キャバクラ
【闇堕ち少女、怨霊と化す!】
憎悪の炎は死んでも消えない!
呪い系バッドエンドサイコホラー。
「ふーん、君、大学中退してんだ」
履歴書を見て、キャバクラ店の店長は気さくな調子で言った。
店長の名は山崎。先日解雇された会社にも同姓の男性社員がいたため、奈央はすぐに名前を覚えることができた。
「こういう仕事は初めて?」
「はい」
「そっか。でも明るそうだし、問題ないっしょ」
面接はさながら雑談のような雰囲気で進んだ。企業の面接とは違い、張り詰めた空気はいっさいなく、最初こそ緊張していた奈央だったが、今では完全に肩の力が抜けていた。こういう業界では、店長よりも女の子のほうが立場が強いと聞いたことがあるが、実際にその通りなのかもしれない。
店長の山崎は自分のことも少し語った。元ホストで夜の世界に精通していたことから、以前から知り合いだったというこの店のオーナーに誘われ、二年ほど前から店長として働いているという。
「で、いつから働ける?」
他愛のない会話がしばらく続いたあと、山崎は唐突に言った。
「え、採用ですか?」
「うん。むしろ、ぜひうちで働いてほしい」
「なら、今日からでも」
「マジ? それはめっちゃ助かる。人手不足で困ってたんだ。ドレスとか持ってる? なければ、辞めた子のがあるからそれ着てよ」
こうして、奈央はさっそく今日から働くことになった。店長から簡単なレクチャーを受けたあと、狭い控え室で開店を待つことになった。
奈央はスマホをいじりながら今後のことを考えた。前職での出来事を思えば、しばらく普通の会社で働く気にはなれない。オフィスで味わった屈辱は二度とごめんだ。もちろん、ここにも例の日記のコピーが送りつけられる可能性はある。だが、そのときは別の店にさっと移ればいいだけだ。この街には、キャバクラなんて腐るほどあるのだから。
「これ、よかったら」
店長の山崎がペットボトルの紅茶を差し出してきた。
「あ、どうも」
奈央は軽く頭を下げて受け取ったが、内心ではかなり感激していた。最近辛いことばかりだったから、こんなささやかな気遣いがやけに心に沁みた。
控え室を出ていく店長の背中を見つめながら、奈央は小さくつぶやく。
「ここなら、うまくやっていけるかも」
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