、ファラオ殿下とソラ様の元へと向かう。
「ファラオ、お誕生日おめでとう」
「…ソリティオ、それに…」
何とも言えない顔をしているファラオ殿下。
「ファラオ殿下、この度はお誕生日おめでとうございます。それから、今まで散々ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした。ソラ様も、本当にごめんなさい。謝って許される事ではないと分かっておりますが、どうか謝罪をさせて下さい」
お2人に向かって、深々と頭を下げた。
「ファラオ、ソラ嬢、今までソフィーナが沢山迷惑をかけて、すまなかった。実は3ヶ月前に事故に遭ってから、性格が180度変わったんだよ。それで、過去の自分の過ちを深く反省し、今日君たちにどうしても謝罪したいとソフィーナが言い出して。ソフィーナが本当に今まですまなかった」
お兄様も私と一緒に、頭を下げてくれたのだ。今日はずっとお兄様にも、頭を下げさせている。本当に兄不幸な妹だ。
「ソリティオ、それにソフィーナ嬢、どうか頭を上げてくれ。正直状況が呑み込めずに混乱しているが…その…ソフィーナ嬢が今までの事を深く反省している事は理解したよ。それから、謝罪も受け入れるから」
「まあ、それは本当ですか?あんなにも酷い事をした私をお許しくださるだなんて。ありがとうございます、殿下!」
一番迷惑をかけたであろう殿下が、私を許してくださるだなんて!なんてお優しいのかしら?嬉しくてまた手を握ってしまった。
「ごめんなさい、また私、手を握ってしまいましたわ…ファラオ殿下には、愛するソラ様がいらっしゃるというのに。ソラ様、申し訳ございません。もう二度と、殿下には触れませんから。お2人、とてもお似合いですわ。私、お2人を全力で祝福しますね」
にっこり笑って、2人にそう告げた。
「…ありがとうございます、ソフィーナ様。私もあなた様の謝罪を受け入れますわ。それにしても、随分と雰囲気が変わりましたね。こんな事を申し上げてもいいのか分かりませんが、とてもお可愛らしい雰囲気になられました」
「まあ、あんなにも酷い事をした私を許してくださるだけでなく、そんな嬉しい事を言って下さるのですか?ソラ様の方が、私なんかよりも何百倍、いえ、何億倍もお可愛らしいですわ。あなた様こそ、次期王妃にふさわしい方です」
「ソフィーナ様ったら…」
なぜか困り顔のソラ様。私、おかしなことを言ったかしら?
「ソフィーナ嬢、何か勘違いをしている様だから言っておくが、僕とソラ嬢は…」
「ソフィーナ、2人も許してくれたみたいだし、俺たちはもうこの辺にしておこう。2人もきっと、他の来客に挨拶をして回らないといけないだろうし」
「そうですわね。それでは私共はこれで失礼いたしますわ」
「あっ…待って…」
殿下が何か言いかけていたが、お兄様が私の手を握るとスタスタと歩き始めたのだ。




