表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[完結]【呪い系サイコホラー】こはるちゃん、いっしょに。  作者: てっぺーさま
最終章 堕ちていく

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/114

歌舞伎町 ②

【闇堕ち少女、怨霊と化す!】


憎悪の炎は死んでも消えない!

呪い系バッドエンドサイコホラー。

 仕事を終えて店を出たのは、深夜の十二時半を過ぎたころだった。奈央はその足でまっすぐホストクラブへ向かった。最後の客の強烈な口臭がまだ鼻の奥に残っていてすこぶる不快だったが、これからの時間を思うと胸が弾み、足取りも軽くなった。

 歩いて五分ほどで、『バビロン』が見えてきた。行きつけのホストクラブだ。今日はこの時間を楽しみにして仕事を乗り切ったようなものだ。


 ホストにはまったのは、風俗で働き始めて間もないころだった。それまでホストに入れ込む女たちを軽蔑の目で見ていたが、いざ自分がその立場になってみると、風俗嬢やキャバ嬢がホストに依存する理由が痛いほど理解できた。自分を肯定し、大切にしてくれる場所はそこしかなかったからだ。


 店に入ると黒い革張りのソファに案内され、ほどなくして指名したホストが現れた。甘いマスクを見た瞬間、一日の疲れが一気に吹き飛んでいった。

 奈央が入れ込んでいたのは、翔鬼(しょうき)という二十四歳のホストだ。ビジュアル系バンドのボーカルのような端正な顔立ちと、紫がかった美しい金髪が目を引く売れっ子ホストだ。

「仕事帰り? 今夜も不満、いくらでも聞くよ」

 奈央の頭に手を置きながら、翔鬼は耳に心地良い声でささやいた。

 彼の言葉に甘え、奈央は仕事での鬱憤を吐き出していった。風俗で働いていることは、初めて来店したときに伝えてあった。ホストクラブに通う客の多くがキャバ嬢や風俗嬢だと知っていたし、風俗で働き始めてから自暴自棄になっていたこともあって、自分の職業を名乗ることにさほど抵抗はなかった。それどころか、家族や友人にも話せないことを打ち明けられたことで心は軽くなった。ホストは奈央にとって、心理カウンセラーのような役割も果たしてくれていた。

「今日さ、当欠の子が三人もいてさ、休憩時間もろくに取れなかったんだよ」

「そっか、今日も大変だったんだね」

 翔鬼はそう言って、頭をぽんぽんと優しく叩いてくれる。奈央はそれだけで幸せな気分になった。

 彼は積極的にスキンシップを取るタイプで、奈央もそれを歓迎した。今は髪を優しく撫でながら、顔が触れ合いそうなほどの至近距離でじっと見つめてくる。彼の体温をひしひしと感じながら、奈央は酔いに任せて愚痴を吐き続けた。

「最後の客がすっごい口の臭いおっさんでさ、なのにやたらキスしてくるの。ちょっといやな顔したら、おれ、口臭い? って聞いてくるから、そんなことないですって答えたら、また安心して臭い口でキスしてくるの! ほんと最悪だったよ!」

 愚痴を吐けば吐くほど、奈央の心は軽くなっていった。

 奈央が一息ついてグラスに口をつけた瞬間、翔鬼が甘い笑みを浮かべて言った。

「奈央ちゃん、アルマンド入れていい?」

「え……」

 その言葉に、奈央の酔いが一瞬醒めかけた。アルマンドは一本数十万円もする高級シャンパンだ。それに先週も入れたばかりだ。借金もかさんでいる。翔鬼は笑みを浮かべたまま返事を待っている。奈央は少し迷ったが、この楽しい時間を壊したくはなかった。

「いいよ! アルマンド、いっちゃえ!」

「いえーーい!」

 翔鬼のテンションが一気に跳ね上がり、奈央もつられて気分が高揚していく。

 ここは天国だ。金さえ落とせば、いくらでも幸せな気分にさせてくれる楽園だった。

ポチッと評価、お願いします(^ ^)v

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ