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[完結]【呪い系サイコホラー】こはるちゃん、いっしょに。  作者: てっぺーさま
最終章 堕ちていく

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恭弥とマコ

【闇堕ち少女、怨霊と化す!】


憎悪の炎は死んでも消えない!

呪い系バッドエンドサイコホラー。

 恭弥はマコとともに、シャッターの降りたドラッグストアの前に立っていた。

 深夜0時を大きく過ぎていたが、歓楽街はいまだ多くの人通りがあり、酔客の顔も目立つ。

 視線の先には、古びた雑居ビルがあった。そこには風俗店やコンカフェが入っている。ビルの前には、十代後半くらいのコンカフェ嬢が、手持ち看板を持って退屈そうに立っている。

 やがて、ビルから本田奈央が姿を現した。

「出てきた」

 恭弥は本田奈央を注視した。およそ半年ぶりに見る彼女の姿は、すっかり変わり果てていた。かつての快活さは消え失せ、近寄りがたい空気を漂わせている。大きく肩を落として危うい足取りで歩く姿は、まるで魂の抜けた廃人のようだ。

 しだいに遠ざかっていく本田奈央の背中を、恭弥は無言のまま見送った。

 マコが少し寂しげに口を開いた。

「ねえ、恭弥君。正直な感想、言ってもいい?」

「いいよ」

「あそこまで落ちぶれると、ちょっと同情しちゃうかも……」

「わかるよ、その気持ち。いくら憎んでた相手とはいえ、あれ見ちゃうと少しは同情するよね」

 それは正直な気持ちだった。腹を空かせた野良猫や野良犬に抱く感情に似ているかもしれない。だが、恭弥はすぐに言葉を継いだ。

「でも、仕方ないよ。あの女は一線を越えたんだから」

「だよね……」

 マコが小さなため息を漏らす。

 恭弥は続けた。

「前に、あの女が姉ちゃんの墓参りに行ったじゃん?」

「うん」

「あのとき、あの女はまったく反省してなかった。謝罪のための墓参りなのに、花一つ持ってこなかった。もし、あのとき少しでも悔やんでる様子が伝わってきたら、ぼくはここまで追い込まなかったかもしれない」

「そっか……」

 すでに本田奈央の姿は恭弥の視界から消えていた。おそらく、今日で見納めだ。今後、彼女がどうなろうが関係ない。あの様子では堕ちていくだけの人生が予想されるが、たとえ状況が好転したとしても、それはそれで構わない。彼女はもう充分に、卑劣な行為に対する対価を支払ったと考えられるからだ。

 恭弥は今回の件を総括するように口を開いた。

「平気で人を傷つけられる人って、想像力が欠けてるんだ。自分が同じことをされたらどう思うか考えられないから、感情のままに平気で人を傷つけられる。姉ちゃんの件も、そんな想像力の欠如がもたらした悲劇だったんだと思う」

「そうかもしれないね……」

 マコが寂しげにうなずいた。

 酔客の集団が二人の前を通り過ぎていった。

「恭弥君、これで気が済んだ?」

「ああ、充分だ」

「よかった」

 マコが少しほっとしたように微笑む。

「姉ちゃんも、きっと喜んでるんじゃないかな」

「だといいね」

「これで復讐は終わり」

 その瞬間、柔らかな風が正面から吹き抜けた。顔の産毛をそっとなでるような、くすぐったい感触を覚え、急に背中がふわっと軽くなった。まるで、憑き物が落ちたかのような感覚だ。

 マコが不思議そうな顔をする。

「恭弥君、今急に表情が明るくなったね」

「そう?」

「うん、なんかいきなり変わったよ」

 恭弥は曖昧に笑い、代わりにこう言った。

「お腹空いたね。マコ、なんか食べて帰ろう」

「うん、そうしよ!」

 恭弥は歩き出すなりマコの手を取った。すると、彼女が驚いたように顔を向けてきた。互いに手を握るのは初めてだったからだ。だが、すぐに彼女は力強く握り返してきて、うれしそうに身を寄せてきた。寒空の下、彼女の体温が心地よかった。

「ラーメンでいい?」

「いいよ♪」

 新たなスタートを切るかのように、恭弥はマコの手を強く握って歩き続けた。

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